ダイスケ・ツジ『インベージョン』関連発言まとめ
2021年10月22日よりApple TV+で配信が始まったドラマ『インベージョン』は、H・G・ウェルズの古典的名作『宇宙戦争』を下敷きとするSF大作だ。エイリアンの侵略に直面した人類の苦闘をアメリカ、イギリス、アフガニスタン、日本と4つの国を舞台に描くストーリーで、日本パートの主人公は忽那汐里演じる大和美月。『Ghost of Tsushima』境井仁役で知られるダイスケ・ツジも、美月と同じ日本の宇宙機関JASA(JAXAに相当)の職員・河口海人役で出演している。『Tsushima』発売直後の2020年夏に噂を聞き、2021年1月にようやくタイトル判明&最初のトレイラーが公開、6月にリリース日程発表、10月末に配信が開始された本作は、ツジ氏ファンの筆者にとってもけっこう長らく待望の作品であった。公開を記念して、以下に『インベージョン』にまつわるご本人の発言を硬軟おりまぜ随時まとめていこうと思う(場合によってはネタバレありで)。
◆「Sactown Magazine」2021年秋冬号インタビュー
ツジ氏の地元サクラメントの情報誌「Sactown Magazine」より、『インベージョン』についての発言を抜粋。原文はこちら。
──『インベージョン』について、どんなことを話していただけますか？ 『宇宙戦争』を原案とした作品だという話ですが。
ダイスケ・ツジ、以下D: はい、もちろん侵略(インベージョン)が起こって、地球が舞台ですからね。地球がエイリアンの侵略にどう対処するかのお話です。
正直何を話していいんだか、わかってないんですけど。僕が出てます、ってことはお話できます。出演は8話分(シーズン1は全10話、10月22日に公開された)。番組はApple TVに入ってて、すばらしい方たちと仕事ができました。うん、言えるのはこれで全部ですね。この手のプロジェクトはいつも、サプライズをとっておけるよう秘密主義なので。ネタバレ禁止みたいなことで。
──番組のIMDbページから拾える情報だと、あなたより多い話数出演してるキャストはふたりしかいないですね。
D: 僕はシリーズレギュラーなんです。メインキャラクターのひとりの友人役をやってます。過小評価はしたくないですが、過大評価も避けたいですね。
──サム・ニールは1エピソード出演とクレジットされてますから、あなたが7エピソード分勝ってることになりますよね？
D: つまりその意味するところは明白！(笑) どうですかね、とくに大した意味はないかと。
──撮影はどこで行われたんでしょう？
D: あちこちです。最初はNYからで、2019年の11月には撮影してましたね。それから3月末か4月にまた撮影に戻る予定だったんですが、そこでもちろん、パンデミックが起こったわけです。パンデミックにいいところなんてありませんけど、制作側が撮影場所により創意工夫をこらさなきゃならなくなったおかげで、日本とロンドンへ行く機会に恵まれました。もちろん、ロックダウンも隔離期間もありましたけどね。ロンドンへ行った時は、2度目か3度目のロックダウン中でしたよ。そういった諸々は大変でしたけど、イギリスは初めてでしたし、東京にも長いこと戻ってなかったので、(その2か所での撮影は)最高でした。
──(中略。これまでの経歴を振り返った後で) そして今や『インベージョン』のシリーズレギュラーと。この仕事は現状、今までで最大の役と考えておいでですか？
ええ、そうですね。ステップアップです。全部が上にのぼってゆくステップになってますが、いつもそうはいかなくって。
この仕事をやれたことはもちろん心からありがたく思ってますけど、チャレンジしたいことややってみたいことは、常に色々とあるんです。ここまでに触れた直近の(テレビドラマの)大きな役3つは日本人役で──もっと端的に言えば日本語を話すキャラクターでした。そういう役もできますが、育ったのはおもにサクラメントなので、英語のみを話す役もやれるようになりたいですね。アジア系アメリカ人役を演じるのは、僕の目標のひとつなので。
◆ゲーム配信中の雑談にて
2021年10月30日、4話目が公開になった時点での発言で、該当箇所はタイムスタンプ01:30:05あたり。自身のTwitchチャンネルでの配信中、視聴者からのコメントに答える形で、
D: 「『インベージョン』でのお芝居が大好きです」？ あの番組で見てもらえる僕のお芝居って、どの程度あったっけかなぁ。4話目はもっと見られるかもだけど、ってどうだろな。他にたっくさんのことが起こってるドラマで、僕はその中にちょっと出てるぐらいなんで。
とか、
D: 海賊版で視聴するとかはやめてね(笑)。僕の生活も、作品に携わったたくさんの人の生活もかかってるから。でもApple TVの方はものすごいリッチなんだよなぁ(笑)。……僕にとってはこう、「仕事先の企業最高ー！ 僕の仕事先にもっとお金使ってねー！」みたいなことやるのってつらいものがある。まあでも、「Apple TVで僕が出てるドラマ観てね！」って言った舌の根も乾かぬうちに「あとApple TVはちゃんと税金払えや！」って普通に言ったっていいわけだけどね。Apple TVだけじゃなく企業としてのAppleにも「税金払えや、全額払えや、AppleのCEOも税金払えや、ってかもっと払えや、しこたま払えや！ うがー！ 社会主義ー！」 とかそういうことを。なんでもいいけど。
