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自衛官やめたくなったら読んでみる物語3

この記事「シーズン3」です。ここで改めて確認するのですが、この記事は、頑張って自衛官を続けている人に敬意を込めて贈る応援メッセージです。自分の人生の時間を自衛隊で過ごすことによって何かをつかもうとしている人達が、クスッと笑って勤務に励んでいただけたら海上自衛隊OGとして心から本当に嬉しいです!


ep1.健康診断は自分で

毎年1度は健康診断をやっている自衛隊。スケジュールは衛生隊の人が組んでくれて身体歴綴を持って問診票に最近のことを記入すれば、何を受けて何を受けなくてよくて自分の健康管理は全てお任せですよね〜〜〜〜。健康診断当日も基地の中のよその部隊の人と一緒になれるので久しぶりに会って「あの人、今どうしてるの?」「結婚したの!、誰と!!」「入校してるんだ」「出世したね」などなど週刊誌の実写版のようなネタが飛び交う楽しさがありますよね。街場の健康診断は暗いです。少しですがお金も入ります。なので何を受けるかはちょっと金銭的な戦略が必要です。何も受けなくても誰も声をかけてくれないので、一度も行ったことがない人がいるくらいです。(そんなんでいいんかい!)

自衛隊の健康診断は体も心もウキウキしちゃってます。

ep2.アンカーの金ボタンってシャレオツだったのね

海上自衛官の制服って金ボタンにダブルなんですよね〜。制服勤務の配置ではそれを毎日着るわけなんだけど、特にそのオシャレさって感じないと思うんのよ。でもですよ、巷のラルフローレンとかブルックスブラザーズとか行くと、あっ、これきたぁーーと思うようなブレザーがいつも並んでいます。いわゆる「紺ブレ」ってやつなんですけど。この「紺ブレ」は流行とか時代に関係なく、トラッドなお店ならいつも置いてあるのです。時々、マリンルックとかで「紺ブレ」の中にボーダーシャツを着たり、白いパンツと合わせたりして、気分は「港町横浜」になっていくようなのです。

いつも着ている制服って永遠のオシャレなんだぜ

ep3.灯は消して!!

自衛隊って点検がすごく多い。平日は必ず巡検があるし、週末でも火の元点検がある。週に一度は服装容儀点検。季節によっては消火器点検、倉庫点検、被服寝具点検、指揮官が変わると構内点検、航空機点検、格納庫点検、。その他にも油脂庫点検、工具点検、点検点検点けーんって感じで点検のための点検とかも勘定に入れるとものすごい点検の数です。このあまたある点検にいつも必要なものは「電気」!電気がないと点検できないのですぅ。そのため「点検=電気」なので、自衛隊はとても明るい職場なのです。この癖、退職してからなおすの大変です。気がついたら家中電気がついているのですから。それはもういつ点検官が来ても大丈夫な状況になってしまっているのです。

あかりは消して (消せないのなら、使用止め!)

ep4.お箸でケーキを食べる

自衛隊でのお楽しみは営内給食。お昼ご飯が近づく11時くらいになると、給養班のメニューをチェック!お気に入りのメニューだとワクワクですよね。季節を感じるメニューとしては、お正月のお雑煮、節分の豆、ひな祭りの菱形ゼリーなどスイーツがつくこともありますよね。そんな時、学校給食だったら小さいスプーンとかフォークとかついてたと思うのですが、自衛隊ではお箸しかつかない時もあります。もしくは、小さいスプーンとかフォークを並んでいるときにとり忘れて食べようと思った目の前にお箸しかない時もありますよね。でもそんな時、自衛官は続けてお箸でケーキもゼリーもヨーグルトだって食べちゃいます。お箸さえあればどんな食事だって可能であります。

ケーキを躊躇なくお箸で食べられたら、あなたは立派な自衛官です、気にするな!

ep5.刃(やいば)は抜けた

どこの職場でもある上司と部下の人間関係とか、同期に追い抜かれた昇任とか、私ばっかり週末に当直とか、「えー、なんで!?」ってことに納得いかないと怒りあらわにしていた時もあったけど、そんな時、本当の敵は目の前の人ではないってことを自分に言い聞かせ心をなだめていたかな〜〜。では、本当の敵は誰なのか?それはまさしく敵国なのです。夜中までテストサイトでプログラムの試験をしていた時、何度もうまくいかず大概嫌になってくるんだけど、一方でこれが成功したら敵をやっちめられる、千載一遇のチャンスで敵の尻尾を掴むすごいのを作ってやる!るって刃をむいていたな〜、それはまるでハリウッドの映画に出てくるのトム・クルーズやトム・ハンクスなみの心境だったと思う。

