見出し画像

明日世界が終わるとしたら

「明日世界が終わるなら、どうする?」
そう、友達に言われた。そんな質問に答えるネタは探しても近くに見当たらないので友達に聞き返した。
「◯◯ちゃんは?」
友達は考えているのか少し下に視線を下げて私の机の傷にピントを合わせた。5秒程経ってから今度は私に視線を向ける。
「そうだね、私は助かる方法を考えるかな。」
助かる方法か、と私も明日世界が終わるならどうするか考えてみた。
「私は、いつも通り過ごすかも。」
かっこよくなければ、面白味もない平凡な答えに、友達は不思議そうに目配せをした。
 思えば、同じような質問をしたら、「最後に沢山ご飯を食べたい」だとか「友達や家族に電話したり、会いに行ったりする」とか言う人が多かったような気がした。そんな答えに比べたら、確かに私の答えは平凡だと思った。でも、ともう一度考えてみる。もし本当に明日世界が終わるなら、犯罪をしても取り消しになるかもしれない。好きなご飯を沢山食べないと、後悔してしまうかもしれない。友達や家族に電話したり会ったりしないと、不安で仕方が無くなるかも。でも、なんとなく知っていた。今何をしても結局は世界を変えられないと。きっと誰かに良いことをしても自己満足になるだけで、後から全部燃やされて消されて、新品なノートのように真っ白になってまた一からになるのだ。
 それから、最後に助かる方法を考えてみた。もしかしたら地球と同じような環境の星に逃げられるかもしれない。ロケットに乗って地球から脱走することができるかもしれない。少し前向きに考えるだけで、視点が大きく変わったような気がした。前向きに生きる友達が、大人になっていくのを改めて感じた。後先長い人生で、少しでも前向きに生きられたらと思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?