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「生まれ変わった?」自由民主党

第100代内閣総理大臣・岸田文雄

2021年10月4日、第100代内閣総理大臣として自由民主党総裁の岸田文雄が指名、任命され、岸田内閣が発足しました(内閣総理大臣は国会議員であれば良く、その時点での野党議員を指名する事もできますが、慣例として「与党第一党党首」が指名されるようになっています)。内閣発足早々岸田は「人の話をよく聞く」事を特技(!)として掲げ、更に「私たちは『生まれ変わった自民党』をしっかりと国民に示さなければなりません」と嘯きました。
ところが、現実はどうでしょうか。蓋を開けてみれば「UR斡旋収賄」「日本学術会議デマブログ」といった不祥事/疑惑で非難され続けている甘利明を自由民主党幹事長に任命するといった「市民を嘲笑しているかの如き人事」を行ったり、「日本学術会議任命拒否」「森友学園事件」といった前/前々政権からの禍根について「もう終わった事」として「任命/再調査を否定」したりするといった醜態が目立ちます。更に、デジタル大臣について「下請け企業に対する恫喝/脅迫」「NTTからの高額接待」で非難されていた平井卓也から牧島かれんに変更したものの、牧島もまた平井と同様、高額接待を受けていたと言うから、最早開いた口が塞がりません。「生まれ変わった」どころか「安倍/菅政権から違法性まで含めて承継した」と評さざるを得ません。

憲法違反したままでの解散

2021年10月14日、岸田内閣は衆議院を解散しました。これにより臨時国会は閉会となります。衆議院総選挙については「19日公示、31日投票」とされています。
ところで、新首相指名/組閣のために開催されていた臨時国会ですが、結局、当該臨時国会において、野党が7月から要請していた「コロナウイルス禍その他諸問題解決のための議論」がされる事はありませんでした。予算委員会の開催もされずに、です。つまり岸田内閣は憲法第53条の履行義務を果たさないまま解散に踏み切った、というわけです。組閣のための臨時国会は、野党が要請していた臨時国会とは趣旨を異にするので、代替する事はできません。臨時国会で議論しない事について「次の総選挙まで間がないからやむを得ない」といった意見が散見されますが、元はと言えば、政府与党が臨時国会召集要求に応じなかった事が原因です。そして東京五輪/パラリンピック敢行によって感染爆発/医療崩壊となったにもかかわらず断固として臨時国会を召集しませんでした。それに留まらず、東京五輪/パラリンピックが閉幕した後も今度はコロナウイルス禍そっちのけで「自由民主党総裁選」にかまけ、臨時国会を召集しようとはしませんでした。各種メディアも共働するかの如く「憲法違反」をしている政府与党を糾弾したりせず、連日のように総裁候補者について報じていました。内閣が正当な理由なく臨時国会の召集時期を引き延ばす事は憲法違反です(「臨時(=その時その時に応じて)」の語義からも当然の事です)。野党による召集要求があった時点で直ちに臨時国会を召集していれば、それなりに議論ができた筈です。自分達で臨時国会を不当に引き延ばしておきながら「議論する時間がない」と開き直るのは、余りにも市民を愚弄した態度だと言わざるを得ません。

政府与党による不法行為?

2021年10月上旬、世間を震撼させる情報が判明しました(尤も、意図してなのかは定かではありませんが、メディアは大々的に取り上げていません)。「ネトウヨアカウント」として知られるDappiの件です。改変/切り取りを行った動画をTwitter上で拡散し、不当に野党を貶めていた悪質なアカウントです(サングラスのアイコンでも有名でしょう)が、立憲民主党の小西洋之議員が提起した発信者情報開示請求により、当該アカウントの正体が法人(東京都内のWeb関連会社?)である事が判明しました。しかもその後の調査で、当該法人の主要取引(販売)先が自由民主党である事も判明しました。続報待ちではありますが、自由民主党が取引先に対して「野党を誹謗中傷する事を委託」していた可能性もあります。当該法人の行為は刑法第233条「信用毀損罪及び業務妨害罪」及び民法第709条「不法行為」に該当しますが、自由民主党が関与していた場合「刑法第233条の間接正犯/教唆犯/幇助犯」及び民法第719条「共同不法行為」も視野に入ってきます。

「政府与党が法人に野党へのネット攻撃を依頼する」。考えただけでも空恐ろしい事です。野党のみならず「不都合な」市民に対しても牙を剥く事も十分有り得るわけですから。

参考文献

⭐️長谷部恭男『憲法』(新世社)
⭐️渡辺康行/宍戸常寿/松本和彦/工藤達朗『憲法1』『憲法2』(日本評論社)

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