敵に刃を向けて仕事してる頃は映画俳優だよ(今は、生え変わりました)

ep6.傘はいらない

海上自衛隊は雨が降っても傘をささない。傘の代わりに雨衣(あまい)があるから。雨衣は大抵ロッカーに入っているので、玄関まで来たときに雨に気づいた場合、ロッカーに戻って雨衣を持ってくるのは本当にめんどくさい。雨衣を取りに帰ったとして、雨の中を着た雨衣は当然びしょ濡れなので、それを乾かして小さく畳んでロッカーに入れるなんて本当に嫌になっちゃう。そこでちょっとそこまでの距離の場合、傘も雨衣もなく濡れながら走って目的地に向かうのである。「雨なんかで溶けやしない」とか「雨に濡れて風邪を引いた人なんて見たことない」とか勇猛果敢な気持ち、そこからそこまでダッシュする。この習慣ってやめても変わらないよ。雨に濡れても乾くからって思ってるからね、まともな傘なんて持っていません

井上陽水が海上自衛官だったら、名曲「傘がない」は生まれなかったはず

ep7.靴下は短くて良い

海上自衛隊には部署訓練というのがあって、防火防水部署とか事故機収容部署とかがある。その時の服装というのが現代日本における靴下のあるまじき使い方というか、それはちょっと自衛官以外に見せることがはばかれるとといっふうでして、なう〜ん、なんというか、この感じを伝えるとするならば、競泳選手が野球帽をかぶってプールにいるとでもいいましょうか。初めてこの服装をする若い隊員は「これが自衛官になるということかもしれない」と思うはずです。そんな服装もしょっちゅうやっていれば、目が慣れてきて普通の光景になるのですが、注意しなければならないことは、いつでもハイソックスまでとは言わず、ミドル丈のソックスを履いていなければならないということです

もう靴下の中にズボンの裾を入れることはないよ

ep8.コインランドリーは懐かしい

自衛隊の洗濯室って、洗濯機が4台くらいあって乾燥機が3台くらいあって、横に物乾場(でかい乾燥室)があります。洗濯機の数が限られているのと、洗濯機と乾燥機の台数がなぜかチグハグなところが特徴です。洗濯をしたくても洗濯機が空いていない時は、洗濯に貼ってある順番待ちの表にチャイナペン(陸自と空自 の人は、「グリペン」と呼んでいるようですが)で自分の名前を書いておきます。そう、ファミレスの入り口にある待ち行列の表と同じようなものです。自分の選択が終わると、次の人を呼びに行くのです。「洗濯機空いたよ」って感じで。洗濯はみんな同じ場所で、洗濯の順番待ちをしながらやるものだったのですぅ。一家に一台洗濯機がある環境ではそんなコミュニケーションないですけどね。

洗濯しっぱなしで洗濯機にモノを入れてたとしても、洗濯機どめにはなりません。

ep9.テレビの前で一人司令部発動

テレビから流れる事故現場や災害現場の情報って本当にリアリティがあります。現場におられた方のご家族が友人、知人の方の心の内を察すると、本当に胸が痛みます。そんな現場に自衛官が駆けつけて頑張っているとなると、手に汗握るようになります。間違っても自分に出番が回ってくるわけでもないのにです。そうなってしまうのは、頭の中で作戦司令部が開設されたことが浮かぶからでしょう。大きなモニターとそれに映し出されるナラティブ(経過概要の情報を時系列に並べたもの)。司令官の大きな椅子がど真ん中にあって、その周囲を幕僚が囲っているようなシーンの中に自分がいるかのようになります。「今日の捜索作業はどこまで進んだか」とか「今日の救助された人は何人か」とか「そっちじゃなくて、別なところも探さないと」となど1日中現場のことが気になります。

朝、昼、晩、夜 全てのニュースで自衛隊の活動を見ちゃいます。

ep10.路線バスの運転手さんには好評です

自衛隊では色々勉強する機会が多いのだけど、その中でバスに乗って研修に行くことはお楽しみの一つです。自衛隊はいっぱい車両があるので、車両班に所属する人が運転する自衛隊のバスで研修などに出かけたりします。この研修計画は、「隊内バスの方が電車よりも安く済む」という驚くべき見積もりで持って実行されます。だって、民間企業とかで貸切バスで研修なんてありえないでしょう、だってバスを運転手つきで借りるのなんてとてもお高いですから!なので、自衛官が運転するバスで自衛官は出かけるので、必然的に運転手の自衛官に乗る前には「お願いします」、降りるときは「ありがとうございます」というし、午後から出発の時は「お疲れ様です」といますよね、みんながみんな。これを情景反射として路線バスの運転手さんにも挨拶すると、運転手さんとってもご機嫌になります

路線バスの運転手さんのモチベーションを向上させるのは、そう、そこのあなた、自衛官です


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