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デュエプレ1弾環境の歴史

 こんにちは! SO.S(エスオーエス)と申します!
 この記事ではデュエプレの1弾環境の歴史を振り返ってみたいと思います。その理由として、以下の近況報告&告知をさせていただきます。
 私は今、Hi-kunさん(TwitterID:@Hiikun_DM)とくまさん(@CloneVice)が共同主催している1弾環境戦のグループに参加しています。デュエプレの1弾環境は現在でも根強いファンが沢山おり、私はそこで度々相手を募集して対戦を楽しんでいます。このグループへの参加は自由なので、興味のある方はぜひ上記のTwitterに問い合わせてくれると嬉しいです!
 またこのグループ内で第一回デュエプレ1弾環境対戦会「デュアルファング杯」を6月15日(火)に開催することが決まりました! 

 こうした経緯があり、デュエプレの1弾環境がどのようなゲームだったのか改めて振り返ってみたいと思ったのがきっかけです。個人的な経験と伝聞が入り混じっているのであくまでも個人が作り上げた一つの視点として読んでいただけると幸いです!
 またもし上記の1弾環境対戦グループに参加していただけるようでしたら、その際の参考にしてくれるのも嬉しいです!

追記:2022年3月現在、紹介したグループは活動を停止しています。1弾リリースから1年以上を経ても過去環境を再現した大会が行われていたという歴史的記述として享受していただければ幸いです。


1弾環境の特徴

 歴史に入る前に以下の1弾環境の基本的な特徴を確認しておきましょう。

ゲームスピードの遅さ
 1弾環境は最初なので当たり前ですが今のデュエプレより圧倒的にゲームスピードが遅いです。コントロールミラー対決でなくてもロングゲームになりがちで、常にデッキアウトを意識する必要がありました。ささぼーさんの有名な語録「アウトか?」はこの環境において正しい思考と言えます。1枚で戦局を大きく変えるパワーカードが乏しいため、細かいアドバンテージの取り合いが最終的な勝敗を決めるパターンが多く、1試合にかかる時間が長かったです。

三すくみの形成
 1弾環境は初期から速攻・ビート・コントロールの三つのデッキタイプが綺麗な三すくみを形成しており、バランスの取れた環境だと評価されています。速攻は守りが薄いビートに強く、ビートは大型クリーチャーによってコントロールに強く、除去と小型ブロッカーが多いコントロールは速攻に強いという三すくみはこの環境の軸ともいえる関係性でした。

多彩なカードが活躍
 1弾環境は環境外のカードにも活躍の余地があったのが特徴だといえます。例えばサムネイルの中心になっている5文明のSRの中では《悪魔神バロム》があまり一線級ではなかったのですが、構築によっては十分活躍することができました。いわゆるネタ寄りとされるカードと環境で使われるカードとのカードパワーの差が極端にないため、環境外のカードを使っても割とTier1に勝てる確率が高く、色んなカードが活躍できる環境だったといえます。例としては《憤怒の猛将ダイダロス》《レジェンダリー・バイロン》《大昆虫ジェネラルマンティス》といったカードでも構築をしっかり組めば全く環境で戦えないということはなかった印象があります。

《アストラル・リーフ》がいない初期デュエマ環境
 デュエプレ1弾+ベーシックのカードプールは、TCGデュエマの1〜6弾の収録カードがメインです。TCGの環境では《アストラル・リーフ》一強時代にあたるのですが、デュエプレ1弾では《リーフ》がおらず、《サイバー・ブレイン》《ストリーミング・シェイパー》といった強力なドローカードは基本的に調整版が収録されているため、異なったリソース補充を模索させられることになります。
 TCGのデュエマでは1〜5弾のプールに《リーフ》および《アクアン》等の制限を加えたデュエマ・クラシックというルールで一部大会(非公式)が行われているのですが、デュエプレはさながら当時の環境に調整を施したDCG版デュエマ・クラシックともいうべき趣があります。このようにリソース補充が軒並み下方修正されているため、リソース(主に手札)の細かいキープの判断が勝敗を分けることになり、長期的なゲームプランを見据えられる上級者向けの環境だったということもできます。逆にいえば初心者にとってはやや厳しい環境だったともいえます。これについては後でボルコンの項目にある「ハンデスという戦術について」という部分で解説します。


1弾環境前期(ボルメテウスカップ)

 デュエプレがリリースされた2019年12月18日から12月31日までの期間に開催されたボルメテウスカップが最初のランクマッチでした。既にβ版をプレイした方々によると《機神装甲ヴァルボーグ》によって序盤から攻める【赤青速攻】と、《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》をフィニッシャーにしたコントロールデッキ【ボルコン】と、《大勇者「ふたつ牙」》と《ツインキャノン・ワイバーン》によって守りを崩す【シータビート】の三種がTier1候補として挙げられており、早くも三すくみが想定されていました。ボルメテウスカップでこれらの三すくみがメタゲームの中でどのように変化していったのかを見ていきましょう。

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  ■赤青速攻

 速攻とは主に低コストのクリーチャーを早期に展開して殴り勝つデッキタイプです。1弾環境では攻めに特化したクリーチャーが多い火文明と、《アクア・ハルカス》といったドロークリーチャーや《アクアサーファー》といった強力なトリガーがある水文明の組み合わせがベースになりました。

