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暴太郎戦隊ドンブラザーズ 最終回前に振り返る

まず初めに私は「井上敏樹脚本」に好意的ではなく、どちらかといえばアンチよりな人物であるという事を念頭に入れてください。


「暴太郎戦隊」

一年通して本当に「ドタバタコメディ活劇」を貫いた作品だったなと思います。
見出しにあるように私は「井上敏樹脚本」というものが好きではないタイプの人間なので、始まる前は不安しか無かったです。
始まってみたら画面のめちゃくちゃさで脚本の好き嫌いというものが関係なくなる位に毎週楽しんで見られました。

各キャラクターたちの個性の強さはさすがだなと唸りました。
猿原にいたっては本筋に全く絡まないのによくぞここまでキャラ立ちをさせたものだと感心します。
(一応別の世界線ではるかと恋仲になっていたのでうっすら関わっているかもしれないが…)

本筋の話は色々込み入った事がありそうではあったが、大体が「ドン家の不始末」であり、その不始末を大体タロウの圧倒的強さとカリスマでねじ伏せる作品であったなと振り返って思う。
なので「なにか色々伏線的なものを顧みて考えていたものが全て無駄」という現象が多々あった。
最初の頃はそれもまあ楽しかったのだが、後半に差し掛かるにつれてこれが「無駄になるガッカリ感」になってしまい、考える事が楽しくなくなってしまった。
完全に見ている側に委ねる(考察をして補完して貰う)ような作りに次第に疲弊を感じるようになってしまった。

加えて私は「恋愛ストーリー」というものに興味が薄い人物です。
後半の「犬塚 雉野 夏美 みほ ソノニ」のゴタゴタが大変苦痛でした。
ここにすごい尺が取られており、私の「ストーリーを楽しむ」気持ちは完全に失せていました。
そして中盤辺りまではまだあったアクションシーンも後半に差し掛かると本当に微々たるものになってしまい「キャラの乱痴気騒ぎを見て楽しむ」だけの作品になりました。
ようするに私にとってドンブラザーズは「見ている間は楽しいが考察して楽しむものではない」作品です。
完全なる娯楽作品で、打ち上げ花火のような作品でした。
(そうは言ってもちょいちょい考えてはいましたがね……)

「脳人」について

123456 と6名出てきました。(78も出てますが今回(2/19)本当に顔出しだけだったのでここには数として入れません)
初期メンバーの123がドンブラザーズに加入した事により456が現れたわけですが、456の活躍が遅すぎる。

明らかに123に肩入れしすぎてしまっている。
そして私は「人ならざる脳人」が大好きでした。
感情を明らかに理解し、ドンブラザーズに加入した後の123から完全に心が離れてしまいました。
特にソノニに関しては後半本当に苦痛でした。

その代わり456のあの「互いに全く相容れないのに何故かまとまっているチーム」がとてもツボに入りました。
全然まとまらないはずの3名が「互いに互いが嫌い」という事で纏まっているのがすごく好きです。
公式HPで「脳人は当初入れ替わりだった」という記述があり、本当にそうしてほしかった。
それほどに456のキャラクターが魅力的。
魅力的だったのに終盤も終盤、もう終わる頃に出てくるという始末。
「ライブ感」といえば聞こえは良いが、個人的にはかなり雑に見える。

ただ456は瞬発力のキャラなので、コレくらいの話数が正解かもしれないなと思います。


桃谷ジロウという人物

ここを読んでくださってる方は多分分かっていらっしゃるかと思います。
私は桃谷ジロウがすごく好きです。
ジロウのあの完全に頭のおかしい自分のルールの中の正義を貫く所が本当に好きでした。

しかし追加戦士というおいしい役どころにも関わらず、なんと出番自体が少ないという始末。
それでも桃谷ジロウには優しい友人・好きな人・育ての親がいて、一番充実した人生を送っているのだなと安心していました。
それが「全て幻」だった。
そういう状況もヒドイと言いながら内心楽しめる、それが私達オタク。

