アルバイト
姉さんは、テレビで「中三地学 皆既日食」を見ていた。
僕のアルバイトは工場へ行って、肺活量測定器に似た機械で
空気をいっぱいタンクの中に送り込むことだ。
みんな20歳の誕生日を迎えると自然と辞めていく。
僕たちの空気の使い道は誰も知らない。
週三回、午前10時から12時までの2時間、
懸命に空気を送るだけで割といいお金になる。
あと3カ月で僕はこのアルバイトをリタイヤしなければならない。
ジェイソン通りにある楽器屋へ
僕はアコーディオンの残りの半金を払いに行った。
この仕事のせいか、息が切れる。若さが吸い取られていくせいだろうか。
余り長くはできない。
「そろそろ学校に戻ったらどうなの。そんなプラプラしてちゃダメよ」。
姉さんだけには言われたくない。
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