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【キャンペーン終了】AIシンガー元年!「Saki AI」(Synthesizer V)導入方法

※2021年7月5日追記:本記事で紹介しているキャンペーンは2021年6月18日で終了しました。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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2020年2月のNEUTRINOの衝撃からだいたい1年。

今年はいよいよ本当にAIシンガー元年になりそうです。

下の動画は、今回紹介するAIシンガー「Saki AI」さんに歌ってもらった拙作になります。(まだドラムとベースしか入れてませんが、これからギターやピアノを入れていきます)

どうでしょう、ところどころ怪しいものの、かなり人っぽくないですか?初音ミク発売からはや14年、ボーカル音源もついにここまで来たかと仰天せざるを得ませんでした。

2021年はAIシンガー元年!

先日発売されたCeVIO AI第1弾の「結月ゆかり 麗」が、ここのところニコニコ動画でかなり話題になってますね!

結月ゆかりはもともとVOCALOIDとして発売されていたもので、その進化っぷりが非常にわかりやすくて良いですね。

しかし実は、CeVIO AIより先に、初の日本語商用AIシンガーとして、DREAMTRONICS社・Synthesizer V Pro用ライブラリ「Saki AI」が発売されていたことは、あまり知られていないのではないでしょうか?

いや、正確にいうと「SenthVでもAIシンガーが出てるみたいだけど、ググっても何をどう買えばいいのかわからん」ということで放念してしまった人が多いのではないでしょうか?

製品ページには「歌声データベースはStandard版とAI版の中から1種類をお選び頂けます。」と小さく書いてありますが、つまり……どういうこと?ってなりますよね。結論から言うと、もうAI版買えます。正確に言うと、非AI版を買うことでAI版も入手できます。私、買いました。そして超良いです!

私がこのソフトの存在を知ったのは藤本健さんのDTMステーションの記事でした。

おお、すごそう!

ただこれ、微妙に歯切れの悪い書き方の記事で、「結局どこ行けば買えるんだ……?」「どれ買えばいいんだ……?」とネット上を右往左往して、最終的に興味を失くしていました。しかもこの記事が出た当時は、日本でのSynthV代理店であるAHソフトウェア公式サイトでもAIライブラリについてほとんど記載がなかったのです。(今はちょっと充実しましたね)

しかし、かねてよりフォローしていたいーえるP氏の下記ツイートを見て

「やっぱりもう買えるんだ!」と確信し、必死で入手成功したという顛末です。そして、実際に歌わせてみたら……これがもう(感動のあまり絶句)

ただ、実際歌わせるところまでの段取りがわかりづらくけっこう苦労したので、「こんな素晴らしいソフトがひっそり埋もれて良いわけがない」と居ても立ってもいられず、こうして初めてnoteを書いてみる次第です。

Sakiはイラストというか容姿のビジュアルがないこともあって、今もっともマイナーなAIシンガーの1人ではないでしょうか。こんなにすごいのに。

■SynthV AIの良いところ

・ベタ打ちでもすでにほぼ人間の歌手っぽく歌う

VSTiプラグインとしてDAW上で立ち上げて使える(オケと同期してバランス見ながら編集できるし、もちろんエフェクトかけながら打ち込める。2021年2月現在時点では、これができる唯一のAIシンガーである)

MIDIファイルはもちろん、VSQやUSTなど他ボーカル音源のファイルも読み込める。過去資産も活かせるし、メロだけ適当にシンセで打ち込んでから歌詞をまとめて流し込む作り方もできる

有声音と無声音(呼気?)をDAW上に個別に出力してミックスできる(「レンダリング」メニューから「ブレスの分離出力」)。無声音だけでも「歌詞が聴き取れるレベルのウィスパーボイス」になって、ささやき系に便利

ハイブリッド式(後述)のためエディットが超簡単で、しかも効果がわかりやすい。私はテンション(声の張り)とラウドネス(声の大きさ)、あと一部ピッチ遷移のタイミングぐらいしか触らないですが

・海外製(中国の天才若社長が開発)ソフトだけあって、すでに英語ネイティブや中国語ネイティブのライブラリが出ている。特にエレノア・フォルテ(英語ネイティブ)のAI版が出たら、ボカロP勢の世界進出あるで!

・スクリプト機能が公開されていて、ユーザーが編集ツールを自作できるんだそうだ。私はやらないが誰かが頑張ってほしいものだ

■SynthV AIの微妙なところ

説明書がない。ヘルプメニューからYouTubeを見るか、くろ州さんの手作りPDFをありがたく使わせてもらいましょう。ただし本体はバージョンアップを重ねているので、情報が古いままです……AHSさんガンバッテ!

・私は特に気にならないが、ノートを置いたときに発声してくれない、楽曲のループ再生時にSynthVだけループに付いてきてくれない、ビブラートが暴発したりブクブク音がしたりおかしくなる時がある(編集メニューから該当ノートにリセットをかけたり何かを適当にいじればすぐ直る)など、ところどころアレです。今後のアプデに期待!

