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871ンスタライブ #062(一人喋り)

#871ンスタライブ   #062
2022年2月11日(金)

第62回目の配信は、1人喋りでお届け。 事前に頂いた質問、"ロックバンドに対して"と"マネージャーって何してるの?"の回答から始まり、そこから派生して、後半はマネージャーとは何か?についてのトークが展開されました。

主催:柳井 貢(以下:871)

(871) こんばんは。お疲れ様です。
今日は何喋るか決められていなくて。何も考えずに「テーマというか質問あったらゆるっと募集しまーす」みたいな声かけをしたところ、DMで2つ質問を頂いたので、その辺についてひとまずお話しようかなーと思っております。

「もう香川にいらっしゃいますか?」
今日はDENIMSのツアーファイナルで大阪にいますよ。で、明日一回戻って、香川ね。雪がどうかなって感じですけどね。


はい。質問読みます。
「ロックバンドに対してこれから求めていきたいもの(新しいサウンド、新たなライブの演出、新たなスタイル)や、これからのロックシーンに対して切り開いていきたいものなどがありましたら教えていただきたいです。」
ロックバンドに対してこれから求めていきたいもの。今求めてる、これからのこと。これね、分かるような分かんないような…悩ましいなぁと思って。僕自身が「ロックバンドってこうあってほしい」とか「こうなっていくべきだ」とか「こういうことをするべき」「~~すべき」みたいなことがあんまりないんですよね。

例えば「新しいサービスとかプラットフォームとか取り入れていったらいいんじゃない?」とか「あんまり古いものに固執しすぎるのも良いとは限んないよ」とか、そういうことは思う節はあるんですけど、何だろうなぁ。誰でもそうだと思うんですけど、何かを目指す時に、自分が見てきたものを一個の参考事例として、そういうようなものを目指したり、超えられるようなものを目指したりって、自分の経験値とか見てきたものが指標になると思うんです。一個の物差しにね。でもそれが、40代の僕と30代の人達と20代の人達と10代の人達と…っていうので見てきたものが全然違うので。例えば僕ら世代がTHE BLUE HEARTSとかスピッツとかMr.Childrenとかを見て「ああいう感じ」っていう比喩を用いたところで、今の10代の子達が思い描くそれと僕らが思い描くそれっていうのの誤差が大きくあって。だから、ロックバンドっていうことのあるべき姿とか目指してるものも、バンドによってもそれぞれだと思うし…もしかしたら、20代とか10代の子からするとロックバンドっていう言葉自体がどこまでピンと来てんのかな、っていうのもちょっとわかんないですし。僕は。

だから「自分たちはロックバンドなんだ」って思ってる人達がやりたいことが、ロックバンドのやることになっていくんだろうなと思います。バンドっていうことに対する考え方も変わってきてると思うので。バンドの定義って…そういえばどうなんでしょうね?語源的に言うと。オーケストラはバンドなのか?とかっていうのが僕はちょっとよく分かってないんですけど、いわゆる4人組ロックバンドがその4人で人生添い遂げることが基本、みたいなとかーーTHE BLUE HEARTSさんとか、THE BLUE HEARTSでメンバーが変わって、↑THE HIGH-LOWS↓になって、↑THE HIGH-LOWS↓からザ・クロマニヨンズになって、みたいな。ヒロトさんとマーシーさんは一緒だけど、他の二人は変わってバンド名も変わるっていう、そのメンバーがそのバンドなんだっていう考え方ーーも、もちろん1つあると思うんですけど、それだけが全てじゃないし。メンバーが入れ替わり立ち替わりしてても、それがバンドですっていう。最近でいったらmillennium paradeとかわかりやすいと思うんですけどね。あれをバンドだという人もいるしあれはバンドじゃないっていう人もいるかもしれないし。「バンド」っていうことの定義も曖昧だと思うので。

もっと言うと、ロックっていうことの定義もすごく曖昧なものなので、それを作る人が(これからのロックシーンを)作っていくのがいいんじゃないかなっていう風に思っています。だから僕自身が主体的に「これからのロックシーンをこう切り開いていきたい」みたいなのは特にないんですけれども「自分達はロックバンドだ」って思って活動してる人達を応援したいなぁと思った場合、その人達の特性を見定めながら、応援・サポートしつつ「そういう考え方なんだったら、こういうこともやってみたら?」とかっていう助言をすることもあるかもしれないですね。

