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振られた、身なり、美しい

年末に笑顔がすごくすごく好きな人を見つけていいねした。
ほんとダメ元で、マッチングしたらラッキ〜くらいの気持ちで。
なんとマッチングして相手からメッセージもしてくれた。
顔面が好き!って本当に強くて、今まで苦だったメッセージがめちゃくちゃ楽しかった。
相手のメッセージがとっても優しかった。
本当に感動した。
返信の間隔も量もちょうど良かったし、適度に質問もしてくれるし。
だからわたしももらった優しさに見合うように返事した。
会う約束もできた。
美容院に行って、ワンピース買って、靴も磨いた。
少しでも自信満々でいられるようにと前日から当日の出発までめちゃくちゃ仕込みをした。
タイツも靴下も新品おろして、すごくピカピカなわたしで会った。
会ったらやっぱり好きな顔だった。
雰囲気も本当に好きな感じだった。
いつも通りのわたしで!って思ってたのに緊張してしまった。
勇気だしてLINE聞いた。
メッセージ送って次も会いたいって伝えたら未読のまま。
あ〜、、振られた、、
願望もあるけど、途中まではわたしのこと良いと思ってくれてたんじゃないかな?って思ってる。
たぶんだけど、価値観がいまいち合わないな、面白くない奴って思われたんじゃないかな〜と考える。
半月くらいのやりとりだったのに本当に悲しかった。
彼に選ばれなかった。
他の人だと気になるところも全然気にならなかった。
振られたすぐ後はちょっとチクチクしたことも言ったけど、優しくしてもらった時間を思い出したら、悪く思いたくないなってなった。
タイミングが合わなかっただけ。

振られた翌日は月曜日。
ほんと辛くて辛くて何もしたくなかったけど仕事がある。
ボロボロの身なりで出勤して「何かあったのか」と思われるなんて嫌だったから、いつも以上にちゃんと仕度して家を出た。
顔をちゃんと作って、髪もオイルを塗って、コートのボタンまできちんと締めた。
少しでも気分が明るくなるようにと香水もつけた。
耐えられなくなったら職場の人にコソッと打ち明けた。
不思議なんだけど、明るいテンションで話してしまう。
夜に友達と電話したときも同じだった。
本当はすごく泣きたい気分なのに涙が全然出てこない。

また翌日の火曜日。
お昼の時間に師匠的存在のお兄さんにも打ち明けた。
―男の人に振られた。
―顔も雰囲気もすごく好きだった。
―でも相手には刺さらなかった。
―本当は泣きたい気持ちだけど泣けないし、暗くなったらいけないからなるべく明るく打ち明けてる。
―ずっと元気が出ないけど、それで身なりがボロボロになって「何かあったのかな」と思われるのは耐えられない。
―見栄っ張りだから、いつも以上に身だしなみを整えてる。
―彼がいつか「あいつにしておけば良かった」と後悔すればいいと思っている。
これに対してお兄さんが語ってくれた。
―その考え方で間違いない。
―素敵な人だったんなら引きずっててもいい。
―悲しいときはちゃんと悲しむべき。
―悲しい気持ちを持っておくのは大事なこと。
―そういう気持ちを持ちながらも隠して生きるからこそ人間としての深みが出るんだよ。
―あなたは今すごく美しんだよ。
最後「美しい」の一言に本当に本当に救われた。
やっと涙が出てきた。
わたしが自分自身の力で良い生き方を選択できていたことが嬉しかった。
振られてまだ数日しか経ってないし、明日は一転してどん底に落ちているかもしれない。
まだまだ悲しいけど、不思議と気持ちはとても穏やか。
今なら宗教開けそうなくらい。
めちゃくちゃ短かったけどちゃんと恋してた。
恋が出来て良かった。

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