<誕生の謎>:ディープ・インパクト

<誕生の謎>:ディープ・インパクト

*恒星系の中を、楕円を描き多くの彗星が遥かな旅を続けていた。

ある一つの彗星に銅で出来た爆弾を打ち込む計画に、科学者たちは興奮していた。
外れるかもしれない。かするかもしれない。
もしくは内部まで深く入り込み、破壊するかもしれない。
その彗星の成分との区別をつけるために、あえて銅を使った。
この恒星系の誕生に関する情報が得られるだろうと、、、。

多くの恒星系にあるように、限りなく無限に近い岩や塵、氷の塊のベルトがあった。
その全てが、ここの星々の兄弟であるのか、、、、。

この恒星系の第3惑星が今から、700万回ほど周回した前に、
ここにやって来て、与えられた最初の仕事を1つしてから、
その無限に近いほどの兄弟たちに紛れて、「時を待つもの」がいた。

「時を待つもの」は、
例の「青く輝き、淡く美しいベールに包まれた第三惑星」が、
ここ数千回、騒がしくなった事をキャッチし、
ベルトの中から静かに楕円軌道に乗って、この恒星系を周回しながら、
仕事の成否をじっと見つづけていた。

それほど遠くない未来に、この幼い文明がこの恒星系を飛び出す時が来るかどうか、、、。
(すでに簡単な情報を母星に伝え、外へ出て行った小さな物体もあった)

第三惑星に発生した生命達の数は、驚くべきものだった。
その中にある生命だけが、突出してこの惑星に影響しだしていた。
それを見つづけていたのだ。

              *

科学者たちは、誕生の謎の一端でも良い何かを掴もうとしていた。
夜空を見上げるのが好きな者達も、その瞬間を見ようと試みるようだ。
              *
              
「時を待つもの」は、この第三惑星が垂れ流す
膨大な情報の中から、その標的となっている事を知った。
与えられた仕事は一つではなかった、、、。
今、幾つかの与えられた仕事の、選択の時が近づいていた。

それはあまりに、微小なコンタクトになるが、
反応がどのように出るかで、次の行動が幾つか選択される。

未熟ゆえにコンタクトを取るにあたいしない場合は

「淡いべールに包まれた美しい水の惑星」が、”青く輝く美しき宇宙の宝石”の

その姿のままである事を強く祈りながら、また楕円の周回を続ける事になる。

それは数日後になるか、または、恒星の周りを後100回、500回、
1000回と周った時になるかを見続ける。

どの文明もその途中において、幾度も危険なものを抱えていくが、
知性と勇気ある行動をもって、新しい一歩を踏み出すようになった時、
コンタクトの段階をあげる。

全宇宙において、崩壊絶滅の危険を回避し、成熟した素晴らしい文明を築きあげる
”無限の可能性を持つ”ものこそ「生命」だと知っている我々は、
強い意志をもって、この第三惑星を見守って行く事になるであろう。

その第一歩は、間じかに迫っていた、、、、。

                            

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?