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【日々、物書き】01.愛車と直感

車も人と同じで、出会いとタイミングなのだと思う。
いちばん初めの車は、免許取り立てだったのでキラキラしたピンク色をした中古の軽自動車だった。
本当は青や緑が良かったのだけれど、そ条件に合う車が無くて担当者が薦める車にした。
それから故障して買い替えもしたりしている内に、我が子が生まれて、当時乗っていた車にチャイルドシートを着けると狭くてしょうがないという問題にぶち当たった。
「さて、どうしようか?」と悩んでいた時、車の方が経年劣化なのか、先に悲鳴を上げてしまい、急遽、買い替える運びとなった。

今度は、青い車を買おう!

そう決意をして、新しい車を決めた。
車も前の車より大きくなったので、満足していた。
しかし、我が子は何故だか、その車のことがお気に召さない!
毎朝、保育園に行くときも、帰るときも乗車拒否!!
チャイルドシートに乗る前で、毎回大泣き。
頑張って車内に乗せても、今度はチャドルシートの上でエビ反りによる抗議活動を繰り広げてくれる。

理由、母にはわからない。
我が子、一向に教えてくれない。
結果、成す術無し!!

ジュースやお菓子、大好きなおもちゃやタオルをフル動員してみたが、効果は皆無であった。
ずっと理由無き拒否が続くと、諦めの境地に達することがある。
押してダメなら引いてみな精神である。
無理にしてもダメなものは、ダメなのだ。
母は取り合えず立ち止まって、展開が変わるまで待ってみたりして頑張るしかなかった。

その中で子育てを繰り広げていると、あっという間に3年が経っていた。
3年……そう、担当者による乗り換えの勧誘が始まる時期だ。
この担当者との付き合いは、とても長い。
だから、雰囲気で言い出してくることをここでは普通に察することが出来た。
にも関わらず、私はそこで我が子のエビ反り抗議活動に関する話をしたのだ。
そうすれば、結果は自ずとついてくると分かっていながら……。

1時間には、今の車を売って、新しい車を買い替えることで話がついていた。

すると、我が子が異様な程に乗り気になった。
さすがに予算やらがあるので、車種と色は母に選択権を委ねて貰ったが、我が子は直感でこの車はエビ反りしなくていい車だと分かったらしい。
試乗車内で何度も「いいね!」を繰り返し、最後には「こんなくるまが、ほしかったんだよね」と言う始末……。
前車との対応が雲泥の差である。
実際、我が子が賞賛した車は運転しやすかったし、欲しいオプションも標準装備で満足度は高かった上に、我が子からの搭乗拒否はあれから一切無い。
今もずっと故障せずに乗り続けているので、我が子の直感は当たっていたのだろう。

子どもと生活していると不思議なもので、子どもの直感は大人よりも優れていると思うことが多い。
ちょっとした指摘が当たっていることも多い。
小さく、クリクルとした愛らしい目で見つめている世界は、意外と大人よりも正しいものを見つける力があるのかもしれない。
大人よりも低い位置にある世界は、我々大人が零したものを見つけるのに良い位置なのかもしれない。

記:西島 颯乃
画像:PAKUTASO

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