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大麻の喫煙はいつ頃から?

食品としての大麻の歴史は古いが、大麻を燃やした煙を意識的に肺に入れることは、旧世界のさまざまな文化圏で古くから行われていた。香炉や香壺(こうご)から受動的に吸い込むことで多幸感を得られるという認識はかなり広まっていた。

しかし、16世紀末に新大陸からヨーロッパにタバコが伝わると、ヨーロッパから中近東にかけて瞬く間にパイプ(喫煙具)によるタバコの喫煙ブームが巻き起こった。それとともに、大麻も主にパイプを通して喫煙されるようになった。

大麻喫煙の習慣が一般化するにつれて、人びとは喫煙の場合には(大麻成分が直ちに血管に取り込まれるために)大麻の効果がすぐに現れ、容易にコントロールできることに気づいた。そのため、大麻喫煙は社会的に受け入れられ、娯楽、つまりノンアルコール社会におけるカクテルのような存在になった。

パイプには、煙を直接肺に吸い込むものと、間接的に吸い込むものの2種類に発展した。前者は粘土製で、通常のタバコパイプに似ているが、発火した灰を吸い込まないように、管の途中に小石が詰められた。また、高温の煙を冷ますために、湿らせた布でできたフィルターを口金に巻くこともあった。

間接式パイプでは、煙はまずは水で濾過されて冷却され、それによって煙がより滑らかになった。しかし、効能が低減することもあった。この水パイプを発明したのはイランの陶工たちだった。フッカ(hookah)、シシャ(shishah)、ナルギレ(narghile)などと呼ばれたが、これは煙の泡が水を通過するときの音を擬音的に表したものである。

インドではパイプは「チラム(chillum)」(chillimまたはchillamと表記されることもある)と呼ばれており、これはヒンディー語の聖杯を意味する「chilam」に由来する。英語で〈気楽にリラックスすること〉を意味する「チルアウト」(chill out)という口語表現があるが、この語源である。(了)

参考:Martin Booth:CANNABIS(2004)より

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