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ITトレーナーのお仕事をやってて良かったこと、大変だったこと

皆さんこんにちは。国井です。私は20年以上にわたってマイクロソフト認定トレーナー(MCT)という資格を得て、ITエンジニアさん向けの研修講師=テクニカルトレーナーというお仕事をしてきました。学生のころから学校の先生になりたいと考えていたので、テクニカルトレーナーというお仕事があることを知った時にはすぐに飛びついてその仕事を始めました。しかし世の中には私のような人ばかりではなく、テクニカルトレーナーの仕事やってみたいな、でも私につとまるかな..などと考え、踏ん切りがつかない人もいるのではないかと思います。そこで役立つかはわかりませんが、私が実際にお仕事をしてみて良かったなと思うこと、大変だったなと思うことを記してみたいと思います。
これからテクニカルトレーナーとして活躍してみたい、さらにはフリーランスでお仕事をしてみたい、そんな方に役立てばうれしいです。


1.良かったこと

これがいっぱいあるからこの仕事をしているわけだけど、中でも一番大きいのは「ありがとう!」と言ってもらえる機会が多いことです(もちろん「ありがとう!」と言ってもらえるような話をすることが大前提です)。トレーニングコースが終わるごとに「ありがとう!」と言ってもらえると疲れも吹き飛ぶし、自己肯定感にもつながる。
あと最近思うことだけど若々しさを保てている人が多い気がするんですよね。オンラインのトレーニングであったとしても絶対に顔出ししますし、人から見られる立場なので、身なりは当然しっかりする(私なんか自宅にいるのにスーツを着てたりする)。だから良い意味で緊張感が保てていると思うんです。歳を取れば取るほど若くありたいと願うと思うのですが、なんとなくそれを合法的に手に入れられる職業なのかもしれないです(ホントか?)。

1-1. 誰かの人生を変えられたと実感できる

以前に受講してくださった〇〇さんが新しくプロジェクトを任された、こんなことができるようになった、転職した、、などなど後からお伺いすることがあります。これって本当にこの仕事をしててよかったなと思う瞬間なのです。
私の中で特に印象的なのは(仕事上の出来事ではないんだけど)私の英語の先生との出来事です。私は英語でプレゼンテーションができるようになりたいと思い、英語の先生に一所懸命英語でプレゼンテーションの練習をしていました。そしたら英語の先生がITに興味を持ち始めて、私の知らないところで勝手にIT企業に面接に行っていたみたいで、ある日突然IT企業に転職すると言い出したのです!その時は自分のプレゼンテーションがその人の人生を変えたと思ったらなんかスゴイことをやってのけた、そんな気分になったのです。これは本当に誇らしく思った瞬間でした。
(私の英語能力の向上よりも、先生のIT能力の向上が優ってしまったことがちょっとショックだったけど..)

キャプチャ

↑英語の先生にプレゼンした当時の資料。ツッコミどころ満載..

1-2. 就業時間が決まっている

ITの仕事をしていればトラブって急遽時間外に対応しなければならない、そんな経験は誰でもあることと思います。しかしITトレーニングで時間外に対応しなければならないことはまずありません(一度だけ私の後任のトレーナーが雲隠れしたので今から急遽名古屋に来てほしいと当日言われたことは一度だけありますが..)。また最近ではオンラインでトレーニングコースを開催することも多いので、トレーニングコースが始まる9:30または10:00のギリギリまで自分の時間として使えるメリットがあります。ですのでお子さんを保育園へ送り出してから始業できるし、お子さんを必ず決まった時間に迎えに行けるのです。
あと、どんな大変な内容を扱うトレーニングコースだったとしても、どんなにウマの合わないお客さんを相手に仕事をしている場合でも時間が来れば絶対に終わります。なのでその意味でのストレスは少ないかな。

1-3. つぶしの効く知識が習得できる

私のようにどこかの企業に所属せず、フリーランスで(実際には自分の会社だけど)ITトレーニングの仕事をしていると、いつか仕事がなくなって路頭に迷う日がくるかもしれないと考えさせられることがあります。もし本当に仕事がなくなるようなことがあったときに、別の職業で就職できるような自分でいたいと思うわけです。そんなときにテクニカルトレーナーの仕事をしているとバランスの取れた知識・スキルを身に着けていることが役に立つと思うんですよね。たまに特定の案件に入ったりすることがあるのですが、テクニカルトレーナーとして仕事をするうえで得てきた知識が役立つことも多いです。

