裁判員裁判

2年前の備忘録です(^^;;

今日、11時〜 判決があり、全ての任務が完了したのでちょこっと_φ(・_・
判決が出たのと、公開の法廷で見聞きしたことに関しては守秘義務が無いので、書ける範囲でざっと思いつくまま書き留めておきます。
何せ書いたメモは一切持ち帰り出来ないので、記憶が薄れる前に💦

私が今回担当した事件。
罪は
身代金拐取、拐取金取得、逮捕監禁、傷害罪
出入国管理法違反、難民認定法違反

被告は27歳のベトナム人🇻🇳
技能実習生として来日した彼は、その志を持ってやってきたが、受入先で日本人に殴られ、怖くなり脱走。
その時点で、在留資格が無くなるわけだけど、来日の際に150万円程の借金が残っていたので、帰るに帰れずにそのまま日本に残る。

暫くしてオーバーステイで逮捕されるけど、その後仮放免となり、そのまま帰国せずに働いて、100万円貯めたら帰国しようと考え、友人の家を転々。
ベトナムの平均月収は3万円。日本で働けば10〜11万円??

そんな中、今回の事件を起こした主犯格の男とその手下となる居候先の同居人3人らから、借金の取り立てのアルバイトがあるよ、○○県に行くよと誘われて、報酬欲しさに付いて行き、今回の事件を起こすことに。

被告は、今回のベトナム人被害者がベトナムのロデという違法賭博に負け、その借金の取立てをするという目的だけを知らされて、車で関東から○○県へ主犯格らと一緒にやってきた。
しかし、被害者が抵抗したため、車に乗せて関東まで連れて行き、5億ドン(ベトナム貨幣)の借用書を書かせ、支払いを拒むと車で連れ回し、監禁して暴力を振るった。
そして、その行為をベトナムに居る家族に通信アプリfacebookのメッセンジャーで送りつけて、身代金を要求するまでにエスカレート。

今回の被告は4人の中での立場は完全下っ端。
従属して、ただ言われたことをやるだけで、暴行の内容としては、逃げられないよう腕を掴むとか、ロープを解いたり、見張りをしたり、殴れと言われ2、3回平手打ちした程度の軽いもの。

主犯格が殆ど行ったとされる暴力シーンはfacebookのログに残り、それが全て今回の事件の証拠となって提出されたが、法廷では動画ではなく、スクリーンショットとして写真で公開でした。ちょっと救われたかな…
金属バット(全裸にしてうつ伏せにして臀部を殴打)にロープ(腕を縛る)に、ナイフ・まな板(指を落とすぞ!といった脅し用)もあったから…ちょっと衝撃的😱

裁判員候補になった時点では、まだこのような詳細はもちろん分からず、事件番号から裁判所のホームページで事件名を知り、新聞記事を検索して簡単な概要を知るのみ。
殺人事件じゃなかったので、これならやってみてもよいかな…と思い、断ることなく選任日約30人からコンピュータクジによる抽選。
まさかもう当たらないだろうと軽く考えてたら、なんと!26番さん大当たり🤣🎯
宝くじもカスリもしないのに、なんで??🤣

でもちょっと興味あったのも確か🤭
せっかく選ばれたんだから、お役目果たそうと、会社に裁判員休暇、合計5日申請。
日当も出るから、良い小遣い稼ぎになるだろうし…って、私も利欲ありあり?🤣

いよいよ判決日。
もちろん私たちが裁判官と一緒に充分話し合いをしているから、判決内容は分かっているが🤫

判決の主文

懲役4年 

執行猶予は懲役3年以内にしか付かないので、実刑です。

言い渡された時 被告は思わず涙溢してました。
思ったより厳しかったんでしょうね…そして後悔。

見ていて切なかったです。

前科無しのごくごく普通の青年。優しい綺麗な目をした若者。
しかし、共同正犯。一部実行全部責任の原則。
ただ見ていただけでも、協力し合って目的を達成しているから、同じ罪に。
強盗事件の見張り役をやっただけでも主犯と同じ罪になる。(量刑には差が出るが)
借金取り立てだけに4人も束になって実行する時点で、それだけでは済まない、力で抑えるには複数人必要だな…とか、薄々事情は分かっている筈だと見なされ、共謀してやったと見なされても仕方ないのか…本人はそのつもりなくても…

技能実習生として真面目に働くつもりが、来日後に職場で暴力に遭い、そこから彼の人生が狂い出した…
事件を起こした事実と罪は消せないけれど、こういった背景をみると、言葉の分からない外国人技能実習生を受け入れる側として、日本人はどうあるべきかも考えさせられますね…

今回の被告は若かったし、外国人ゆえ無知なことも多かったと思うし、日本人であっても若い子がSNS等で、こういった事件に加担してしまうこともよく聞く話。
最近、若者が軽く受け子をやって逮捕されてる事件も多いけど、一部実行全部責任。
罪は重いのです。

“君子危うきに近寄らず”

--裁判員を初体験して--

私自身、評議では順番に発言を求められ、上手く話せなかったけど、裁判官が上手く纏めてくれたし、裁判員をやってたくさん勉強させていただきました。
今ではやってよかったと心から思います。

この裁判員選任の抽選って、毎年選挙人名簿からこれまでやった人も含めて無作為に選ぶらしく、また当たる可能性はありです。
また当たったらよっぽど…ですね。

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