とかざっくばらんに語っていた。普段からリベラル派であり、米国から日本ロケへ向かう飛行機の席がビジネスクラスだったこと(詳細)や、Apple TV+から高級シャンパンのギフトが送られてきた話(詳細)を紹介しては目を丸くしていたツジ氏にとって、ビッグ・テックによる富の寡占は(冗談まじりではあっても)無視できない問題とお見受けする次第である。ちなみに、第4話にはパンデミックによる中断をはさみ、一年以上越しで撮影されたシーンが２カ所あるとのこと。
◆GXコン2021の単独パネルにて
こちらはクウェートのGXコンにオンライン出演した際、「海人役を演じるにあたってのリサーチでは何が一番大変でしたか？ また、海人はあなたが友達になりたいと思うような人でしょうか」という質問に応じての発言。動画の該当部分はタイムスタンプ05:56:20あたり。
D: (あらぬ方を見やってちょっと考える風)……なるほど、海人はですね──正直言うと僕、リサーチは大の苦手でして。当然ながら演じるシーンに役立つ時ぐらいしかやらないんですね。彼はJASAや宇宙飛行士の仕事のことをそんな深く掘り下げるキャラでもないというか、そういうセリフも──って汗でてきた、冷や汗が(笑)。なんか言ってたっけ？ って。印象悪くなったら嫌だなぁ。でもそうですね、彼はだいたいにおいて友達のサポート役であろうとしてる人なんですよ。ドラマに出てくる美月のね。だからサポート役のつもり、世話焼きな友達キャラのつもりでやってます。であればリサーチするまでのこともないですし(笑)、キャラをつかむために、たとえば芝居に全然使えなくても宇宙船の仕組みについて調べたりとか、そういうことはしません。ですからまとめると、リサーチはなしでただ友達を演じてますね。
で、そうですね、海人ならまあ別に知り合ってもいいと思いますよ。いいヤツそうだし。彼は分を超えないというか、現状維持派ですかね。仕事はするけどクビにならない程度(笑)。わかりますよね、そういうタイプのヤツです。でも、美月は反逆児という設定になってますから。ほら、金髪だったりしますし──職場の人の大部分はきっと、彼女のことをちょっと下に見てるんですよ。変わり者だし、レズビアンだし。でも僕(海人)は「お前イケてんじゃん」みたいに思ってる。海人もイケてるんだと思いますよ。分かってる人、っていうのが僕の見方です(笑)。
◆ゲーム配信中の雑談にて②
こちらは2021年11月19日の配信中の発言。
D: 僕が出てるApple TVの『インベージョン』て番組があって、レビュー記事も出揃ってきててですね。その、僕はガチのメインキャラを演じてるわけじゃないんで、世間の人たちが何言ってようとまあ大丈夫なんだけど。セカンドシーズンがあるかどうかは気になるところかな。そのうちわかるか。みんなも見てくれてたら嬉しい。見てなくても別に責めないよ。人には色んな考えがあるんで。でも最新話(※訳註: 配信当日時点では、エピソード7「希望」が最新話にあたっていた)は、ほら、エイリアンの姿も出てきたから、かなり面白かった。(チャットの反応を見て) あ、『インベージョン』楽しんでもらえてるなら良かった！ 「レビューはあくまでレビューだし」、だねえ。僕はどっちに転んでもOKかな。セカンドシーズンがあればもっとお金稼げるから(笑)。それはいいこと。なくても、僕にとっては仕事の機会がもっと増えるってこと。シリーズレギュラー役の実績もできたし、願わくばだけど色んな仕事へのドアが開けたんじゃないかな。スケジュール的にも余裕できるしね。コミコンなんかもまた開催されるようになってきてるし。
◆ゲーム配信中の雑談にて③
2021年12月3日の配信より。
D: 『インベージョン』、あと少しで終わりだねー。先週の『インベージョン』、第8話が僕の一番の…(適切な言葉を脳内で探している様子で)…見せ場でした(笑)。見せ場は以上ね、ここまで。次の2話分ではそんな色んなことはやらないんじゃないかな。なのでまた見てなかったら、第8話チェックしてみてね。いいエピソードでした、僕にとっては個人的に。うん、海人間違いなく脚光を浴びてたね。この後そういう機会はないけど、僕の記憶では。でもまあね。あと２話やったらおしまい、第２シーズンがあるかどうかはその後。どうなるかねぇ。
◆合同配信中の不穏な匂わせ
2021年12月19日の配信にて、『ツシマ』典雄役アール・キム(以下E)、竜三役レオナード・ウー(以下L)との雑談中の発言。近況報告をしあう中、
L: そっちはどうなの？ 『インベージョン』シーズン2なんでしょ？
E: イエーイ、シーズン2！
D: そうー。詳しい話はできないんだけど、僕にとってはあんまりいいニュースでもないというか…(笑)
L: そんなぁ。
D: 話せないんだけど(笑)意味するところはわかるかなと……話しちゃダメだけど！ また後で教えるよ。
E: エイリアンだよ、エイリアン。
D: 非合法エイリアンがね。
E: エイリアンは人類みんなにとって悲報だもんね？
D: 確かにそう(笑)
E: あなたは人類？ なら悪いニュースです！