では、2つ目の質問です。
「マネージャーの作っているものについて教えていただきたいです。私は3月で音楽の専門学校を卒業します。2年間音楽業界の裏方について学んできましたが、未だにマネージャーの仕事がよくわからないです。私はもっとマネージャーがどんな仕事なのか知りたいので、具体的にマネージャーさんが作っているものを知りたいと思いました。」で、先日僕、OSMっていう大阪スクールオブミュージック専門学校っていうところで講義をさせていただいたんですけど、その講義の中で、「いわゆる新人さんに”工程表とタイムテーブル作れる?”って聞いた時に作れる能力があるかないかってやっぱあるじゃん?」みたいな話をしたんですけど、それを引用されていて。「その発言で、工程表だったりタイムテーブルをマネージャーが作るものだっていうことを知りました」と。質問を頂いた方がね。「他にもメディアに出る際の提出資料だったりCD を売る際の資料だったり、マネージャーさんは色々な資料を作っていると思いますが、どんなものを作っているのか教えて欲しいです」
っていう話ですね。で、この質問で言うと、まぁ「作ってる」っていう表現をされていて、もちろんそれは形として「こんなものを作るのはマネージャーの仕事ですよー、これを作ってますよ、あれを作ってますよ」っていうはあると思うんですけど、もう少し大きく捉えると「マネージャーの仕事って何してんの?」っていうことだとは思うんですよね。

で、「マネージャーの仕事なんですか?」っていう質問に対して、「これです」って僕も答えづらくて。ちょっと僕も考えながら今に至ってるんですけど、なんかこう「お母さんとかお父さんの仕事って何?」みたいな質問にちょっと近いのかなと思ってて。チームの中で、誰かがやらなきゃいけない役割っていうのはあるんですけど、必ずしも「これは絶対マネージャーがするべき」みたいなことも…ないことはないような気もするけど、まぁそうですね。強いて言うなら、全体がすべきことが回るように采配するというか。「管理する」っていう言葉がしっくりは来てないんですけど、でも「管理する」っていうことになっちゃうのかなぁ。なんでしょう。まぁどういうことかで言うと、家庭において「一日三食ご飯を食べなきゃいけないですよね」っていうことがあった時に、割と沢山の家庭でお母さんがご飯作ってることは多いっていう状況はあると思うんですけど、ただ「お母さんの仕事はご飯を作ることです」っていう表現は完全には一致しないと思うんですよ。「ご飯作るのが私の仕事」って思ってるお母さんもおられるとは思うんですけど、世の中には色んな家庭があって、もちろんお父さんがご飯作られてる家もあるかもしれないし、完全に外食中心の家庭もあるかもしれないし、もしかしたらお子さんがご飯を作られてる家庭もあるかもしれないし、「こうでしかあり得ない」っていうことは多分なくて。なんかマネージャーの仕事もそれに近い部分があると思うんですよね。

例えばオフィシャルホームページの更新はマネージャーさんがやってることが多いよね。っていうのもあると思うんですけど、でもマネージャーが絶対やってるのか?って言うと、必ずしもそうでもなくて。事務所だったりチームによってはデジタルセクションみたいなことも予め作ってる、ウェブサイト管理みたいなセクションを作っていて、ホームページの更新はそういうチームがマネージャーとは別でやってますっていうチームもあるだろうし。オフィシャルのSNSもマネージャーさんがやってるパターンが多いと思うけど、メンバーさんだったり、アーティストさんが直接自分でオフィシャルのSNSを動かされてるケースもあるし。それもSNSチームみたいな事を持ってる事務所もあるかもしれないし。で、さっきちらっと質問の中で出てきた工程表とかタイムテーブルをマネージャーが作ってるケースももちろんあると思うけど、(講義の中で)一つの例え話として「工程表とかタイムテーブルを作れるのか否かっていうのは能力差が出るよね」っていうのを話したと思うんですけど、ただ実際「工程表は必ずマネージャーが作るものだ」っていうふうき必ずしも当てはまるものでもなかったりするんですよ。

もうちょっと話を置き換えると、”マネージャー”って、音楽業界とか芸能界とかタレント業務とかでいうマネージャーっていうイメージがあるのかもしれないですけど、英語の語源で言うとコンビニの店長さんもおそらくマネージャーなんですよね。店舗をマネジメントするとかレストランをマネジメントするとか、あとはプロ野球チームをマネジメントするみたいな。色んな業種において、一つのプロジェクトとかお店、チームをマネジメントする立場の人をマネージャーっていうふうに呼んでいて、それも結構いろんな種類のマネージャーさんがいると思うんですよ。

