存在しないライトノベルのあらすじ1

西暦2059年。突如として世界中の大陸5㎞上空に黒々とした巨大なホールが出現した。ホールの先には銀河系終端より500光年先の惑星「ケネデス」が存在していた。
エネルギー問題が深刻な時代にあり、豊富な資源を求め人類はホールへと進行していくが、探査開始場所から数キロ地点で調査チームが発見したのは半透明のドームで囲まられた都市「エウロバ」だった。

移動ポータルを抜けた先で見たのは初めての異地。案内の通り、移動式床のデッキに乗ると、30分ほどで都市「エウロバ」に到着した。
「ここがエウロバか~、初めて来たな」
九龍城のような見た目とは裏腹に、町ゆく人の手には地球の最新デバイスが握られていた。ポータルを抜けた先、通称「異地」の発見からおよそ半世紀、地球の技術流入もあり、町には様々な最新機器であふれていた。

苦学生である翔は、金欠解消の為大学の電子掲示板で見つけたバイト「環境調査補助」の為、夏休みを利用して異地を訪ねていた。
やけにだだっぴろい広場を抜けて、小さな白い城門の前にたどり着く。
「桁が一つ違う報酬を見て飛びついたけど、中々めんどくさそうだな」
内心後悔しつつ、バックレてやろうかと思ったが、数か月に一度しか開かないポータルを思い出し、あきらめた。
「確かここらへんだけど…」
ビューグラスの情報を確かめながらうろうろしていると。
「おい!こっちだ!早くしろ」
やけに野太い声で呼ばれ、反射的に振り向くと、そこには屈強なヒューマンタイプが立っていた。
「早く乗れ!ぐずぐずするな」
急に呼ばれ驚きから固まっていると、首ねっこをつかまれ、浮遊するトラックの積み荷のようなものに乱雑に投げられた。
「ハイヨー!!!シルバー!!!!」
謎の動力で積み荷は動き出し、刹那、視界がゆがむスピードで走り出した。
緊張と三半規管がやられた影響で吐きそうになっていると、先ほどのムキムキが話しかけてくる。
「お前よく見ると地球人か!?珍しい奴だなアンデット討伐に志願なんて!」
間違えた。という前に意識は飛んでしまっていた。

鈍い衝撃で目を覚ますと、目の前には爆炎が広がっていた。
急いで立ち上がり、四肢を確認すると小さな怪我以外は見当たらなかった。
安堵しつつ周囲を見渡すと、地面はどす黒い液体で染まっていた。
先ほどまで乗っていた魔法車は木にぶつかり、死体と綯交ぜのようになっている。
嗚咽を漏らしながら蹲っていると、背後の金属のこすれるような音が聞こえた。
「悶>縺セ縺吶?ゑス薙□_?」
翻訳機が訳せない言語を発しながら3メートルはある黒い化け物がこちらを見ている。
アンデットだ!一心不乱に走りだそうとした時突如、背中に冷たい感触が走る。
「あ。。。」
粗い金属の銛のようなもので貫かれ、矛先に自分の心臓を見た。
眼前で鼓動するそれに対して、口から声も漏れずただ静かに膝から崩れ落ちた。


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