・当たり前だけど、SynthV上での歌唱編集内容はSynthVの専用形式(*.svp)でしか保存できない。DAW側でCtrl+Sをまめにやっていても、SynthVのエディット状態を保存し忘れる可能性が稀にありそう?(一応、未保存で閉じようとすると警告が出ますが)


あと「Saki AI」固有の特徴としては、良くも悪くもアニメ声すぎない、汎用性が高い歌手だということが挙げられます。ずっと論外だとされてきた、「仮歌シンガー」としての可能性を最も強く秘めたAIシンガーではないかと思います。


前置きが長くなりすぎましたが、本題です。

1.何を買えばいいのか?答えは「スターターパック」です

何を買えばいいのかが一番不安なところですが、「Synthesizer V Studio Pro スターターパック」です!

これは、歌声エンジンである「Senthesizer V Studio Pro」と、好きな歌声ライブラリ1種をセットにしたもので、これさえ買えばとりあえずお目当てのライブラリを100%使うことができます(2021年2月時点)。

わかりづらいのですが、「Saki」ユーザーに「Saki AI」が無償提供される、という形になります。少なくとも2021年6月18日まではこのシステムです(後述)。安心してポチってください。

商品名に特に「AI」とか付いてないですが、それで合ってます。昔から売っていたSynthesizer V Studio Proが、直近のバージョンアップによりAIライブラリに対応したというだけの話なのでした。

ちなみにAI化前の無料ライブラリも一通り使えるので、上記スターターキットを1つ買っただけでこのぐらいのメンバーをお迎え可能です。

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Sakiさんが4人と若干多すぎですが、普通にこうなります。ライトとかLiteというのは、機能を限定された無料配布版ライブラリです。以下、解説していきます。

2.購入後、まずはSynthV Studio Pro本体をインストール→アクティベート→アップデート

購入後は内容物に不足がないか確認し、AHソフトウェアのサイトユーザー登録と製品登録をしておきましょう。日本語サポートが受けられるのは日本代理店から購入する最大のメリットです。

で、SynthV Studio Pro本体をインストールします。

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インストール後はソフトを起動。付属のアクティベーションコードを入力し、アクティベートを済ませます。で、AIに対応するのはバージョン1.1.0からですので、必ずすぐにアップデートしてください。下の画像、2021年2月1日現在では1.1.1になってますよね。

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画面右端の雲みたいなアイコン(上画像だと選択状態で緑色になっている)で、この「ライセンスとアップデート」画面を呼び出せます。ここでSynthV Studio本体と各ライブラリのライセンス管理ができます。

一番上のSynthV Studio本体を選んで「アップデートを確認」をクリックし、最新版にアップデートしてください。

3.通常版歌声ライブラリの入手と、SynthV上でのアクティベート

あ、今さらですが、この記事はSakiさんを例にしていますが、「琴葉 茜・葵」「小春六花」でも段取りは同じはずです。小春六花はまだ未発売かな?(※2月1日追記:小春六花などは、Sakiと違って最初からAIのライブラリがセットになっているようです。本記事はあくまでもSaki AI専用ということでご理解ください)

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一番上の「歌声データベース(スターターパック所有者用)」をクリックして、お目当てのライブラリをGETしましょう。

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ちなみに上の画像の男声ボーカル「ゲンブ」は2021年2月現在、まだAI版が出ていない(従来方式の歌声合成のみ)ので注意が必要です。

スターターパックに付属のクーポンコードを入力し、欲しいライブラリの「この製品選択」をクリックして購入画面に進みます。「クーポンを使って0円で購入する」という仕組みです。ライブラリの購入が完了すると……

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SynthVの日本代理店であるAHソフトウェアではなく、cleverbridge(クレバーブリッジ)というところから、上図のようなメールが届きます。真ん中の「ダウンロード」をクリックすると、Sakiさんの歌声ライブラリを入手できます!

ZIPファイルを解凍し、テキストファイルの指示に従って「saki-install.svpk」(これがライブラリ本体です)というファイルをダブルクリックすると、SynthVにSakiさん(非AI)が追加されます。先程の「ライセンスとアップデート」画面にSakiさん(非AI)がいることを確認しましょう。この時点では未アクティベートなので使えません。

「ライセンスとアップデート」画面でSakiさんを選び、「アクティベート」をクリックし、メールに記載されたアクティベーションコードを入力すると、晴れてSakiさん(非AI)が歌ってくれるようになります!

ここまではわりとすんなり来れると思います。問題は次です。

4.AI版歌声ライブラリの入手と、SynthV上でのアクティベート

これ、ノーヒントだとたどり着くのがけっこう困難だったのですが、

ここです!Saki AIが入手できるページ!

