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廃星で

(独我論、

昧爽のそよ風ひとつ風見鶏をきしませあくる秋をさししめす

(時の土

試金石の指輪の老人やせた手を山羊座の土星に照らさせている
葉月きて十五夜にまではこばれて後ろへたどれぬ時の旅人

(正確

ひぐらしの幽霊の音ひびくとき中止の季節がその音の影
身体はシーソーに乗るなりたちの発泡もする正確さをもつ

(全身が歌うまで。

(幽霊の笑い

生物のいなくなったその惑星を銀色に染める恒星の熱

(神による廃棄

ひとをひとりあやめることなく歳をへてひねもす鳥の歌を聴いている

(文字のオアシス

てくまくまやこんときみは唱えたがスバゲッティはまあるく曲がる
いちごそして桃にまもられいきものなひとのこはまた歌声つよめる

(廃星

甘い味のジャムの子ら今日空は銀乱反射するおちこちの声
だれしもの凡庸でとてもプレシャスな物語たちが環境破壊

(相対性理論

時は錆び細胞はこげてこの星にいのち新しいゆえに蒼古な
今という亀にどうしても追いつけぬアキレスタイムマシン駆使して



(ひとりで生きろ、ひとりで死ね

(あなたがたはかならず私をしいたげる「親」だの「友」だの実在しない
ジャイアンのからだをもったしずかちゃんきみを思って私涙する

(色彩

ゆうづきのかげり淡くて私たちだれも幽霊灰いろのまち
花ほどの重みせいぜいひとらみな花と花ほどのちがいたいせつな

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