1-4. オフィシャルテキスト読み放題

ほとんどのベンダーさんで認定トレーニングって存在すると思いますが、そこの認定トレーナーの場合、オフィシャルテキストが無償で配布されます。これから新しい分野について学習しようと思った時に、効率よく学習するうえでテキストが良い指針になるんですよね(オフィシャルテキストだけを読んでわかった気になる人もいるのですが、それについては別の機会に触れたいと思います)。現実には英語の翻訳でできたテキストが多く、なかには読むに値しないものもありますが、一方で絶対にここにしかない情報があったりするのもオフィシャルテキストの特徴だったりします。

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知る人ぞ知る名著「Microsoft Windows NT 4.0エンタープライズテクノロジー」テキスト。パフォーマンスモニターを使った分析手法やパケット解析など今でも参考になることが多い。

2. 大変なこと

どんな仕事でも大変なことってありますよね。私はあまりに長くこの業界にいるので気が付いていないのかもしれないけど、思いつく限りではこんなところがあるかな。

2-1. スケジュールは絶対に守る

むかし、テクニカルトレーナー向けのトレーニングコースというのを担当したことがあるのですが、その時に電車が遅れて遅刻しました。この時はめちゃくちゃ怒られました。そうです、テクニカルトレーナーは皆を集めて話をするわけですからトレーナーがいないなんてあり得ないのです。私のかつての同僚はこのプレッシャーがイヤで会社を辞めました。
ちなみに私はプレッシャーに思ったことは一度もなく、何も考えずに仕事していますが、こんな私でも親族の葬儀に出席できなかったという苦い経験があります..

2-2. 別の仕事ができない

9:30頃からトレーニングコースが始まると終了するまでの時間はずっとお客さんに応対していますから他の仕事はできません。だから役所に用事があっても行けないし、銀行に用事があっても行けないし、ミーティングがあっても出席できません(下手すりゃ病院にも行けない)。だからトレーナーの人とミーティングしようとすると18:00以降じゃないダメですって言われることがあると思うのですが、これは理解してあげてください。

2-3. 体力を使う

1日中声を出して話をするって、なかなか体力を使うことなんです。コロナ禍で1日一度も外出せずにトレーニングということも多いですが、それでも1日が終わると本当にぐったりします。特に喉がつらいと感じる人は多いかもしれません(ただ、テクニカルトレーナーの職業に長年従事しているひとは総じて喉は強いと思います)。
私は喘息持ちで何年かに一度まったく声がでなくなってしまうことがあるのですが、それでもスケジュールは守らなければならないので最後のチカラを振り絞ってしゃべっていたりすることもあったりします。

【おまけ】トレーニングコースの日数について

「別の仕事ができない」のところで役所に行けない、病院に行けないって話をしましたが、週5日間まるごとトレーニングコースにかかりきりだと1週間病院に行けなくなります。しかも来週も5日間のトレーニングコースなんて言ったらもう大変!
ということで最後に私がどのくらいの日数登壇しているのか?というのを紹介します。こちらは実際に2018年から2020年までの間に登壇させていただいたトレーニングを開催日数別に並べたものです。

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一番多いのは2日間コースで全体の46%になります。
これは私自身がトレーニングコースを作るにあたり、1テーマ2日間で提供するのが受講される方にとっても受講しやすいとの仮説に基づいているものなので他の方には当てはまらないかもしれません。
次に多いのが1日間コース(半日コースを含む)で全体の27%になります。
ご覧のように1日間コースと2日間コースで全体の73%を占めるようになっていて、このような登壇構成だと自分のスケジュールにもある程度余裕を持たせることができるのと突発的なご依頼をいただいたりしたときにも対応しやすいというメリットがあります。
(フリーランスで仕事している私としては「突発的なご依頼」というのは今後のお仕事にもつながるから、とても重要な要素なんですよね)

一方、ITトレーニングの業界で多いのが5日間コース。
これ、受講する方も大変だと思いますが、登壇するほうも大変なんですよね。フリーランス的な視点で言えば一番まとまった収入が得られるので嬉しいって言い方ができるとは思うのですが、本当に1週間トレーニング以外のことが何もできなくなってしまうので私としては複雑な気持ちにさせられる日程のコースになります。だから私は5日間コースというのを基本的にはお受けしていません。

売上をとにかく追求する会社の上司は5日間コースこそすべて!稼働率こそすべて!と言うかもしれません。しかし自身のスキルアップもしなければならないですし、仕事をするうえで他にも大事なことってあるでしょうから、5日間コースって考え直す必要があるように思います。

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