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俺、家行ってでも止めるわ

こどもの頃から、自分が出っ歯なことには気づいていた。歯並びの悪さは父から、出っ歯は母から受け継いだらしい。

姉妹の中でも、歯並びが一番悪かった姉2が小学生の頃から歯の矯正を始めて、成人した姉1もその後を追った。姉二人が矯正したからか、自分の出っ歯を色濃く受け継いだままの末の娘を不憫に思ったのか、大学生になって恋人もでき色気づいたわたしに、母は「矯正したかったらしてもいいよ」と言った。

それまであんまり深く考えたことがなかったのに、そんなことを言われると、しといた方がいいんじゃないか、ちっとはかわいくなったりするのかな、なんて思ったりした。

そんな時に、仲の良かったやまとくんという友達に、「矯正しようかと思うねんな」と何気なく言ったら、「Aguiの出っ歯が無くなるなんて、俺、家行ってでも止めるわ」と、言われた。

それで、矯正するのは、止めた。20年近く経った今も、やっぱり、しようとは思わない。

ありがとう、二十歳のやまとくん。わたしは今も相変わらず出っ歯で、でも、やっぱり、今もそれを嫌なことだとは思わない。

出っ歯は、とうもろこしだって食べやすいねんで。

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