自らがお店のホールスタッフとなって接客をされてる店長さんもいれば、接客業務は基本的に他のスタッフさんに任せてお金の計算とか材料の仕入れとかアルバイトのシフティングをやったりっていう人もいたりとか。それと同じように、バンドとかアーティストのマネージャーもいろんなタイプの人がいます。マネージャーの得意なこともそれぞれ違うし、アーティストのやりたいことやマネージャーに求めることだったり、そのアーティストに足りてないこととかサポートした方がいい事も違うので。それによってマネージャーがやるべきことも変わってくるのがあります。だから、マネージャーが何するべきなのか?っていうのは結構マネージャーさんが自分で決めたらいいような気もしてるし、なるべく出来る守備範囲の広い人の方が、求めてるものに提供できると思います。っていうのが大きい考え方ですね。

例えば僕とかでいうと、学生時代とか20代の時にグラフィックのデザインをかじってたこともあるので、SNSの告知画像とかYouTubeのサムネイル画像とかイベントの告知画像とかチラシとかを割と自分で作っちゃうことがあるんですけど、それも必ずしもマネージャーがしなきゃいけない訳でもない。でも、出来たほうが得する場面はもちろんあります。ただ、僕とかでいうと音楽的知識がそんなに深くないので、コードもわかんなければ、ピッチもわかんないし聴いてる音楽の量もそんなにたくさんないし、いわゆる音楽シーンみたいなこともちゃんと勉強してないので、そういう音楽の知識が深い人もいれば、僕みたいにそこはそんなに得意じゃないですよっていう人もいます。それによって、レコーディングにすごい立ち会うタイプのマネージャーさんもいれば、僕みたいにレコーディングはそんなに立ち会いません、っていう人もいる。マネージャーさんっておそらくチームをマネジメントできればそれで良いのかな、っていう感じなんですよね。質問頂いた方からすると、もしかするとちょっとホワッと返してしまっているかもしれないですが。

まぁでも、そんなことを大枠として捉えながら、じゃあ僕のだったり僕の周りのマネージャーさんが、とはいえよくやってる事を考えて話してみるのもいいなと思っているので、ちょっと話してみようかなと思うんですけど。まず、スケジュール管理はしてることが多いです。僕はGoogleカレンダーをチームで使ってるんですけど、決まってるスケジュール入れ込んだり、オファーがあったものとかこっちから提案してるものは仮のスケジュールに入れたり。あとはそのスケジュールの様子を見ながら「レコーディングはこの辺りのタイミングでやるのがどうか」とか「ライブのリハーサルはこのタイミングでやるのがいいんじゃないか」とか「この撮影はここでやる方がいいんじゃないか」とかっていうようなスケジュールの調整?あとは「ここ過密になってるからこれ以上入れない方がいいでしょうね」とか。「メンバーの誰々がちょっと最近しんどそうだから休み欲しいって言ってました」とか。そういうスケジュールはやってることが多いです。まぁでもそれも最近で言ったらメンバーさんが自分でやるパターンもちょくちょく出てきてるんじゃないかなと思うんですけど。

あとは対外的な窓口ですね。これをレコード会社と分担してたり、ライブ制作さんとかイベンターさんと分担してることもよくありますけど、最終的にアーティストとかメンバーが動くことに関して、お話を頂いたときの電話なりメールの受け答えは、誰かが間に入ってくれてる事があったとしても、最終的な窓口っていうのはマネージャーがしていたりします。あと「こんな話あったけどどうする?やる?やんない?」みたいなことをメンバーと話したりするのもマネージャーの仕事であることは多いですね。

