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『ガルヴェイアスの犬』を読んだ

 写真は、関係ないけど、先月斜里に行ったときの写真。知床の山々が美しい。

 中日の祝日って久しぶりですね。今日は図書館へ。最近、集中力がなくて、あんまり一気読みできなくなってたのですが、久しぶりに一気読み。面白い小説だったのと、図書館という空間も良かった。ジョゼ・ルイス・ペイショット 『ガルヴェイアスの犬 』を読んだ。前情報はなく、適当に海外文学のコーナーで選んだ本。貼ってある帯を見ると何やら賞もとっているみたいだし、ポルトガル文学の棚には30冊ほどしか本がなかったので、翻訳されるくらいの精鋭はきっと面白いだろう、…と軽い気持ちで読み始めた。

 ポルトガルのとある村に謎の物体が落ちてきた。謎の物体からは硫黄のにおいがする…。その後の村人たちの話。硫黄のにおいは充満しているけれど、痴話喧嘩に殺人、アル中、兄弟喧嘩、などなど…謎の物体とは関係なしに、ある意味普通?の暮らしを送っている村人たちのエピソードが連なります。ちょいちょい挟まる硫黄のにおい以外、あんまり謎の物体には触れられずに物語が進んでいくからちょっと忘れかけたけど、犬たちが思い出させてくれた。

 ああだこうだ言いながらみんな死に向かってるし、自分たちが徐々に死臭(とまでは書いてないけどね、硫黄のにおい)を放っていってることにも気づかない。でも、そのああだこうだが、それぞれの人生なんだよなあとも思う。ちょっとラストにはゾワッとしたけれども、当たり前だけど一人ひとりに人生、物語があるんだよねえと少し優しい気持ちにもなれるような。あと、老い(死)について、少しずつ身の回りのものがなくなっていくこと、最後は自分の死ぬベッドだけになる、みたいに言う爺さんが出てきたのが妙に印象に残っている。わかるようなわからないような。

先日、丁度硫黄山に行ったので硫黄のにおいを思い出しながら読みました…笑