A10悲歌


灰いろの桜としごとにふえつのり東京の空はつくりものかも

クラクラする。

夜からはいれかわる潮沖合いのながれは水による蟻地獄
いずれこの地表も無人の海域の巨大な渦に飲まれて消える

現代のタロー

ほらきみもひとでなしだねかれらならぬきみらがめでるしゅうだんりんち
海岸線かたへは生のかたへは死の帰るふるさとまたとびだすくち

火星は赤い

金属をするどく冷やす闇夜にはだれの生家か工場跡地は
音楽というなら血潮を氷りつかせつぎの瞬間炎に変える

(ロック再台頭)

砂ひかる金字塔に目があえばもう世界は縫いぐるみの地下世界
まるい目にせまい世界をうつりこませ王である仔猫その帝王学

マスクと素顔

やすらげるとき愉しめるときさぐる野守のひとりがきみの愛のひと
あまえないはあまえだいつも何々はあまえというから議論ができない

夕方の汗

七色の螺鈿のひかり耳にもつ女子のほのかに明るむひと混み
「すとろべりーふぃーるずふぉーえゔぁ」キーはたぶんAだと思う英国の笑い


Les Choses Perdues

脳内でゆたかな思いをまとめあげ書きとめようとする空虚に遭う
水無月の雨のはれまの前栽のどくだみの白刈られ去られて

what a wonderful life

権力とお金の方しかみていないひといつまでもみていないひと
暴走をいつも食い止めねばならぬべつのちからとともにあるらいふ

野原とトランスサタニアン

ウラノスの衛星のひとつあどれすを問えばグーグルに公式もない
何十年生き残れたら解けているかはるじおんひめじょおん問題
 
薄荷

あくる日や六時間後に楽しみななにひとつもない息がつづくか
深翠もう深く夏の独裁の島にふりそそぐ月の薄片

こんな日は

血でぬらす生あるものの同一性腐るまで悪循環のとりこ
やっと自分メトロノームを膝にのせた夏のゴーヤのように苦いやつ

子どもが嫌いだ

あほうどりのしろい逆境まばゆくて世界は深く翳る背景
牛みればなぜこれほどにフレンドリイかつ穏やかないのち破壊する

凶星が来た

生涯で私がしたと思えたことすべてが母の自由と成果
母のなかに母あらずその空席はひたすら「父」で埋められてゆく

書いてのちの

十月がおとずれるまで日付けのない雨音ばかりとなった日の世界
サザン嫌いセロリが大好きゴーストでホーンテッドな町ゆく夏服

いつからかひととリズムであえなくて単純なことにパンダがにくづけ

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