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スマホVtuberのおはなし

Vtuberは現在、6000人以上いると言われています。やり方は千差万別です。
つよつよPCとVR機材で3Dアバターを動かしてる人、FaceRigとLive2Dでやってる人、そして、スマホアプリで配信している人も最近では増えてきていますね。とはいえ、急増したのはアプリが充実したつい数ヶ月前からだと思います。それ以前にスマホでバーチャルの世界にやってきた人たちを、わたしはすごいと思っているのです。

わたしのだいすきな呉葉ちゃん

わたしが初めて出会ったスマホVtuberは、今ではアイドルグループ「PoisonLily」で一緒に活動している「バーチャル転移少女 呉葉」ちゃんでした。

呉葉ちゃんに出会うまで、わたしは自分の環境がVtuberをはじめるにおいてのミニマムセットだと思っていました。無料で作れる3Dモデル、無料のMMD、たまたま導入していたVOICEROID。それらを入れたノートPC。

でも呉葉ちゃんはさらにミニマムな状況から、バーチャル世界に来ていました。一枚絵と、スマホの動画編集アプリ。声すら出せない異世界から、メッセージを伝えようとしたのです。

そんな彼女に、わたしは俄然興味を惹かれました。Twitterでお話するうちに仲良くなり、PoisonLilyへとつながっていきます。呉葉ちゃんの動画を見て、「可能性とは」ということをすごく考えたものです。そう、誰もが持つようになったスマートフォンというものと、人の創造性の可能性のことを。

スマホはコンピューターなんですよ

その後も多くのスマホVtuberと出会いました。みんな手のひらの上の小さなデバイスを最大限に使いこなして工夫して動画を作っていました。
一時期はスマホVtuberをバカにする心無い発言がバズったりして心を痛めた人もいました。そういうことを言った人はスマホをどんなものだと思っていたのでしょうか?やっぱり、電話ですか?電話だと思ってるんでしょうか?

スマホが「スマートフォン」と呼ばれているのは確かに、電話の機能も持つからです。お正月のNHKの番組「平成ネット史」でホリエモンが言ってましたが、スティーブ・ジョブズの最大の功績はiPhoneに「phone」つまり「電話である」と思わせるネーミングをしたことだと。電話だと思えばみんな従来の携帯電話から移行して使ってくれる。コンピューターをコンピューターと意識させず使える。それが革命的だった、ということなのです。

でも実際のところスマホにとって電話は機能のひとつ、アプリのひとつでしかなく、本質はアプリによってやれることを増やしたり時には減らしたりできるコンピューターなんですよね。わたしはTwitterとデレステくらいにしか自分のiPhoneを使ってませんが、使う人によってそのあり方は大きく変わるものなんです。スマホVtuberはそれを身をもって教えてくれました。

搾取か創造か

「ウェブはバカと暇人のもの」などの著書で知られる中川淳一郎氏がなんかの雑誌に寄稿した記事で「スマホはただ搾取されるための道具」といった趣旨のことを書いていました。そういう側面も絶対にあると思います。ただただガチャを回すだけにしかスマホを使っていない人なんて山程いるでしょう。それはまさに搾取にしか見えない。でも、ソーシャルゲームのアプリもクリエイティブツールのアプリも、同じようにストアに並んでいて、選ぶのは使う人次第なんです。

スマホはそういう意味で使う人間の程度を晒す残酷な装置かもしれません。一方では金を搾られるだけ搾られてる者がいて、もう一方では同じデバイスでお金を稼いでいる人がいる。ただただ人を貶めている人がいる一方で、良質なつながりで承認欲求を満たしている人がいる。そして、創造力の翼を広げて自由に飛び回っている人もいる。わたしはそんなスマホVtuberが、だいすきです!

そして未来へ

カスタムキャスト、Vカツ、IRIAM、REALITYなど、現在ではスマホからアバターを動かして配信するアプリが増え、スマホVtuberも珍しくないものになりました。ただ、誰もが不特定多数に対して配信がしたいかというとそうではないと思います。今後はもうすこしクローズドな一対一の通話やグループトークのような方向にもバーチャルアバターの使いみちが増えていくんじゃないでしょうか。ポケットの中にもうひとりの自分を持ち歩いてコミュニケーションする未来は、そう遠くないでしょう。

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