3.女帝のカード

松村潔氏の2012年時点での説では、育てるという働きの中には一旦生産を止める、断念するという意味が含まれる。女帝は育てることをしないで産みっぱなし。3が生産で4が育てるとなっている。

造化三神の一人神であるケテルの陰陽分割のコクマー、ビナー。右の女性的な母親的である隠の柱の頂点のビナーと左の男性的な父親的な陽の柱の頂点のコクマーをつなぐパスが女帝のカード。

ケテルは陰陽分割されてなくて根源的な0状態を現している。同時に宇宙は等級連鎖をしていてもうひとつ上の次元の先行する宇宙の生命の樹が存在していて、その結果ケテルが生まれてきた。ひとつの出来上がった宇宙においての絶対的な原理なのだけれど、より上位の宇宙からすると結果としての有限性を現している。ケテルの下にケテル自身を陰陽分割したビナー、コクマーは上の先行する宇宙の上にある何かを鏡のように写し出したものなんだということ。

ケテルが自分自身が絶対の存在ではなくて、自分の上により上位の存在があると認識した段階で自分は絶対ではなくなる

上位のものが存在することを認識した段階でケテルはそれ自身の中に陰陽のふたつの要素を生み出す。

コクマーとビナーはケテルというひとつの宇宙においての絶対原理という中和的なものを陰陽に割ったという風な形なのですが、そのふたつを結合しても元のケテルには戻らないという法則が成り立つ。一旦割れたものはくっ付けて元に戻すことができなくて、陰陽に別れた段階で、陰と陽は絶対の原理のケテルを理解できなくなっている。コクマーとビナーそれぞれに特有の性質が生まれる。

陰と陽が接触するたびにケテルに戻るのではなくて、いろんな生産物が生まれる。プラトンのひとりの魂が男女に分割したという有名な話があるのですが、元に戻ろうとして男女が結合すると元に戻ることができなくて、そのつど新しい子供が生まれる。陽原理は外に広げていく性質で、陰原理は内側ににどんどん収縮していくような状態、外から締め付けていくような形。

そうすると、ビナーという母親原理、洞窟のイメージのものは、ユングの6つの原型、6つのアーキタイプでいうところのグレートマザーというのは、蛇とか龍とかあるいは巨大な洞窟とか、そういうイメージで説明されることが多い。それ自身がなにかを生み出すという性質を持っているのではなくてむしろ取り込んでつかんで離さないみたいなところがより強い性質として発揮される。

コクマーはそういうビナーの中のいろんな取り込まれた可能性の中のどれかを取り上げてコクマーそののものは外に広げるという性質ですから、開花させるという風な働きかけを陽原理の方がしていく。種がたくさん売られていて、そのどれかを買ってきてそれを成長させる、拡張させる、その点で生み出す力は母親原理という意味ではなくて母親原理の中にある父親が生産性を作り出す。もともとコクマーとビナーの陰陽原理バランスをもって両方均等に働いたときにはなにか新しいものが生まれてくるということは全くなくて、静止した状態になっていく。

なにかを生み出して成長させるというのは、ビナーに対する働きかけというよりか、ビナーが取り込んだいろんな可能性の中のひとつをコクマーが取り上げてそれを拡張している。結合すると上に戻るのではなくて下に中和的な原理を生み出すというのは、陰と陽に割れたときにそれぞれの活動の範囲が絶対の範囲に比べてより小さいところに出来上がる。能動原理は陰に接触すると受動原理は放っておくとどんどん委縮して小さくなる。そこに能動原理が関わると陰ストップが働く

能動原理も受動原理もそれぞれの活動の範囲というものがあって、範囲がより小さいところに出来上がっていく

自分たちの範囲を超えたものに戻らなくてはいけないので、自分たちが消えなくてはいけないような働きになる。より振動密度の低いもの、物質密度の高いもの

もとに戻りたい一体化衝動が逆の現象を作り出す。

意識の側が対象に興味を集中することによって意識がより小さくなっている。対象が大きくなっていくのではなくて、みていると対象の中に自分が入っていってまるで虫眼鏡でなにかを拡大したかのようで、ターゲットそのものは大きくなっていないのですが、拡大することでその人の意識の中では大きく拡大していく

