[NEO AFTERNOON] 批評①

an-panさん [以下原文ママ]

ーーーーー

そんばりけっちゃ「neo afternoon」レヴュー

そんばりけっちゃの5曲入り新作ミニアルバム「neo afternoon」を聴いた。
ユニークなアイデアを基に意外にも器用なプログラミングやミックス処理が施されていたり、詩にメッセージ性があったりと興味深いアプローチの一枚に仕上がっている。そして声が良い。売れそうだ。(知らんけど)

唐突に私の自論をまくしたてるが、ロックや周辺の音楽は作者本人が不幸を感じていればいるほどエネルギッシュな作品が生まれると信じている。要は作者の不幸はリスナーの蜜の味というわけだ。私は不安要素や不安定な環境から生まれるいびつな何かが好きだ。

そしてそんばりけっちゃの「neo afternoon」。彼自身が不完全な人間であるように、この作品も完全なものではない。意外に器用だと前述したが、この作品から完璧なサウンドが提供されている訳ではない。その不完全な部分を指摘してここに記述するのは私としては不毛なのでやめておくし、それよりも不完全な彼の精一杯を味わおうではないかと純粋に思いながら耳にしている。
それよりも何よりも特記したいのが、20代半ばの彼が(たぶん夜な夜な一人で)試行錯誤を繰り返しつつも作品を作った事実は最大限に評価したい。えらい!

50歳に近くなった私が振り返るに、この20代半ばというのは若過ぎず老い過ぎず、ある程度社会の中での自分の立ち位置が見えて苛立っていたり、振り返る過去がありつつも夢を見る事が許されるぐらいの未来もある・・・。そんな時期だと思う。また楽器の技術や音楽的知識もある程度は身に付いていたり、ちょっと頑張れば悪くないギターとノートパソコンが買える。ロックや周辺の音楽を作るにふさわしいそんな年頃。それゆえにその年頃のミュージシャンがダラダラしていると、老害と言われようが私は「頑張れ!今を大事にしろ!」ときつく説教をするのだ。
ちなみにロック名盤と呼ばれる作品のほとんどが20代半ばに作られているという揺るぎないデータがある。ジギースターダスト然り、サージェントペッパーズ然り、ネヴァーマインド然り・・・。気になってもならなくても検索などしてみて欲しい。

つまりは不完全だろうが何だろうが、この「neo afternoon」がそんばりけっちゃの生涯最高傑作になる可能性が高いのだ。未来の彼がこの作品に対して越えられない壁を感じるような日が来るかもしれない。無論、彼は今後も作品を作ったりライブ活動をしたり、あるいは何かの理由でそれをしなかったりとマイペースに生きていくのだろう。マイペースな彼を私もマイペースに応援しよう。

音からはその人の性格や人柄が溢れ出る。雑な音だと思うと雑な人だったり、几帳面な人が几帳面な演奏をしたり。往々にしてこれはほぼ例外なく当たる。
そんばりけっちゃも意外にも器用だけど完璧な作業が出来ないタイプのようだ。バンドメンバーや周辺の人は気苦労するだろうが、ユニークなアイデアをいっぱい出せるタイプのそんばりけっちゃを尊重してフォローしてあげて欲しい。(完璧な作業は出来るけどアイデアマンではない逆パターンの人とは良い凹凸具合になる気がする)
そんばりけっちゃとはそういう人だと結論付けてこのレビューを終えよう。

an-pan (Experimental crossbreed、Studio Orange Room代表)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?