まだまだたくさんあるんですけど、まぁそういうスケジュールを管理して、「こういう風にスケジュールを使いましょう」「こういうふうなライブがあります」とか「露出があります、リリースがあります」ってなった時のインフォメーション、SNSは割と事務所領域、マネジメント領域でやってることが多いような気がしますね。レコード会社さんとかがやられてる場合ももちろんあると思いますが。でもこれは、バンドやグループの場合とソロアーティストの場合で結構違ったりします。グループの場合はグループのオフィシャルアカウントがあることが多いと思うんですね。ソロアーティストの場合は個人のアカウントとアーティストのオフィシャルのアカウントが一緒になってる場合があるんで。そこのチームによって個人アカウントとスタッフアカウントを作るケースもあるし、同じアカウントを使っていてスタッフの投稿は(スタッフ)みたいにつける場合もあるし。そこは様々だと思うんですけど、まあでも最近でいうとTwitter、Instagram、TikTok、YouTubeのコミュニティ投稿の更新をマネジャーがやってることは多いような気はします。あとはホームページの更新やファンクラブの更新とか、そういう部分をマネージャーがサポートしてるケースは多いんじゃないかな。外向けのインフォメーションの部分ですね。あと思い出したけど、雑誌とかテレビとか、ウェブメディアとか出てた時の写真チェックだったり原稿チェック?この辺はメンバーがやることもちょこちょこ増えてきたような気もしますが…

「柳井さんの判断のスピード感、尊敬してます」
これ、業界仲間が言ってますけどね(笑)。そうですね。なるべく悩む時間を短くすることは意識はしています。判断するまでの判断材料を集める時間と判断をする時間っていうのを極力わけてて、判断材料を集めきるまでは判断はしない。そこにはちゃんと時間をかけつつ、判断材料が集まっちゃえばもう決めちゃう。その判断した方を正解に導くための努力に時間を使う。っていうのは割と意識していますね。すみません。仲間のコメントに脱線しちゃいました。

で、SNSとかインフォメーション対外的なこと。あとはその工程表とかタイムテーブルとかっていうのは恐らく「制作業務」と呼ばれることに入ると思うんです。制作業務っていうのはライブもそうだし、音源制作もそうだし、ファンクラブのコンテンツ制作もそうだし、YouTubeの動画制作もそうだし。そういう制作業務もわりかし事務所がやってる場合が多いと思いながら、結構その作るものによって…じゃあミュージックビデオを作るってなった時にミュージックビデオの制作会社がいてプロデューサーがいてそこに発注したりとか、ツアーを製作しましょうってなったらツアーの制作スタッフとかライブ制作っていう人がいたりとか、わりと制作業務は外部と手を組んでやるパターンもたくさんあるので。アーティスト活動における制作業務が全部で100あるとしたら全部が全部、100事務所でやってる、マネージャーがやってるところもあるかもしれないけど、少なくても20%ぐらいは外部に発注してるような気もする。まあ少なければもう15%とか10%ぐらいを事務所がハンドリング持ちながら、残りの85%、90%。95%ぐらいを外の何某のプロフェッショナルと共有してやる、外部発注してるっていうことは全然たくさんありますね。どこまでを制作と呼ぶのかはなかなか絶妙なところなんですけど。

ファンクラブ運営も、制作業務も入ってきつつマネージャーが関わってることも多いし、あとはグッズ販売ですね。マーチャンダイジングの部分も製造会社、グッズの製造会社とかと協業は少なからずしてるはずだと思います。Tシャツのシルクスクリーンを全部事務所で刷ってますっていうことはなかなか少ないと思うので。グッズの開発とか企画販売とかっていうのは何某マネージャーが関わってることは多いですね。あとはそれの広報活動。次のツアーのグッズのメンバー着用写真の撮影とか、ポップの作成とか。っていうところですかね。ただ、チームの大小によっては全然変わってきます。バンドワゴン一台でツアーに出たりするチームであれば、グッズの販売までマネージャーさんがしてるケースもたくさんあると思いますし、その辺りは規模にもよって変わってくるのかなっていう感じもします。

あと、そっか。それで言ったらライブに出かける時の運転をマネージャーさんがしたりすることもあるし。だけどそれが「車の運転はマネージャーがするべきものだよね」みたいな考え方を僕はあんまり好きではなくて。もちろんそういうのができる人はそれをすることでコストを圧縮できてバンドの活動資金に回せるので良いと思う。でも、ちなみに僕が20代の時にバンドメンバーと僕とPAさんと5、6人で一台でツアー回ってた時は、メンバーと僕とPAでかなり等分に運転時間を分けてましたね。東京ー大阪6時間かかるとしたら4人で1.5時間ずつみたいな。で、残りの時間は寝たりだとか、僕はパソコンで仕事したりとかもさせてもらいながらやってました。何が正解っていうのも誰にも決められないので、そのチームにとっての正解がそのマネジャーにとっての正解なのかなっていう風に思っています。