 【赤青ヴァルボーグ】

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画像出典:(https://twitter.com/rai37nydm/status/1208174796946587648?s=21

 たった3マナでパワー5000Wブレイカーという強力な進化クリーチャー《ヴァルボーグ》を主軸とした速攻デッキです。一度ヴァルボーグが立ってしまえば低コストのブロッカーで受けることは難しく、さらに《アクア・ハルカス》や《ペコタン》といった手札補充クリーチャーやブロッカーを全バウンスさせる《クリスタル・パラディン》も搭載されている強力な速攻デッキです。

 しかし《ヴァルボーグ》が《死の宣告》や《デーモン・ハンド》によって除去されてしまうとテンポを崩されやすく、進化元のヒューマノイドが軒並みパワー2000以下であるため《クリムゾン・ハンマー》や《ファントム・バイツ》といった軽量除去や《バースト・ショット》といったSトリガーに弱いことから、次第に《ヴァルボーグ》軸の速攻デッキは使用率を落としていきました(加えてレアリティが高いため広く普及しなかったのも一因だと考えられます)。よって速攻は《ヴァルボーグ》とその進化元を抜いた型が主流になっていきます。

 【ラッカ速攻】

ボルメテウス瞬間1位ラッカ速攻

画像出典:(https://twitter.com/sasabou666/status/1208857468798812160?s=20

 このデッキは《奇襲兵ブルレイザー》と《ペコタン》+《ミラージュ・マーメイド》を軸にした【赤青速攻】に光文明の《予言者コロン》と《ホーリー・スパーク》を加えた速攻デッキです。2マナ3000の《奇襲兵ブルレイザー》を軸にすることで【赤青ヴァルボーグ】が抱えていたパワーラインの低さという欠点を克服し速攻としての性能が強化されました。さらに《ヴァルボーグ》の枠に《ペコタン》(《アルオム》)がいると5マナで3ドローできる《ミラージュ・マーメイド》を採用することで、コントロール相手にも手札を切らさずに粘り強く戦うことができるようになりました。《アストラル・リーフ》なき初期環境において主たるドローソースはこの通称「ペコミラ」コンボでした。《ペコタン》は3000、《ミラージュ》は4000とパワーラインが高めであるため《ブルレイザー》の3000と合わせて軽量除去呪文を掻い潜って攻撃することができる環境対応型の速攻デッキが【赤青速攻】でした。

 【ラッカ速攻】は1体の攻撃を止めるトリガークリーチャーが8枚、さらに相手が何体クリーチャーを並べていようと発動すれば確実に1ターン耐えることが可能な《ホーリー・スパーク》によって元から有利の【シータビート】に隙を与えず、同型の【赤青速攻】に対しても有利になりました。当然光文明のカードは手札からプレイすることが稀なため、デッキとしての安定性は純粋な赤青に劣りますが、《スパーク》を無効化できるのは盾を焼却できる《ボルメテ》のみだったため序盤に盾を削り切ってトリガー《スパーク》+《エグゼドライブ》で詰めるという押し付けプランが強力でした

 【ラッカ速攻】は1弾環境の速攻デッキの一つの到達点であり、長い間環境に存在し続けることになります。速攻といえば《ブレイズ・クロー》のイメージが強いのですが、当時の赤青デッキは1コストが《ブレイズ・クロー》しかおらず安定性に欠ける上、除去やブロッカーに弱かったので必ずしも採用されるわけではありませんでした。それにもまして強力だったのは2マナ3000の《ブルレイザー》であり、相手の場のクリーチャーの数が多くなると攻撃できなくなることから、本来なら手札にキープしておいた方がいいカードを《ブルレイザー》で攻撃するor止めるために出すといった特殊な盤面の駆け引きが生じるようになりました。加えて5マナで3000以下を破壊できる《灼熱波》が採用されるようになったりと、《ブルレイザー》は確実に影響力を持っていたカードでした。

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  ■ボルコン

 コントロールとは除去・ハンデス等で相手のプランを妨害し、安全な盤面を作って勝利するデッキタイプです。1弾では《ゴースト・タッチ》《汽車男》といったランダムハンデスカードや、《ハンド》《バースト・ショット》《ファントム・バイツ》といった除去カードを駆使して妨害し、最終的に盾を焼却して安全に勝てる《ボルメテ》をフィニッシャーとした【ボルコン】がベースになりました。

・ハンデスという戦術について

 前述の通りデュエプレ1弾環境は《リーフ》がいない初期環境ともいえるため、手札を補充する手段が乏しいです。なので《タッチ》《汽車》等のハンデスは非常に強力であり、これらのハンデスカードへの対処手段を知っているかどうかで大きく実力が分かれたといっても過言ではありません。

 ランダムハンデスは一見すると単なる運ゲーとしか思えない効果でありながら、環境に存在することで様々な駆け引きを生み出すカードでもありました。例えばデュエマは基本的に手札にあるカードをチャージして貯めたマナを支払ってカードをプレイすることでゲームが進行していきます。しかし《タッチ》《汽車》を想定するならばマナチャージをしない・使えるカードをプレイしないといった選択肢が生じることになります。手札が少ない状態でハンデスされるとマナが貯まってから使用したい強力なカードが墓地に送られてしまったり、手札が0枚になって行動不能に陥ってしまうからです。なので手札の枚数を一定に保った上でロングゲームを意識するというプレイングが必要不可欠でした。このことから1弾環境のゲームスピードの遅さはハンデスに因る部分が大きいと考えられます。