宇宙の創造行為が始まっていくと振動密度が落ちていって、反比例として物質密度の濃いものがどんどん生産されていく。

想像原理はいかにもダイナミックに拡大していくようにみえるが、実際には変わらなくて、意識がひとつひとつの小さなものの中に入っていき拡大しているように見える。

女帝のカードのビナー、コクマーの特殊性は、右と左の陰陽の柱を横たわったパスを指していて、中央の柱がなく、コクマーは虫眼鏡で拡大するような拡張原理でビナーは放っておくとどんどん凝固して固まっていく、そのふたつの交流のぎくしゃくしたもの。

女帝のカードは不安定な形で可変するものをあらわしている。

タロットカードの女帝の逆位置の場合

広がって収集のつかない状態

生産性を重視して社会を作っていくとした三角形なら、相当物質に傾斜していく

女帝のカードはバランスに関してはなにも語ってなくて、むしろこの問題に関して目を向けろと言ってる風に言っているようなもの

物質的な生産性をあらわしているよりも、その前にアジェナチャクラの陰陽、アイディアとかイメージの拡大とかがメイン。

意識のレベルで創造的に作られたイメージは創造の三つ組みの連鎖によって最終的に物質的な形まで7段階の階段を降りていく。なので、作り出していく力の原初の部分はどちらかというと人体ではアジェナの位置にある。

物質とかいろんなものが生産されているように見えても実際はそうじゃなくて、脳が作り出すイメージがその部分が拡大されていってるという意味。興味を失うとまたそこが萎んでいって小さくなって最後は消えていく。

ケテルの上の次元には12のロゴスがあって、その12個のうちの一つがこの生命の樹のケテル。その繁栄物としてケテルの内側の内部宇宙の中には、ビナーの中に繁栄物としての11個の可能性が種として生み出されてその一個一個をビナーの中に入っていったコクマーが拡大していく。

外宇宙の繁栄物をこの宇宙の中に作りだしていく。

神智学や人智学の枠組みだと、例えば12個のプラトン月、ひとつの単位が2200年のプラトン月があったときに、実際には人間の進化には12個のうちの7個だけを扱う。歳差活動は12個のプラトン月で構成されている26000年サイクルなのですが、このうち7つの文化期とは15000年から16000年の間位の2200年×7というところで完結して、そうするともうそこから出ていくというふうなことになるのです。おそらく12個全部埋めてしまうと活動できない、環境そのものになっていく。つまり12のロゴスそのものになっていく。生命は12種類全部じゃなくてそのうち7個だけを食べていって残り5つ残しておく。ケテルとコクマーとビナーの上位の造化三神みたいな創造原理の三角形があって、陰の部分のビナーの中に7つの階層ができあがる。3と7の原理。創造の7つの原理はビナーの内部に細分化されて構築されていき、内部からは一歩も出ていない。

生命の樹の複数の連結のところを話したいのですが、下から数えて肉体の生命の木とアストラル体の木とエーテル体の木と自我の木という風に4種類の階層で考えたときに、一番下の肉体の木のケテルはエーテル体の木のティファレト胸の中心に重なり合うという構造で考えたときに肉体の木の女帝のカードはエーテル体の木のタワーに対応するということですよね。

横に走っているパスとしてはとしては、女帝と力と塔のカードの3枚があって、それぞれ重なり合う要素が結構あります。 女帝のカードはひとつの生命の木の中で上の方の部分の三角形をあらわすのですから、霊性とか、想像力の拡大、力のカードは胸の部分、心理的な面を指していて、もともと構造としては左側は陽の原理で全体的、右の側は陰の原理でより狭まった、委縮した要素をあらわしていて、女帝のカードではコクマーという男性的創造的な原理がビナーの中にある種子を育成することでいろんな可能性を開花させる。

心理面では胸の左側のケセドから右側のゲブラーに取り上げていくところが力のカード、個人のいろんな野心とかをゲブラーがあらわす。それに対して社会集団全体をケセドがあらわす。社会集団の中において個人の欲望を開花させる女帝のカードと似た性質なのですが、もうひとつ、タワーのカードこれはより感覚的、実際的な部分でネツァク、ホドそれに対するネツァクは外に対する期待感とか例えば考え事というのは知識は手に入れると守りに入るところがあって、ネツァクは外との交流をあらわしていて、休みなく変化する。右の守りに入った人からすると傷つく。ある程度塔の中に閉じこもってしまう。

女帝のカードと力のカードと塔のカードとはそれぞれ霊性、精神性の面、心理、感情の面、より感覚的、実際的な面のそれぞれの階層において同じ役割をもっている。陽の部分から陰の部分へ衝撃を与える。


松村潔氏の音声ファイル、女帝のカードより 

一枚のカードでここまで考えられる知性の厚みが凄いです。

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