武蔵野市は路上喫煙は我慢しろということらしいです

タイトルは、正確には「武蔵野市は路上禁煙地区以外における路上喫煙は我慢しろという街らしいです」だ。

武蔵野市に対して、路上喫煙に関する問い合わせをして、その回答を頂いたので、記載していきたいと思う。

前提としてまず自分のこと

自分は武蔵野市に住んでいて、吉祥寺の街が好きで、武蔵野市の市政のやり方が好きだ。
市民の声を大事にしていて、コミュニティ作りを積極的に行っており、緑化政策なども、とても良い。

だが、数点好きじゃないところがあり、その1つが路上喫煙だ。
中央線沿いという土地柄もあるが、路上で喫煙している人が多くいて、住宅街の生活道路においても、歩くだけで副流煙を吸わざるを得ない状況がある。

個人的な路上喫煙への考え方は、「他人に煙を吸わせてしまう状況において、喫煙の自由はない」と思っている。
周りに誰もいないような場所(東京都市部にはほとんど存在しないと思うが)や、喫煙所、自分の部屋で吸う分には、それは個人の自由だし、全く好きにしてもらっていい。
ただし、たばこ(電子含む)の健康被害は明らかであるにも関わらず、それを他人が吸うのを強制するような状況で喫煙するのは、公共の福祉に反していると思っている。

吉祥寺周辺では日々生活するために路上を歩くだけで、毎日数回は息を止めなければならない状況がある。
喫煙する自由もあるが、息を吸う自由の方が尊重されるべきだと思う。
息を吸うことも自由に出来ない街って、そんなのは近代的な良い街ではないと思う。

また、家の目の前でも路上喫煙している人がおり、部屋の換気をするために窓を開けるだけで、部屋の中に煙が入ってきて咳き込むことがある。
路上だけに限らず、安全な場所だと思っている自分の家まで他人の副流煙が入ってくるのは、たばこの煙が苦手な自分からすると、結構な苦痛を味わう体験である。

現状の武蔵野市のたばこ対策

武蔵野市は、もともとたばこ被害へは対策をしようという姿勢はある程度はある街だ。(都内で全く対策をしていない街もないと思うが)

条例で、吉祥寺駅・三鷹駅・武蔵境駅の周辺商業地域は禁煙地区に指定されている。(罰則なし)

ただし、それ以外の地域(ほとんど住宅街)については、禁煙指定もされていないというのが現状だ。

東京都受動喫煙防止条例

2020年4月1日から、東京都の条例として新たな「東京都受動喫煙防止条例」が施行された。
この条例の全体としては、主に飲食店などの受動喫煙を減らそうとしているものに見えるが、第四条には、以下の通り記されている。

(都民の責務)
第四条 都民は、喫煙及び受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。
2 都民は、都が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。

上記の「都民は他人に受動喫煙を生じさせることがないように務めなければならない」という部分に、屋内の限定は記されておらず、屋内・屋外に関わらない全域に関して適用されているものと自分は読み取った。

つまり、いかなる場所であっても、「都民は他人に受動喫煙を生じさせることがないように務めなければならない」ことになったと考えられる。

市への問い合わせ

上記の東京都受動喫煙防止条例をうけて、それに対する武蔵野市の考え方を問い合わせてみることにした。

武蔵野市はホームページから「市長への手紙」というものを出すことができ、市民の声を積極的に聞こうというシステムがある。
これを使って、以下の質問を行った。
※送信後、質問内容が見れないシステムであると思っておらず、申し訳ないが完全な質問全文は残っていない。細かい言葉尻などは質問時と異なるかもしれないが、大筋の内容は以下のとおりである。

なお、質問・回答ともに非常に長くなっているので、その後にまとめを記載する。
そのため、読み飛ばしてもらっても構わない。

【質問内容】

<背景>
・路上禁煙地区外での路上において、生活していて副流煙を吸わざるを得ない状況があり、苦しい思いをしている。
・路上禁煙地区外の家の前の路上における路上喫煙によって、家の中に副流煙が入ってきて、苦しい思いをしている。

<質問1 路上禁煙地区外での路上喫煙について>
東京都受動喫煙防止条例が施行されたが、路上禁煙地区外での路上喫煙による受動喫煙について、武蔵野市の考え方を以下から回答ください。
(A)我慢するしかない
(B)第四条を根拠として、市民自ら路上喫煙をやめてもらうように依頼することができる。
(C)第四条を根拠として、市に報告すべきである。
(D)第四条を根拠として、警察に通報すべきである。
(E)その他の根拠によって、路上喫煙をやめてもらうような方法がある

<質問2 路上禁煙地区の拡大について>
武蔵野市において、路上禁煙地区の拡大の方針はあるか。
個人の意見としては、「武蔵野市全域の路上禁煙地区指定」もしくは「周りに人や家屋がない場所で、完全に受動喫煙のおそれがない場所においてのみ喫煙可能。ただし喫煙をやめてもらうように他者に依頼された場合はただちに喫煙をやめなければならない」を希望します。(もちろん、喫煙する自由も保証するために、煙の漏れない喫煙所の設置などもセットと考えます)

【武蔵野市長からの回答】

2武市活市第598号
令和2年8月25日
○ ○  ○ ○   様
武蔵野市長  松 下  玲 子

 連日厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしですか。
 日頃より、市政に対しましてご協力いただきありがとうございます。
 さて、〇〇様よりいただきましたメールを拝見いたしました。いただきましたご意見について、順に回答いたします。