 またこれらのランダムハンデスは先攻と後攻の差をひっくり返せるカードでもあります。デュエプレは基本的に先にマナが貯まって先にカードをプレイできて先に攻撃できることから先攻が有利なゲームです。その有利不利をひっくり返す手段としてS・トリガーシステムがあるのですが、見えない盾にそもそも埋まっているかどうか(タイミングが合うかどうか)が分からない上に相手も同様にトリガーが強い可能性があるため確実性に欠けます。しかし《タッチ》《汽車》は先攻後攻の手札1枚の差によって基本的に後攻が使った方が強いカードです。これらのハンデスは手札を1枚消費して相手の手札を1枚破壊するので1:1交換にしかならないのですが、後攻は1t目にドローができるというたった1枚の手札の差によって大きなアドバンテージを得られるのでした。端的にいえばランダムハンデスは先攻のブン回りを抑止できるカードでもあります。

 こうした駆け引きは上級者からすればリソースをめぐって精密なプレイングを求められることから好まれがちでしたが、初心者からすれば基本的にストレスになっていた側面もあるといえるでしょう。また仮に対処手段を知っていたとしてもゲーム自体が長引く上に、結局は確率なので有効札を引き抜かれてしまうこともあるため、上級者・初心者関係なく人によって賛否が分かれる戦術といえます。こうしたことから【ボルコン】は三すくみの中でも批判されがちなデッキタイプでもありました。

 【4Cボルコン】

4Cボルコン

画像出典:(https://twitter.com/fumufumuhe/status/1212148912665985026?s=21

 このデッキはβ版で考案された闇・火・水の3色からなる【クローシスボルコン】に光の優秀なブロッカーを加えて《ブルレイザー》《ペコタン》等のパワーラインに対処できるようにしたボルコンです。とくに4マナ4000のブロッカーで出た時に1ドローできる《光輪の精霊 ピカリエ》が優秀でした。出しても手札の総数が減らず、場に4000のブロッカーが立つので《ピカリエ》はどの対面でも出すことがほぼ裏目にならないカードといえます。光のブロッカー、闇のハンデスと除去、水のドロー、火の全体除去とフィニッシャーが揃っているため対応力が高いデッキですが、1弾には多色カードがないため序盤の色確保で躓くことがあるという不安定さを抱えたデッキでもありました。

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 【デイガボルコン】

はんじょうデイガボルコン

画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=KpxEy_2TyGc

 このデッキは水文明を抜いたことでドローカードが乏しくなった代わりに除去と防御性能が飛躍的に向上したボルコンです。また3色になったことで【4Cボルコン】が抱えていた色バランスの不安定さという欠点も克服しています。とにかく速攻に対して一切の隙を与えないデッキであり、コントロールは速攻に強いという関係性を分かりやすく示してくれるデッキといえます。

 手札補充は基本的に《雷鳴の守護者ミスト・リエス》に頼っているのですが、このカードは場に存在することでドロー効果を発生させるのでミラーでは早急に除去する必要がありました。《デス・スモーク》や《ハンド》はなるべく相手の《ボルメテ》を除去するために温存しておきたいので、多くの対面で使える《ファントム・バイツ》や、5マナで《ミスト・リエス》を除去できる《トルネード・フレーム》が役立ちました(《勇神兵エグゾリウス》を除去できるのも優秀)。また《ミスト・リエス》のドロー効果は強制であるため、わざと相手に引かせてデッキアウトに持ち込むというプレイングもあり、その対策で自分の《ミスト・リエス》を《クエイク・ゲート》で自爆させたり《バースト・ショット》で破壊するというプレイングも重要でした。

 環境が進むにつれ軽量除去や《エグゾリウス》よりも《クエイク・ゲート》が優先されるようになったり、タッチで《アクア・サーファー》4枚が搭載されるようになったり、《アルカディアス》の1枚採用がデフォルトになるなど細かい変化はあるものの1弾環境の最後まで使われていたので、【デイガボルコン】はまさに1弾のコントロールを代表するデッキだといえます。

 ボルメテウスカップのボルコンは基本的にこの2タイプがあり【4Cボルコン】の方が主流でしたが、環境が進むにつれ【デイガボルコン】の使用率が上がっていきます。

  ■シータビート

 ビートダウンとは速度において速攻デッキに劣るものの、高パワー高打点かつ強力な効果を持った大型クリーチャーを多数搭載しているため、コントロールを崩す性能が高いデッキタイプです。1弾環境では大型クリーチャーにアクセスするための自然のマナ加速カード+その繋ぎになる水+攻撃力が高い火の3色の組み合わせ(いわゆるシータカラー)がベースになりました。中でも火の《ツインキャノン・ワイバーン》は7マナ7000WのSAというシンプルゆえに強力なカードでこのデッキのフィニッシャーとなりました。

 先ほど三すくみと書きましたがこのデッキは高レアリティのカードが多いため、環境初期は速攻とボルコンほど広まっていなかったと思われます。【シータビート】【シータミッドレンジ】【シータツインキャノン】等の名称があります。