が、それは「後々のケアがあってこそ」の許される行いだと思っています。
明らかに、ジロウの状況を回収する尺が少なすぎる。
序盤の表ジロウと闇ジロウの折り合いをつけるシーン、「僕には君が必要です」の一言でおしまいです。
まあジロウだし、あまり深刻に考えない、良くも悪くもポジティブなキャラだという事で自分の中で納得(むりやり)していました。

ですが「全てが幻であった」と明かされてからのジロウを、1話の中のたかが数分で済ましました。

他のキャラのエピソードも、それくらいの尺でやっていたなら「まあこの作品だしな」で済ませられたんです。
このジロウ統合回の前の回は「ドンブラザーズと脳人がただ喋っているだけのシーンを延々と20分間流す」という回でした。
「おいマジでふざけんなよ」と本気で怒りました。
今まで幸せに生きてきた全てが「幻」だった青年の話をたかが数分で終わらせた。

Twitterでも言いましたが、結末に不満があるわけではない。
ジロウにドンブラザーズとの絆なんてものはミリもなく、状況を知っているのはタロウと犬塚のみ。
ジロウの事は自分自身で、一人で解決するしかない。
一人で乗り越え、立ち上がり、歩いて行く。
その結末は納得できる。

ただその結末に至るまでの尺が少なすぎる。
他に尺を取られたというには「削れたエピソード」があまりに多い。
「桃谷ジロウの扱いが雑」と取られても文句は言えないと思います。
というか「桃谷ジロウは雑に扱っても良いキャラ」と思われている事が心底腹が立ちます。

「桃谷ジロウ」は「桃太郎」という「おとぎ話」とは全く関係の無いキャラクターで、彼には独立した「西遊記」という彼自身が主人公のストーリーがある。
だから「桃太郎」のキャラクターとの絆が紡がれる事もなく、お釈迦様の手のひらの上で踊らされていたキャラだったのだと、私の中の桃谷ジロウに終止符を打ちました。
私達の見えない所で、彼の「おとぎ話」は進んで、そして完結したのです。


ムラサメとは何だったのか

早く言えばスポンサーのねじ込みキャラだったわけですが、そこはプロなんですからもっとうまく動かしてほしかった。
「獣人専用武器」というキャラにも関わらず後半の獣人の話には一切関わらず、おまけにほとんど出番も無かった。
途中にジロウとなにか心を通わせたようなシーンがあったにも関わらず、ここには一切触れず今日まで来ました。
私は「獣人・ジロウ・ムラサメ」ここを上手く絡めてくれるのだと、当初歓喜しておりました。
ここでも「ムダだった」が発動されてしまったわけです。
こともあろうに何故か犬塚の武器になるという謎展開でした。
(八犬伝絡みという話もあるようですが…)
ムラサメのキャラも「何も知らない赤ちゃんのような戦闘力だけはバカ高い生命体」という大好物キャラだっただけにただただ残念です。


最後に

アンチが粗捜しをしているような感想をここまで読んでいただきありがとうございます。
「じゃあお前は1年楽しくなかったのか?」

いいえ、楽しかったです。
本当に楽しかった作品です。

ドンモモタロウのキャラクター、鬼頭はるかという今までのヒロインとは明らかに一線を画す女性キャラ、世捨て人というわりに俗まみれの無職、気の弱いサラリーマンで初のピンク男性、皮肉屋のくせに妙に気遣い屋な逃亡者、正義の暴走追加戦士。

とても個性豊かで豊かすぎるキャラクター達が、ドタバタと毎週騒いでいるだけでも楽しかったです。

「娯楽エンターテイメント」に全振りした作品が
この「暴太郎戦隊 ドンブラザーズ」という作品だったのだと
今日振り返ってみて改めて痛感致しました。

長い長い、スーパー戦隊という歴史の中に
こういう作品があっても良い。

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」は
総合娯楽エンターテイメント

それでは

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