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すごい地味ですが、ここで間違いないのです。なお、上記ツイートにもありますが、Saki AIライト版は無料で使えます。(Synthesizer V Studioが必要ですが)

この画面では、さっきのメールにあったSaki(非AI)と同じアクティベーションコードを入力します。で「送信」ですすめると、

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ついに来ましたこのページ!ここでSaki AI(saki-ai-install-100.svpk)がダウンロードできます!

上の画像では「ぼかし」を入れていますが、ここにAI版のアクティベーションコードが記載されています。失くして泣かないようにどこかに残しておきましょう。

なお、Saki(非AI)所持者にSaki AIを無償提供するキャンペーンは日本時間2021年6月18日午前0時00分までとのことです。念のためファイルもバックアップしておくといいでしょう。

ダウンロード後の段取りはSaki(非AI)と同じで、svpkファイルをダブルクリックしてSynthVに追加後、アクティベーションを行います。

おめでとう、これであなたも晴れてSaki AIユーザーです!

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これから一人でも多くのSaki AIユーザーが増えてくれることを願ってやみません。

5.アクティベート/ディアクティベートについて

最後に、VOCALOIDユーザーなどは慣れっこでしょうが、PCを新調したりする際は、SynthV本体と有料ライブラリは一度「ディアクティベート」する必要があります。(無料ライブラリでは不要)

で、新しいマシンで改めて「アクティベート」です。

DTMソフトのライセンス移動は面倒なのが多いですが、腹を括って、新しいソフトを購入するたびにライセンスの扱いは確認し、気をつけるべきソフトは一箇所にまとめて記録しておくことをおすすめします。

私は所持プラグインはGoogleスプレッドシートで管理しています。

それでは皆様、良きAIシンガーライフを!

ニコ動のマイリスもよろしくです。

※補記:そもそもAIシンガーとは?

実はAI(人工知能)とは別に関係なくて、よくAIと同義で使われる深層学習(ディープラーニング)の技術を応用したボーカル音源をAIシンガーと呼んでいるようです。

技術的なことは私もさっぱりですが、なんとなく理解しているところでいうと、従来のボーカル音源が、人間からサンプリングした音素を連結して歌声を合成する「素片連結式」と呼ばれる方式だったのに対し、深層学習という全然別方向からアプローチしているということらしいんですね。

深層学習って、将棋とか囲碁で有名になりましたが、膨大な量のデータを機械に食わせることで、人間の思考や感覚を疑似的に再現し、場合によっては超越するような仕組みですね。スマホの写真アプリが、同じ人物の5歳のときの写真と35歳のときの写真を「同じ人ですか?」と尋ねてきてびびることがありますが、ああいうのも深層学習によって実現している技術みたいです。

一昔前は「コンピューターがいくら優れてるといっても、画像認識みたいな簡単なことすらできない。猫の写真を見せても猫だと分からない」とか言われていましたが、深層学習の進化によって、もはや画像認識では人間超えを果たしているところもあったりするわけですね。

話が逸れたので戻ります。

素片連結式のボーカル音源には、VOCALOID(ヤマハが開発し、各社にライセンス販売)やNT(ミクのディベロッパーであるクリプトン・フューチャー・メディアの独自規格)、UTAU(オープンソース)、Synthesizer V、CeVIOなどがあります。

そう、SynthVやCeVIOはもともと素片連結式だったんですね。それがディープラーニングを取り入れて、「機械学習式」になったものを、現状みんなAIシンガーと呼んでいるわけです。だからそのうち、VOCALOID AIやNT AIといったエンジンが開発されれば、初音ミクもAIシンガー版が出るかもしれません。

ただこのへんは「コレジャナイ問題」「不気味の谷問題」「ボイス提供者さんの権利問題」などいろいろ絡んでややこしい話みたいですが……。

AIという言葉自体、超適当な使い方をされており、もともとの「人間の知能や思考を再現したもの」というより、その副産物というか手法の一つである機械学習、特にディープラーニングを用いたものが「AIほにゃらら」と呼ばれる傾向にあるようです。

マイクロソフトのりんなとか、企業が歌声だけを公開していたAIシンガーは数年前からありましたが、2020年に無料で一般ユーザーにも使えるソフトとして公開された「NEUTRINO」が、一気に時代の扉を開き、扱いやすいGUIを持った「CeVIO AI」や「SynthV Pro」の商用音源が追随しているというのが現在の概況です。

ちなみにSynthV AIは厳密には機械学習式と素片連結式のハイブリッド式なのだそうで、それがエディットの自由度の高さに繋がっているとか。

NEUTRINOなんかはすごくリアルなんですが、人間があまり干渉できないというか、メロと歌詞を渡したら歌っていただくだけみたいなところがあったんですよね。

そういう意味では、DAWと連結できて、人間側がエディットできる余地の大きいSynthV AIはまさに私の待ち望んだ夢のソフトなのでした。

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