 【ペコミラ入りシータ】

ささぼーペコミラシータ

画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=4nvj-wjvF0k

 ボルメテウスカップ初期の【シータビート】です。β版の考案では水文明のドローソースとして《トリプル・ブレイン》が多く採用されていたのですが、前述の通り《ペコタン》→《ミラージュ》による3ドローコンボが《リーフ》なきクラシック環境においては非常に強力なドローソースだったためシータにも組み込まれています(時系列としてはおそらくシータのペコミラの方が速攻より先です)。マナ加速をしつつペコミラのコンボを決め、《ツインキャノン》や《ふたつ牙》を投げていくことでコントロールデッキの受けを崩すことができます。速攻デッキに対してはブロッカーがいない上に有効なトリガーが《サーファー》くらいしかないため基本的に不利でした。

 【二角入りシータ】

takiさん使用たくろーさんシータ

画像出典:(https://twitter.com/inospeed/status/1212221632963432448?s=21

 このデッキは中盤のドローソースを自然の大型クリーチャー《二角の超人》に頼った【シータビート】です。《二角》は出た時に2マナ加速をしつつマナからクリーチャーを2枚探索して回収する効果を持っており、要するに実質手札+2のドローをしつつ場に7000Wが残るという強力なカードです。返しのターンに《デーモン・ハンド》で除去しても相手は手札を補充しており、ハンデスしても場に7000Wが残ることになるので、コントロールデッキは《二角》を出されるだけで非常に苦しい展開となります。《二角》の効果で《二角》を回収してさらに《二角》を出すという連鎖によって手札と場が補強され、そこから《ツインキャノン》や《クリムゾン・ワイバーン》や《アクア・スナイパー》などの強力なクリーチャーを投げることでコントロールを簡単に崩すことができました。初期の【シータビート】にも《二角》が採用されることはあったのですが、本格的に《二角》の強さが浸透していくまでには多少の時間がかかりました。

 1弾【シータビート】は強力な対コントロール性能を持った《二角》を大量に入れることで完成したといえます。上記のリストはたくろーさんが作成し、takiさんが使用してボルメテウスカップ最終1位に到達した構築です。以降この記事の【
シータビート】はこのタイプを基本形として扱います。
参考:(https://twitter.com/taki_sweets/status/1212027724371517440?s=21

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  ■その他

 【青単ランサー】

ボルメテウス青単5位

画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=rdMcuh_Bh2g

 別の名称:【青単】【青単リキピ】
 上記の三すくみの他に幅広くTier1と戦えるデッキとして【青単ランサー】が初期から活躍していました。基本的に《ハルカス》や《ペコタン》等を展開してリソースを稼ぎながら《クリスタル・パラディン》や《クリスタル・ランサー》を立てて攻めていく中速ビートデッキです。青単のメリットとして《アングラー・クラスター》や《ストリーミング・ビジョン》といったカードがありましたが、前者は結局《火炎流星弾》で除去されるパワーラインでかつ3コストなので速度が足りず、後者はクリーチャーを並べつつ手札を補充できるペコミラのコンボに取って代わられました(ただし1枚で確定3ドローできる効果は優秀なので構築によっては1〜2枚採用されることも)。リキッド・ピープルはパワーラインが基本2000以下であるため、攻めるデッキが除去を掻い潜るためにはペコミラが必須だったことが窺えます。
 速攻とビートに対しては小型ブロッカーのチャンプブロックとバウンスで妨害しながら攻め、コントロールに対しては大量の手札補充とブロッカーを無効化する《パラディン》《ランサー》といったフィニッシャーで受けを崩すことができます。【青単】は特定の有利を持たないが不利も持たない全対応型のデッキとして1弾環境前期で一定の使用率を保っていました。上記の青単メリットカードが入っていない場合は《ホーリー・スパーク》や《ホーリー・メール》を採用した構築もありました。

 【ビーストフォークビート】

はんじょうビーストフォーク

画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=vRH0uqLo05o

 《鼓舞の化身(ダンシング・トーテム)》の効果がTCG版と違って自身が出た時にも発動するようになったことにより、場にいるビーストフォークのパワーを+2000しWブレイカーを付与してビートするデッキです。《大勇者「大地の猛攻」(ガイア・スマッシャー)》によるビーストフォークのパワーアップも強力で、《鼓舞の化身》を除去できなければコントロールでも簡単に崩されてしまいます。殴るデッキもトリガーで《孤高の願(ハイエスト・ブレス)》が出ると返しのターンに《鼓舞》で強化してカウンターされるので油断できないデッキでした。上記のリストは水文明のドローを加えたタイプですが、《ハルカス》の枠を《マグリス》で補って《スパーク》を搭載した白緑のタイプやそれらの3色を合わせたトリーヴァカラーもいました。

 アルカディアス系統

はんじょう1位

画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=m2HoQXvh-ew

 【ボルコン】のような闇の呪文に頼るコントロールデッキが多くなると、その対策として互いに光以外の呪文を封じるロックカード《聖霊王アルカディアス》が使われるようになります。この【赤白アルカディアス】は光のブロッカーと《クエイク・ゲート》による盤面除去によって速攻に対して高い勝率を維持しながら《アルカディアス》でコントロールにも勝てるようにしているメタデッキです。

