【小説】Lento con gran espressione(6)
「凄い、まるで異世界ですねー」
菅野くんが感嘆して言った。
そこには鬱蒼と茂った緑と色とりどりの花で囲まれた小さな楽園があった。周囲に塀がなく開放的だ。あまり見たことのない石造りの家だった。平屋で敷地が広い。家の壁には可憐な淡いピンクの薔薇と白い花が窓を除けて張っていた。大きな木が目立って一本あって小さな小花をちらしている。庭は見事に入り口から薔薇が咲き誇っていた。周囲には名前の知らない華麗な花が無数に咲き乱れている。清らかな白い花々は上を昇るように咲いていて統一さ