あとあれか。写真撮ったりするマネージャーさんも最近はちょこちょこいるような気がするな。ライブ写真とかね。もちろんカメラマン連れて出ることもすごい増えたと思うんですけど。あと、さっきの運転とちょっと絡みますけど、マネージャーさんによってはメンバーの送り迎えをするようなチームもあるし、送り迎えするんだけど、マネージャーはなるべく運転せずに運転手さん付きの移動車両を外部発注してる事務所さんとかもありますね。あとは衣装の管理とか。ライブとかの衣装の管理をマネージャーさんがしてるケースもある気がしますね。あとは、制作業務に含まれますけど、ライブスタッフとか撮影の時のメイクとかスタイリストとかの発注をマネージャーがしてたり外部委託してたりっていうのもあります。でもあれかも。いわゆる、マネージャーさんっていうのは大体所属事務所の人であることが多いんですけど、その「所属事務所」っていうのが、例えばサカナクションで言うとレコード会社はビクターで所属事務所はHIP LAND MUSIC、KANA-BOONで言うとレコード会社ソニー、所属事務所はHIP LAND MUSICなんですけど、レコード会社みたいな存在があるアーティストと、レコード会社もレーベルも事務所も全部事務所がやってますっていうことによってもマネージャーさんによって変わってきますね。

「マネージャーさんは決まったお休みはあるんですか?」
決まったお休みっていうのを土日みたいなことで言うなら、必ず土日休んでるとか必ず日月休んでるとか、水金休んでるとかっていうマネージャーさんは多分ないんじゃないかな。いないような気がします。成立しなさそうじゃないですか。アーティストが曜日で稼働やってることを見たことないんですもんね。多分ね。

お、コメントがちょこちょこいただけてるんで、じゃあそもそもの「マネージャーがやるべきこと?作ってるものは何なのか?」っていう質問はさっきみたいなとこで一旦区切りますね。で、コメントを拾いつつお話していきますね。

「ただの興味なのですが、主にライブはどこで見ていますか?また、見ていて意識していることはありますか?舞台袖・客席・楽屋など人によって様々というのは重々承知です」
音響にすごい興味があるマネージャーさんもいれば、照明に凄く興味のあるマネージャーさんもいたり、メンバーの身振り手振りに興味があるマネージャーさんがいたり、色んな人がいて。僕は最近、結構スマホで撮影してて。そういう撮影するタイプの人がどうかによっても違うんですけど。僕の場合で言うと、それがイベントなのか主催公演なのかとか、あとは誰のライブなのか、自分が演出にどこまで関わってるか否かとかで色々変わってきますが、ド頭はPA卓とか、いわゆる卓席と呼ばれるような音響さん照明さんがいるところで見て、そこからちょっと場内ウロチョロしてお客さんの雰囲気とかを見て、で、トラブルがなければスマホで撮影を始めるみたいなことが多いのかな。でも、出演してるライブによって違ってきますね。屋外のイベントとかだと結構客席とか…あとは幕張メッセとかぴあアリーナとか大きい屋内のフェスの時は、ホールの外も見に行くんですよね。ライブを見てない人がどういう人達なのかとか、どのくらいの人数がいるのかとか結構気になって。だから僕は多少は音響とか照明とか制作部分・演出部分も気にしながらも、どっちかいうとマーケティングの方を気にしてるタイプなような気がします。はい。
次いますね。

「海外公演の時の諸々手配とかは外注ですか?」
うーん。ものによりけりですね。これもね。その”諸々手配”の中に”諸々”が含まれてるので…でも100%全部(マネージャーがやってる)ってことはないかなぁ。VISAの手配とかね、それが得意な人に頼んだ方が、VISAの手配を一から勉強してる時間が勿体なかったりするので。まぁでもライブ、海外に限らず、ライブに関しては大体何某事務所以外の会社だったり業者さんだったりフリーの人かもしれないですけど、関わってることは多いですね。

例えば、20本のライブハウスツアーがあった時に20ヶ所のライブハウスのスケジュールをマネージャーが直接ライブハウスに電話して空き日を聞いて上手く地方が繋がるようにっていうことをしてると、もうそれでマネージャーの仕事終わっちゃうので。割とその辺のライブ周りに関しては、ライブ制作さんとかイベントさんが国内でも協業していることがほとんどです。それで言うと海外公演は、海外の現地のプロモーターさんがいたりして、その人たちとやりとりをするっていうケースが多い気がしますね。