 《クエイク・ゲート》は《ブルレイザー》や《ペコタン》といった軽量除去に引っかからないクリーチャーを《サリエス》《翡翠樹》《ピカリエ》で止めつつ一気に除去することができるため非常に強力なカードであり、やがて普通の【ボルコン】にも採用されるようになります。カードプールが狭い1弾環境では同じパワーラインのクリーチャーの並べ合いになるため、パワーを1000上昇させて盤面処理できる点がミラーでも強かったのでした。また速攻によく採用される《ブルレイザー》が制圧要員でかつ《アルカディアス》を立てた後の打点にもなるため採用されているのが特徴的なデッキです。

 光・水・自然の3色からなる【トリーヴァアルカディアス】も環境に存在しました。マナ加速によって《アルカディアス》を早期着地させることができるデッキです。マナ加速から《ピカリエ》や《バルキア》といったブロッカーを展開してそれらを進化元にして盾を増やせる《アヴァラス》を早期着地させることもできるので【シータビート】よりも速攻と戦えるデッキになっていました。
参考:https://gachi-matome.com/p-dmps-tori-vaarukadexiasu/

 《アルカディアス》は環境が進むにつれ《ピカリエ》4枚入りの【ボルコン】に同型対策で投入されることが増え、盤面を形成した状態で立てて相手の除去を無効化したり、10マナからの進化速攻で一気に詰めたりすることができる便利なカードとして活躍するようになります。盤面に《ピカリエ》がいるだけで《アルカディアス》の殴り返しや強襲を警戒する必要があるといった駆け引きを生み出すようになりました。

 《ピカリエ》という汎用カードが進化元になることで《アルカディアス》が実戦的なカードとして活躍できるようになったのはデュエプレ1弾環境の優れた調整の賜物といえるでしょう。

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1弾環境後期(アルカディアスカップ〜バロムカップ)

 ここからは1弾環境後期としてアルカディアスカップ(1月1日〜1月31日)とバロムカップ(2月1日〜2月29日)のメタゲームの変遷を見ていきましょう。前期は既に書いたように【ラッカ速攻】・【デイガボルコン】・【シータビート】の三すくみが形成されこれ以上の発展がないように思えますが、この二ヶ月の間にも様々なデッキが考案されました。本項ではデッキタイプの垣根を越えて特徴的だったデッキを紹介していきます。
 この時期のメタゲームを考察する上で、ボルメテカップで結果を残した【シータビート】の《二角》をいかに攻略するか、という視点に着目してみましょう。先述の通り《二角》はコントロールに対して非常に強力なカードであり、《二角》の連鎖に対して長期的なリソースゲームを制することは困難です。そこでコントロールデッキは速攻に対して以前と変わらない構造を維持しながら【シータビート】に対して早期にビートする、または事前に並べたクリーチャーとトリガー獣を含めてカウンターする、といった方向性が求められることになったのです。

  ■パラサイト・ワームの活躍━【ワームボルコン】

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画像出典:(https://twitter.com/47timber/status/1213768400893120512?s=21

 別の名称:【デイガコントロール】
 このデッキの特徴は何よりも《卵胞虫ゼリー・ワーム》《魔獣虫カオス・ワーム》といったパラサイト・ワームのカードが入っていることです。《ゼリーワーム》は2000以下のクリーチャーを殴り返して除去しつつハンデスしたり、相手の手札の総数を増やすことなく盾を削ったりと様々な働きをしますが、とくに《クエイク・ゲート》との相性が良いです。この呪文によって相手のクリーチャーがアンタップ状態であっても《ゼリーワーム》で攻撃し、盤面制圧とハンデスを同時に行うことができるようになります。こうしたことからこのデッキは《クエイク・ゲート》の性能を最大限に引き出した【デイガボルコン】といえます。

 《カオス・ワーム》は出せればたった5マナで相手のクリーチャーを無条件に破壊することができるため《アルカディアス》を破壊できるカードとして環境に刺さりました。また《ボルメテ》に頼らずにビートするプランが取れるのもこのデッキの魅力です。《二角》の着地を狙って手札を貯めてくるシータに対しては《ゼリー・ワーム》によって盾の枚数を減らしていくのが有効でした。
 これらのパラサイト・ワームは環境が固まっていない初期に【青黒ビート】(ベーシックや低レアリティのカードで構築可能)で使われる程度であまり環境の最前線で見ることがなかったので、そうした点でも画期的なデッキだったといえるでしょう。

  ■全対応型アルカディアス━【ドロマーアルカディアス】

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画像出典:(https://twitter.com/47timber/status/1213266130883579904?s=21

 このデッキは光・闇・水の3色にすることで対応力を上げたアルカディアスデッキです。速攻にはハンデス&除去とブロッカーによって対処し、コントロールには従来の通り《アルカディアス》を立てて攻めていきます。特徴的なのは《ハルカス》やトリガー獣の《汽車》《サーファー》によって打点が並べやすくなっており、【シータビート】に対してそれらの打点に《アルカディアス》《ランサー》を加えてビートするプランがあることです。プレイングは難しいものの対応力が高いことから一部で使われるデッキでした。

  ■ロック・ビーストの台頭━【赤青ロックビースト】

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画像出典:(https://twitter.com/toriakadm/status/1217098727510298626?s=21

