人生初の裁判傍聴してきたのでまとめ

私の遅いお盆休みは中日に突入するも、暇はあれど金はなし。
どうしたもんかと考えを巡らすうちにたどり着いたのが「裁判傍聴」。

実際今までも何度か関心を持つことはあったけど、いざ行動に移すとなると腰が重かったので、この機会に行くことに。

結果としては「行ってよかったなぁ」という感じです。
以下参考情報と各審理をざっくりまとめます。

はじめに

行く前の私もそうでしたが、「裁判所って普通の人は入れるの?」、「どんな恰好すればいいの?」、「どんな裁判見ればいいの?」あたりが気になると思います。今回は私が行った東京地方・高等裁判所を例に順を追って解説します。

裁判所って普通の人は入れるの?
→普通に入れます。(傍聴目的や付随施設(後述)利用目的前提ね)

霞ヶ関駅A1出口が便利です。
扉から入るとガードマンに促され荷物チェック(X線)と金属探知機を受けます(すぐ終わる)。以降の館内行動は自由です。(関係者以外立入禁止区域は入っちゃダメだよ)

どんな恰好すればいいの?
→全裸じゃなければOKです。

私は半そで短パンにスニーカーという出で立ちでしたが、時期柄特に浮くこともなく、むしろスーツとか来てる方のほうが(検事さん除いても)稀有でした。
ただ、個人的にはビーサン履いてる人が部屋入退室する際にペッタラペッタラ鳴って気になったので、シューズが無難だと思います。

どんな裁判見ればいいの?
→「地裁」担当の「刑事事件」で「新件」がいいと思います。

これについては色んな媒体でも書かれていますが、やはり「刑事事件」の「新件」が(内容や見ごたえも含め)いいと思います。そして何より「地裁」というのがポイントです。『えっ 高裁の方がなんか上級っぽくて見ごたえあるんじゃないの』と思うかもしれませんが、今回の経験からそれは「無い」なと感じました。(内容による)

なお、各審理については入り口すぐの受付横にタッチパネル式の「開廷表」があるので、上記参考に検索してみてください。(人が群がってるので場所はすぐわかる)
傍聴席が満席になると「立ち見」とかはできないので、あらかじめ複数押さえておくと◎です。

以上を基に、傍聴した各審理を下記に記載していきます。
※一部曖昧に記述します。

0.大麻取締法違反

一番初めに傍聴しようとしたが、満席で叶わず。すぐ退室。

1.奨学金返還訴訟

結果これが人生最初の傍聴となりました。冒頭から参加できなかったのですが、どうも被告側弁護人の書類不備があったらしく、5分ほどで次回日程を決めて終了しました。
しょっぱなから肩透かしです。

2.殺人事件(控訴)

「殺人」というワードに惹かれ開始20分前くらいに向かいましたが、やはり気持ちは皆同じなのか結構な行列になっていました。
ただ、控訴請求を裁判官が棄却して終了したため、こちらも5分ほどで終わりました。
今日見てた感じだと、基本高裁は控訴を受理・棄却するか、各種余罪についての追求を裁判所が認めるか認めないか読み上げる系が多く、弁護士と検察の白熱したやり取りはあまり期待できなさそうです。
ただ、今回は「殺人」ということもあり(その後も何度かあったが)、被告がワッパをはめて腰には逃げられないように紐でくくっている(審理始まるといずれも外される)のを間近で見ることができたのは新鮮でした。

3.大麻取締法違反

この審理が今日一番「ザ・裁判傍聴」という感じで見ごたえがありました。被告の生い立ちから逮捕、入手方法までの経緯報告、証拠物品(本物)の提示、証人尋問、結審までが1時間くらいで終わりました。

一通り検察・弁護人による被告・証人への質問が終わると裁判官がしばし整理したのち判決が言い渡されました。

自分の見た限りこの審理に限らず、検察が証人・被告に激詰めすることはなく、穏やかに質問する系がほとんどだなと思いました。むしろ激熱な弁護人のほうが多いなと思いました。

結果は執行猶予付きの判決となりました。初犯で軽犯罪ということもあり、まぁこんなものなのかなという感じです。
ちなみに、こちらの被告は警察署での拘留程度のためかワッパや腰ひもはなく、結審後は柵の脇から出てきて傍聴人や証人と一緒に普通にエレベーターに乗っていきました。罪状次第ですが、結構緩いんだなぁと思いました。

