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てんとせん

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1日ずつその日におもいつく文章を書き足していって、一つの話になったら面白いのではないかとおもって試しています。
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#小説

てんとせん-17

だいぶんと時間が経ってしまった。 ここに戻ってきたわたしは、わたしであることを忘れてしま…

chirico kaworu
11か月前
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てんとせん-16

眠気と肩こりが痛みになって頭が朦朧としてきた。眠くてしかたがない。血の巡りがどんどん悪く…

てんとせん-15

音韻を無意識に踏んでしまったリスがくるみを転がして逃げていってしまった。わたしはどちらを…

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てんとせん-14

まだ息はできる。 そのまま寝転がって目を閉じた。床がわずかに揺れて振動が伝わってきた。胸…

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てんとせん-13

かちゃりと音がした。細い光線が隙間からゆっくりと顔をだして左足の小指をなぞって照らしだし…

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てんとせん-12

鏡の前にたって自分の顔をみつめてみた。自分を自分の目でみることはどれだけがんばってもかな…

てんとせん-11

ここから先に進むためにはどう軌道を描けばよいのだろう。いくつも線を描こうと手を動かすことはできるのだけれど、足を動かすことには臆病になる。体の芯を動かすことが生きることだ、手の先まで意識を伸長することはいかにいきるかということだ。芯を動かして伸ばした先にあるものはここからは見えないものであり、存在さえしていないものなのかもしれない。その地に誰かいてくれるのであれば迷わずに歩を進めることができるのかもしれない。だけど今私は、誰かいると信じてわずかづつではあっても爪先を伸ばしてい

てんとせん-10

香りに包まれて1日は始まる。あくびをして飛び出てきた目玉焼きをうけとって、コーヒーと、お…

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てんとせん-8

(とりあえず、近いでしょう。) わたしは彼をこんなに近くでみたことがない。脳内真っ白にな…

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てんとせん-7

目が覚めるとみたことがない天井だった。真っ青なシーツの向こう側にきれいに陳列されたCDラッ…

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てんとせん-6

理由も記憶もないけど、金の鍵が手の中にあるという事実は変わらないのだから目の前にある鍵穴…

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てんとせん-5

目の前にある扉は古びた鈍色をしている。木なのか、鉄なのか、柔らかいのか硬いのかは触ってみ…

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てんとせん-4

今ここにいるわたしは、ここから抜け出す具体的な道や方法を知っている。切符やチケットを手に…

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てんとせん-1

古ぼけた街灯は光量が増減を繰り返し飛び交うユスリカたちを照らしている。ふとユスリカの影を探し求めたが、足元に届くと光は弱まりちいさな彼らの存在を示すものはない。光にかき消された影はどこを彷徨っているのだろう。