 別の名称:【赤青ドボルカイザー】
 このデッキは出た時効果で2000以下を1体破壊できる《メテオザウルス》や1000以下を全て破壊できるトリガークリーチャー《マグマティラノス》を大量に入れることで、《ブレイズクロー》《クック・ポロン》《ハルカス》を採用する速攻デッキを対策したデッキです。2マナのクリーチャーは基本《ブルレイザー》に頼りがちなため序盤の攻撃性能は低く、速度は速攻とシータの中間に位置します。

 速攻デッキには除去しつつ打点を増やせるために有利であり、シータに対しても《ブルレイザー》《ハルカス》《エグゼドライブ》などで速攻に近い攻めができるためかなり強力なデッキでした。速攻同様コントロールに対しては基本不利なのですが、ペコミラを決めて手札を補充してから《パラディン》を出したり、出た時効果で6000以下を破壊できる8000Wの進化ロック・ビースト《超巨岩獣ドボルカイザー》によって相手の受けを崩すことができるため、対応力が高いデッキといえます。

 《ドボルカイザー》は進化元がいればたった1枚で除去+1打点増加をこなす強力なクリーチャーであり、相手の盾を残り2枚にした状況で出してブロッカーを破壊しつつ一気に詰めるというプランが強力でした(8000という基本《ハンド》でしか破壊できないパワーも強力)。また《ドボルカイザー》は環境初期に過小評価されていたカードでもあったため、時間が経ってから開拓されて強さが広まっていったのは1弾のメタゲームの面白さを特徴づける現象ともいえるでしょう。そしてこれまで全対応とされてきた【青単ランサー】はリキッド・ピープルを軒並み処理されてしまうためにこのデッキが明確な不利対象となってしまい環境の一線から退くことになります。

  ■二角の超人の汎用化

 環境が進んでいくにつれ、コントロールを崩すカードとしてビートデッキで活躍していた《二角の超人》は色んなデッキに採用しても強いことが判明していきました。以下にそのデッキを紹介します。

 【二角コン】

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画像2枚出典:(https://www.youtube.com/watch?v=LTPXKhO1pWg

 別の名称:【ネクラ二角コン】
 このデッキは光と闇のコントロールカードに《二角》と《ナチュラル・トラップ》を加えたコントロールデッキです。《ボルメテ》が不在のコントロールであるためデッキアウトを狙ったり《汽車》《暁の守護者ファル・イーガ》《二角》で適宜盾を殴る必要があるため、繊細なプレイングが要求されるデッキです。《二角》は手札補充・殴り返し・早期決着の打点など様々な役割をこなすカードであり、多色がない1弾環境では確実に使用可能な2マナを確保できるため7マナから《二角》を出して即座に《サリエス》を展開したり《タッチ》を撃つ動きも強力でした。

 速攻に対しては基本的にハンデス・除去・ブロッカーによって盤面を制圧しながら打点を揃え、《ホーリー・メール》で《スパーク》を盾に仕込んで相手の盾を一気に削り切るというプランを取ります。このいわゆる「メールスパーク」を無効化できるのは《ボルメテ》のみであるため、1ターンの安全を確保できる強力なプランでした。もしそれらのパーツが揃わなかった場合はどのトリガーが出てデッキトップから何を引かれても安全な盤面を作った上で1枚づつ盾を刻んでいきます。

 コントロールに対しては《二角》の対コントロール性能を利用して場とリソースを広げていき呪文回収クリーチャーの《ファルイーガ》や呪文封じの《アルカディアス》を利用して有利な盤面を形成していきます。《ナチュトラ》が入っている分【デイガボルコン】より除去カードが多めなので《ボルメテ》を除去した上でデッキアウトを狙うプランも有効です。

 【シータビート】に対してはハンデスによって相手の《二角》を抜くなどしてテンポを握り、こちらが先に《二角》を立てて殴っていきます。シータの大型クリーチャーを制圧することは困難なので《二角》の7000Wという打点を活かして早期にフィニッシュを狙います。

 上記のリストはささぼーさんが考案してアルカディアスカップ最終1位に到達するまでにメインで使用した構築です。今振り返ってみても1弾環境においてトップクラスに強い全対応型のコントロールデッキといえます。
参考:(https://twitter.com/sasabou666/status/1223318087673339904?s=21

 【二角ボルコン】

二角ボルコン

画像出典:(https://twitter.com/dmplmouse/status/1224373313167773702?s=21

 別の名称:【青抜き4Cボルコン】
 このデッキを端的に説明すれば《二角》と《ナチュトラ》を加えた【デイガボルコン】です。いわゆる水文明抜きの4色デッキなのですが《二角》は7t以降に使用するため前述の【4Cボルコン】と比べて色事故は起きにくいデッキです。またのちに《二角》で回収できるため、序盤に手札に来てしまった《ボルメテ》を躊躇なくマナに置けるのもこのデッキのメリットです。ネクラの【二角コン】と比較して安定感は欠けますが、《バースト・ショット》や《クエイク・ゲート》といった火の除去カードが搭載できる点、《ボルメテ》による安全なフィニッシュが狙える点が魅力のデッキでした。

 基本はこの形ですが《ブルーレイザー・ビートル》を入れるタイプ(通称【ブルコン】の一種)や《フェアリーライフ》を入れるタイプも存在しました。

 【リースブルコン】

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画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=es0GjNd9z24