1 路上禁煙地区外での路上喫煙について
 1つ目のご質問にある(B)(C)(D)につきまして、東京都受動喫煙防止条例第四条をご参照いただきましたが、当該条例は「受動喫煙の防止における都民の責務」を規定したもので、市民や行政による喫煙者への指導を定めているものではございません。したがって、行政へ報告をいただいても、直接的な指導の対象になじまない事案ですので、〇〇様にお示しいただいた選択肢でお答えするのであれば(A)であり、喫煙者の自覚に委ねるしかない状況です。
 しかしながら、受動喫煙を避けることができる環境を整えるために、市では個別のご相談があれば、現場に赴き、少しでも改善できるよう受動喫煙防止についての呼びかけを行っております。
 また、当該条例は、前文に記載があるように、「全ての都民が生涯を通じて健やかで心豊かな生活ができるよう、受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について、都民一人一人が正しく理解することが必要である」とうたっております。本市でも、ポスター・リーフレットの配布や市が管理するデジタルサイネージ、市ホームページによる広報等を通じて、当該条例について周知・啓発しているところです。
 今後とも、受動喫煙防止について必要な措置を定めている改正健康増進法も踏まえつつ、粘り強く受動喫煙防止対策を継続してまいります。

2 路上禁煙地区の拡大について
 本市では、多くの人が行き交う駅前周辺について、市内三駅周辺の商業関係者や市民団体等で構成する「ようこそ美しいまち吉祥寺委員会」と協議のうえ、吉祥寺駅周辺を皮切りに、市内3駅周辺を路上禁煙地区に指定しました。あわせて、路上禁煙地区内では禁煙地区であることを示す表示シートや、マナー推進員の巡回による啓発活動により、環境美化の維持向上に努めております。
 路上禁煙地区の指定については、市民の行動(喫煙)を制限するものであり、かつ路上禁煙地区としての環境を実現維持するための施策を要することから、特に必要と思われる範囲での禁止が適切であると考えております。このため、現在、路上禁煙地区を拡大していく方針はございません。
 市では、市民団体、事業者等とともに、喫煙者自身のマナーに粘り強く訴える啓発活動を継続し、限られた区域ではありますが、現状の路上禁煙地区内のマナーを徹底し、ひいては路上禁煙地区外においても、喫煙マナーの向上を市民の皆様や来街者の皆様と共有していくことが必要と考えています。
また、望まない受動喫煙を防止するため、三鷹駅前に閉鎖型喫煙所(喫煙トレーラーハウス)を設置して喫煙環境の整備を行い、令和2年7月から利用を開始しました。
 喫煙トレーラーハウスは、空気清浄機を搭載しており、室内で喫煙しても外に煙が漏れにくい閉鎖型の喫煙所です。喫煙所の設置に併せて路上禁煙地区内での路上禁煙の徹底に努めております。今後、市内二駅(吉祥寺駅・武蔵境駅)にも閉鎖型の喫煙所の設置を検討してまいります。
 今後も国や東京都の動向を注視しつつ、安全で快適な美しいまちづくりを目指していく観点から、受動喫煙防止対策を行ってまいりますので、何卒ご理解くださいますようお願いいたします。

 末筆となりましたが、〇〇様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

武蔵野市長からの回答をまとめるとこうだ。
■東京都受動喫煙防止条例第四条に対する市の考え方は「我慢するしかない」
■武蔵野市は、ポスターやホームページ等での、マナーに訴えるやり方で受動喫煙防止対策を行っていく。
■路上禁煙地区は拡大しない。
■煙の漏れない閉鎖型の喫煙所の設置を検討する。
■今後も国・都の方針を注視していく。

つまり、「住宅地での受動喫煙は諦めて我慢してね」ってことでした。

まとめ

たばこの煙の問題は、法律違反ではなく、喫煙者からすれば苦でもない問題であるため、各人によって考え方が違う問題である。

自分の個人的意見としては、受動喫煙は公共の福祉に反するため、屋内・屋外問わず公共の場所での喫煙の自由はないと思っている。

ただ、「住み分け」による社会的解決の道もあるかと思っていて、街によって「全域禁煙・特定箇所禁煙・全域喫煙可」の街があっても良いように思う。
それで、喫煙者は喫煙可能なところに住めばいいし、煙が嫌な人は全域禁煙の街に住めばいいと思う。

実際に、千代田区・中央区・新宿区・渋谷区など、全域禁煙の街もあり、罰則がある街もある。
また、立川市や府中市など、武蔵野市と同じように、特定地区だけ禁煙としているところもある。

そのため、「じゃあ受動喫煙が嫌なら千代田区に引っ越せばいいじゃん」と合理的には考えられる。

ただ、今回こうやって市に問い合わせをしたり、武蔵野市で全域禁煙になってほしいと思うのは、「武蔵野市が好きで、住み続けたいから」だ。
街が好きで、市の姿勢が好きで、井の頭公園が好きで、それで吉祥寺に住んでいたいから、個人のわがままではあるが、全域禁煙の近代的な街になってほしいと願うのだ。

だがこれは、個人の価値観であり、「路上喫煙は可能であるべき」というのも個人の価値観だ。

日本は民主主義国家であるので、意見の多いほうが勝つ。
武蔵野市においては、「住宅街での路上喫煙は可能であるべき」という思想のほうが強く、そういう街になっている。
民主主義的にはそれで正しい。

だから、本当は、自分が取りうる道は、「引っ越す」しかないのだ。

ただただ、残念である。

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