「柳井さんがしていて、マネージャーの仕事して良かったなってことはありますか?」
得られる経験量が多いっていうことな気がします。自分がこの先まだあと短くても20年とか25年、長かったら30年とかーー今40歳なんですがーー仕事していくってなって、自分が仕事として提供できる価値って何だろうってなった時に、やっぱり知識量だったり経験量だったりそこから生まれる判断だったり、経験してることによる効率の良さとかっていうのが自分が持ってる価値なのかなーみたいな。そういうのがしっかり培える仕事だなぁと思っていますね。あと、まぁでも緊張感もありますね。いい意味で。やっぱりメンバーや他のマネージャーやスタッフさんがこれぐらい頑張ってくれてるんだから自分も頑張んなきゃとか。お互いが刺激しあったり、お尻叩き合ったりしながら、お客さんに価値のある音楽とかライブとかグッズとかを提供するために、チームとしてお仕事をしていけるっていうのが単純に楽しいなっていう部分もありますね。答えになってますか?


「柳井さんは取締役副社長とマネージャーをされてますね。」

これ、面白いので拾いますね。そこはあんまり分かれてないんですよね。取締役副社長とマネージャーの二足のわらじ、みたいな感じでは全然なくて。それで言うと、マネージャーとデザイナーもやってるし、マネージャーとライブ制作もやってるし、MASH A&Rの副社長とHIP LAND MUSICの執行役員もやってるし、なんかそこに結構その仕事の線引きってあんまりなくて。だからアーティストのマネジメントをしようと思うと、やっぱりスタッフのマネジメントもしなきゃいけなくて。マネジメントっていう仕事に関して言うと、結構いろんなものが繋がってるので、大きく捉えて”マネージャー”なのかもしれないなとは思います。予算管理みたいな事でいうとプロデューサー業も入ってる気がしますが。だからなんかマネージャーっていうのは肩書きではないというか。そう言う意味で言うと、子供と奥さんがいるのでお父さんもやってるじゃないですか。で、お父さんの仕事ってある種外で仕事をすることも含まれてたりするじゃないですか。お父さんとサラリーマンの二足のわらじ、みたいなのもイマイチピンとこないじゃないですか。あ、ピンとくる人はいるのかな。わかんないですけど。僕あんまり、色んな事に線を引いたり分けて考えるっていうのが自分の思考回路としてあんまりできてなくて。だから、トータルでマネージャーをしてる意識でマネージャーをしてるかもしれないですね。

しかも最近は大体複数人でやってるんで。柳井とマネージャーAさんのコンビと、柳井とマネージャーBさんのコンビと、柳井とマネージャーCさんのコンビによって、ここのそれぞれ得意なこと・苦手なこととか相性の噛み合い方みたいなことの違いもあるんで。僕の存在感とか役割っていうのもチームによって変わるんですよね。だから、なんかそんな感じですね。

「線を引かない。わけて考えない。それができることがすごいですね」
うーん。そうなんですかね。なんか自然にやってるのであんまり、すごいでしょ!とは思ってないんすけどね。どうしてもそうなっちゃうっていうか。

「色々な場所に行っていると思うのですが、一年にどのくらい家にいられますか?」
コロナで全然平均値がわかんなくなっちゃいましたね。しかも僕コロナと同時に赤ちゃん出来て、子育てとコロナが同時に来たんで仕事のバランスがすごい変化が起こって。平均的にこう、みたいなことがすっごいわかんなくなっちゃって。去年の2月から今年の2月までの1年でいうと、そんなに地方のツアーで外泊ってあんまりなくて。多分年間で30日もいってないんじゃないかな、おそらく。あ、でもこないだね、熊本でばーっと一週間くらいなかったから。まあでも、この一年はそんな感じでしたかね。

「会社の定年が何歳なのか分かりませんが、これからどんな目標を持ってますか?」
うーーん。すごいざっくりしちゃいますけど、アーティストもそうだしスタッフもそうだし、みんなの体と精神が健康な状態で世の中に何か価値のるものを提供し続けられるっていうのが目標かな。あと自分としてはなるべく自立した形で、且つ、組織マネジメントも両方やるって感じですかね。それが、自分の目標かな、多分。