 別の名称:【リースクエイク】
 このデッキは《ブルーレイザー・ビートル》の制圧能力を活かして盤面処理に特化したデッキです。《ブルーレイザー・ビートル》は殴り返しでパワー8000以下のクリーチャーを破壊することができる上にブロッカーではないため場持ちがよく、序盤に出ると速攻・ビートを大幅に牽制することができます。殴り返しを恐れて動きが止まった相手のクリーチャーを《クエイク・ゲート》や《スパーク》で処理するのが基本的な動きです。

 ここでも《二角》は貴重な手札補充カードかつ盤面処理にも打点になる万能カードとして活躍します。またレシピのように味方のドラゴン以外のクリーチャーにパワーアタッカー+4000を付与する《ミラフォース・ドラゴン》が採用されることもあり、《ミラフォース》と《ブルーレイザー・ビートル》が並ぶとパワー11500の《アルカディアス》を殴り返して破壊することもできました。

 【ターボバロム】

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画像出典:(https://www.youtube.com/watch?v=i8PtAzFvF9s

 前述のように《悪魔神バロム》は他の表紙になっている5文明のSR(ボルメテ、アルカディアス、ふたつ牙、パラディン)の中では最も使用率が低いカードでした。しかしこの【ターボバロム】のように《バロム》が環境で活躍する機会がありました。
 基本はマナ加速をして《二角》を出してリソースを回復し、相手に合わせて《ロスト・ソウル》《アルカディアス》《バロム》といった強力なカードを使うデッキです。《無垢の宝剣》は《アヴァラス》《アルカディアス》《ふたつ牙》《ロックデウス》《バロム》といった5種の進化クリーチャーの進化元になることができます。
 《バロム》は出すことさえできれば相手の場が盤石な体制でも闇以外の全て破壊することができる強力な除去クリーチャーです。序盤に攻めないデッキは相手に《二角》を連鎖的に並べられると場とリソースの差が開いて基本勝てないのですが、このデッキは《バロム》と《ロスト・ソウル》によって不利状況を覆すことができます。

 ただし水文明が豊富でないターボデッキは序盤のハンデスで躓くことが多いためやや不安定なデッキであり、《バロム》の進化元が乏しい点も含めてピーキーなデッキといえます。またこのデッキにも採用されていることから《二角》の汎用性の高さが分かります。

  ■速攻の頂点━【赤青パラディン】

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画像出典:(https://twitter.com/thro_world/status/1233770215869075456?s=21

 別の名称:【赤青リキピ】
 このデッキは環境が進んで最適化された【赤青速攻】デッキです。元から赤青軸の速攻デッキは【ラッカ速攻】と並んで一定数いたのですが【赤青ロックビースト】の台頭によって速攻に採用する《マグマティラノス》の強さが認知され、その《カルドザウルス》《ドボルカイザー》を削ぎ落としてコントロール崩し札を《パラディン》に一本化したのがこのデッキです。【ラッカ速攻】の《コロン》《スパーク》といった手札に来るとあまり強くないカードがないことで安定性を高めています。
 1弾環境後期は前述のように《二角》の強さが広まったことでコントロール寄りの環境になったのですが、そのコントロールに対して《クリスタル・パラディン》が非常に強力であるため3〜4枚の採用が普通でした。他に候補カードとしては《メテオザウルス》《一角魚》《ミラージュ・マーメイド》などがあります。
 要するに【赤青ロックビースト】と【ラッカ速攻】を元に改良された【赤青速攻】の完成形ともいえるデッキであり、主にバロムカップから使用率を伸ばしました。

 速攻に対しては2t目にクリーチャーを展開しながら防御トリガーと《アクア・ガード》によって対処します。《ガード》はブロッカーとしてだけではなく自分と相手の《ブルレイザー》の数調整としても役立ちます。《マグマティラノス》は自分の《クック・ポロン》との相性が悪いものの相手のクリーチャーを破壊しつつ3000のクリーチャーが立つので【赤青ロックビースト】でなくても強力なカードです。しかしどちらを優先させるか(トリガーでクックとティラノスが入れ替われる場合や、トリガーティラノスプランを見据えてクックは出さないなど)の判断が難しいため上級者向けのデッキでもあります。

 シータは元から有利対面であり、【赤青ロックビースト】と違って2マナのクリーチャーが充実しているため安定して勝つことができます。殴り合いになった際は余った1マナで出せる《ガード》がカウンターを防ぎ、溜めてからのカウンターリーサルを狙われた場合は《サーファー》や《スライダー》を1枚踏ませれば勝てる、という展開がザラでした。

 コントロールに対しては《ハルカス》や《ペコタン》で手札を維持しつつ《パラディン》を着地させてブロッカーを退かしながら5000で殴っていくのが強力です。《ブルレイザー》はパワー3000によって除去に強く、《クック・ポロン》は《クエイク・ゲート》や《スパーク》といった盤面処理に強いクリーチャーなのですが、状況に合わせてどちらを優先的に並べるのか、というプレイングが問われる対面でした。

 上記のリストはバロムカップ最終1位に到達したスローワさんが使用した構築です。2月27日に第2弾「伝説の再誕」が実装されたのですが、スローワさんは構築を変えることなく見事勝ち抜いて1位を達成しました。以下にスローワさん自身による解説があるのでご参照ください。
参考:(https://ameblo.jp/thro-world1993yk/