4.業務上過失致死傷罪

作業中に発生した死亡事故について、証人尋問が行われていました。

この審理は結構弁護人の発言の圧が強いというか、何度か裁判官から制止されたり検察から異議を唱えられたり、傍聴席から失笑が起きて注意されたりと、いろいろありました。
ただ、進むにつれ弁護人質問が似たことの繰り返しになり飽きてきたのでほどほどで退出しました。

5.強姦罪

上記審理を抜けて途中入出したため冒頭はわかりませんが、こちらの審理では原告に対する被告弁護人からの異議?について裁判所がどう判断したかを読み上げていました。

本件の特徴としてはプライバシーに配慮し、法廷内にパーテーションが設置されていました。

本件の学びとしては、「『わからない』、『覚えていない』といった証言も『証言』であることには変わらないため、下手をすると不利になるかもしれない」ということです。

犯行内容を確認されても「覚えていない・わからない」と「証言」してしまうと、「原告も覚えていないんだから、そういった行為自体被告が犯したと言えないとも言える」と被告側に有利になるケースが発生しかねないということです。そのための「黙秘権」が用意されているのかな、とも思いました。(上記すべてが必ず当てはまるわけではないし、「覚えていない・わからない」が必ずしも不利益につながるというわけではないかもしれませんが)

6.暴行罪

被告の控訴を裁判官が棄却してすぐ終わりました。

7.ストーカー規制法違反

ワッパに腰紐スタイル。審理内容は裁判官からの勾留理由の言い渡しのみなんですが、これが個人的に一番衝撃がありました。

まず開廷前に弁護人が「裁判官が当初予定されていた人物と違う!この審理は無効だ!」と叫ぶと裁判官が「全く問題ない。これ以上の発言は審理妨害になる」と塩対応。
以降も裁判官が手短に発言。
それに弁護人がめちゃ長文で反論。
裁判官塩対応。
の繰り返しでした。

恐らく弁護人側は公平公正な裁判に則れや、ということなんでしょう。(本件がどの程度問題なのかはわかりませんが)
私のような一般に公開しているのも公正公平な裁判の原則の一つですが、「それは大した問題じゃないですね」と裁判官が一蹴できるのは別に問題ないの?というのは私もちょっと疑問です。(あまり掘り下げる気はありませんが)

8.強制性交等罪

有罪判決に対する控訴審でした。結果は棄却です。こちらもワッパに腰紐スタイル。

こちらの学びとしては「被害申告は最初から正確に行わないと不利になる可能性がある」ということです。
被告側主張は「原告の警察調書とその後の発言に変化があり、信用性に欠ける」というものでした。
裁判所としては「警察相手と言えど、犯行内容から正直に話すのが罪状が罪状なだけにためらわれた原告側主張は理解できる。そのため原告発言の信用性に影響はない。」との判断でした。
概ねその通りだなとは思いましたが、やはり調書は正確に記録してもらったほうがいいのだなあと思いました(しんどいけど)。

おわりに

初めての裁判傍聴でしたが、緊張というか厳かさはあるとはいえ、なんというか「自分があまり発言する必要のない会議に出席してる感覚」に近いと思います。入退室も自由ですしね。なんだかんだほぼ朝から最後までいました。
私は普段、平日は仕事をしているため、なかなか傍聴の機会はないのですが年に一度くらいは行く価値あるなと思いました。

そしていつか自分が原告、あるいは被告になったときに今回のことを思い出すのかなと思いました。(そんな機会が一生来ないことを切に願いますが)

最近はSNSで私罪的なのや過熱しすぎたりすることがありますが、今回の経験でむしろちょっと冷静になれたというか、自分自身一歩引いて見られるようになるかな・なれたらいいな~と思います。

あと開廷表見て思ったけど、暴行や殺人よりも大麻や覚せい剤絡みが本当に多い(この日たまたまなのかもしれないけど)。他人に危害加えない(自損)だけまだ平和なのかな?

おまけ

お昼ですが、外出て道路挟んだ向かいにある農水省北別館の食堂(SAKURA)利用をオススメします。
裁判所地下にも食堂やすき家、ファミマ、休憩スペースがあるんですが、携帯が圏外だし、そのせいで電子マネー(パスモやpaypay)が使えない場合があります。改善してほしいですね。
農水省食堂はちょっと高いですが、メニューが豊富なので個人的にはこっちがおすすめです。

※質問等あれば可能な範囲で随時追記などさせていただきます。

お恵みを~~~!!!