「マネージャー職に人事異動的なものってあるんでしょうか」
ある会社はあります。まぁ、ない会社もないと思いますけど、どういう考え方で人事異動をしていくのかが会社によって違うんですけど、人事異動がよくあるタイプの会社で言うと例えば一つのアーティスト、一つのタレントさん、一つのバンドに対して2年〜3年でシャッフルしていきますみたいな。そういう、変えることのメリットに重きを置いている芸能事務所とか音楽系の事務所もあると思うし、方や新人の時に一緒にやろうってなったマネージャーと、どっちかが辞めるまでなるべく変化を起こさずっていう事務所もあるし。その両極端がありながら、その間ぐらいの会社もあるっていう感じですかね。人間関係がうまくいかなくなって変えざるを得ないみたいなパターンももちろんあると思いますし。

で、マネージャー職のイメージとして、所属事務所が会社としてあって、それがマネージャーっていう職業を提供してるみたいな印象や、そう受けてしまう考え方もありそうな気がするんですけど、マネージャーっていう職業自体は全然会社に所属してなくてもできることなので。だからこれからフリーのマネージャーさんとかフリーのエージェント、個人事業主としての業務委託でマネジメントをするよっていう人もまぁ全然いるだろうし。個人で独立して、1人でマネージャーさんとしてアーティストと仕事されてる人もいるし。その場合はね、もう人事異動も何もないっていうか、契約があるか切れるかみたいな関係性だったりもするので。だから、いろんなケースがありそうですね。

「柳井さんのお仕事などに関する考え方が素敵だと思ってるのですが、何か影響があった出来事がありましたか?それとも学生時代などから、周りを見たり広い考え方をされてましたか?」
これまでの仕事をする中で徐々にこうなってきたんだろうなぁとは思っています。仕事やその間で得る知識とか経験によって徐々に今の僕に近づいてきていったんだろうし、これからも変化するだろうし、とは思っていますよ。今でもすごい効率重視な部分はあって、効率よく事を運びたいとか、さっき話した判断早くするみたいなこともそうなんですけど。ただ、なんだろうな。30歳ちょいぐらいの時か。自分の中で大きな出来事があって、それを境に、とにかく「嘘つかない・取り繕わない・ごまかさない」を重要視するようになったりとかはしましたね。まぁただ、色んな社会性の中で仕事が進んでたりするので、今言えないこととか、仕組みとかロジックは僕は言ってもいいけど、誰か言われたら困る人がいるとかっていうパターンもあるので、言ってない部分がある=嘘をついてる、としてしまうと結構辛い部分はあるんですけど、でもなるべく誠意を持って取り繕わずに仕事をするっていうのは心がけてることだったりはします。それがすごくおっきく自分の中で明確になった出来事が30歳すぎくらいの時にあったことはありましたね。

「部下の人事評価をしたりしますか?人が人の評価をするのって難しいなぁと思っています」
まぁでも、しますよ。しなきゃいけないんで。お給料決めなきゃいけないんで。僕だけが決めてるわけじゃないんですけど、お給料を決めるための参考となる評価は自分もしなきゃいけないので、してますし、人が人の評価するのって難しいなぁ、とも思います。うん、難しいですよね。けどまぁ人事とか給料とか組織の中である一定の評価をして何か決めなきゃいけないことがある場合は、どうしてもその評価をもとに何か決めなきゃいけないので。難しいけど、やらざるを得ないっていう感じですかね。でも、評価って勝手にしてる部分もあるじゃないっすか。「あの人すごいイケてるなぁ」とか「ありがたい存在だなぁ」とかって勝手に思うことも評価だと思うので。そのABCDEの5段階のBかCか?とかAかBか、とかっていうのはすごい難しいけど、でもなんか自分の中で評価自体はしてると思うんですよね。「あの人もうちょっと効率よくやってくれたらありがたいなぁ」とか「あの人効率はすごいなんか思うとこあるけど、でもこういう困った時にすごい明るいキャラクターでパーっとムードを良くしてくれるああいう部分はすごいありがたいな」とかっていうのがそもそも評価だと思うので。それを言語化したり数値化するってのが難しいんだろうなと思います。評価自体は感覚的なものだとしても、日頃日常的に勝手にやってると思います。ですかね。

あ、時間になった。今日は結果的に、事前にいただいた質問から派生する形で「マネージャーとかマネジメントって何でしょうね」っていう話を一時間ダラダラさせていただきました。ありがとうございました。では、またちょっと次のテーマとかも考えたりします。あと #871ンスタライブ でInstagramでTwitterとかで感想もらえたらまたそれを励みに僕が頑張りますんで、応援していただいてる方がおられましたら、ぜひ感想を頂けたらと思います。
ありがとうございました!

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