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総評

 以上を読んでいただければ分かるように、1弾は限定的なカードプールの中でも目まぐるしくメタゲームが変動して多彩なカードが活躍できる環境だったといえます。その理由についてはトレカライターのみすみさんの以下の分析が参考になります。

・SNSや攻略サイトの発達により、強いレシピや正しいプレイが情報として多くの人に渡るようになった点
・アナログ→デジタルの移行によって、トーナメントレベルの対戦数が大幅に伸びた点
の2点から、本シーズンのメインプールであった1~6弾(2002~2003)とは比べ物にならないほどレベルの高いメタゲームが展開されている。

https://gachi-matome.com/p-dm-0106-7misumi

 この記事のデッキレシピの出典を見れば分かるように、デュエプレはTwitterやYouTubeといったwebサイトによって常に情報が飛び交うことで発展していった側面が大きいと考えられます。さらにそうした情報を即座にランクマッチで試すことができるというDCGの特性も上手く作用しました。

 加えて1弾のカードプールの調整も非常に優れていたと考えられます。まずサムネイルにもなっている5文明のSRが程度の差こそあれすべて活躍できていました。そしてTCGのデュエマでは問題があったカードが軒並み未収録もしくは調整版が収録されています。さらにオリジナルカードもデザイン・性能的に初期デュエマの世界観を壊すことなく馴染んでおり(とくに《聖霊王アヴァラス》は秀逸だと思います)、ロックビーストやパラサイトワームなどの種族が活躍できたことからバラエティに富んだカードプールだったといえます。

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 結論的にいえば《ピカリエ》と《二角》(ともに未来から来たカード)のカードパワーは1弾において突出していました。画像になっている3種は【二角コン】【二角ボルコン】【リースブルコン】【ターボバロム】を見れば明らかなように、組み込むだけで速攻とコントロールに対して一定の勝率を上げることができる汎用デッキパーツといえます(8弾ならウルコスアガピ竜極神セットでしょうか)。それに対処できるのは《パラディン》であることから、1弾環境は最終的にはその二極化ともいえます(どちらが強いかは人によって分かれます)。
 しかしこの記事を読んでくれた方なら分かると思いますが、1弾環境当初からこれらの強さが完全に判明していたわけではなく、数々のメタゲームの変遷を通じてユーザーが多様なカードを考察して試したという過程があっての結論です。このような過程を考慮すれば1弾は充実した環境だったといえるのではないでしょうか。

おわりに

 以上冗長かつ読みづらい文章を読んでいただきありがとうございました!

 デッキレシピを掲載するだけでは実際にどのように使われていたのかが分からないと思い、なるべくプレイングや環境についての解説を書くようにしました。すると文章が長くなってしまうことが分かったので突き詰めて網羅性が高い記事にしようと考えました。結果的にそれで良い記事になったかどうかは分かりませんが、1弾環境について充実した内容を記せたのではないかと思っています。とはいえ書ききれなかったデッキも多くあるため、決してこれが1弾環境の全てというわけではありません。

 私は1弾の頃からデュエプレを始めたので1弾環境がとても好きです。この記事を読んで当時を振り返ってくれたり、1弾の頃にデュエプレをやっていなかった人にも魅力が伝われば幸いです!

年表

2019.9.6  デュエプレ記者発表会、クローズドβ版参加募集開始
2019.10.12 先行体験会(東京)
2019.10.13 先行体験会(大阪)
2019.10.14 β版応募締め切り
2019.10.31 β版開始
2019.11.6   β版終了
2019.11.15 公式生放送 (1)
2019.12.18 正式リリース、ボルメテウスカップ開催
2019.12.31 ボルメテウスカップ終了
2020.1.1  アルカディアスカップ開催
2020.1.31  アルカディアスカップ終了
2020.2.1    バロムカップ開催
2020.2.21    公式番組初回配信 (2)
2020.2.27   第2弾「伝説の再誕」実装 (1弾のカードプール終了)
2020.2.29   バロムカップ終了

(1)公式生放送ではβ版でのマスター到達者数、生成されたカードと使用されたカードTOP5などのデータが公開された。以下参照。

(2)この配信ではアルカディアスカップの期間中で生成されたSRカードTOP5が公開された。以下参照。

資料集

■note
 note内で参照できる記事については私が以下のマガジンにまとめた。

■攻略サイト

・神ゲー攻略

備考:上から四つが当時のメタゲーム考察、五つ目は後から振り返って記述された歴史解説記事。

・ガチまとめ
「【デュエプレ】『ボルメテウスカップ』メタゲームブレイクダウン」
https://gachi-matome.com/p-dm-0106-7misumi/
備考:記事内でも引用したみすみさんのメタゲーム解説。また同サイト内で「デュエプレ」で検索をかけるとデッキ解説など様々な記事がある。

・トレカカク

備考:ライカルさんによる【シータビート】解説。

・GAME BOX
「トッププレイヤー使用デッキ紹介」
https://dmps.game-box.xyz/11211
備考:マスター帯での連勝デッキの紹介。

デュエル・マスターズWiki

■ブログ

■Youtube

・ささぼー

・はんじょうのカードショップ

・DMラボ

・しょうえもんテレビ

・しゃまのデュエマちゃんねる

・少年兵

・デュエプレAKiさん

■その他

備考:漫画家の真鍋陽さんが作成した1弾環境図。

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