デンマークの国会について
デンマーク5日目。
デンマーク国会議事堂にてロラン島選出の国会議員、レナートさんにお話を聞いた。
デンマークの国会についてまずは概要。
1846年、初憲法制定(それまでは絶対王政)。選挙権は国民の13%のみ。(男性・30歳以上・自営業者のみ)
1915年、真の意味での民主主義憲法制定。(女性・労働者参政権)
1944年、フォルケホイスコーレ(大人の学校 https://www.ifas-japan.com/folke/)で民主主義の教育開始。
1949年、現憲法制定。(上院の廃止・女性王族が女王になれるようにした)
一院制。全179議席。うち法案は110議席のみの投票で決定。
レナート議員は大工→地元の市長→労働組合長をへて国会議員になった方。(12年目)
印象深かったのが、デンマークの社会では珍しく、議会の中にはヒエラルキーがあるということ。ただ、これは権力が伴うものではないということです。
どういうことかというと、同じ国会議員と言ってもそれぞれ経験の違いがあり、最適な国政運営という目的を共有し、お互いの経験への違いに対する尊重の上にできているということ。
このヒエラルキーが発言のパワーバランスに影響を与えることはなく、それぞれにできること、役割として最適な立場で関わると、結果としてヒエラルキーができたということです。
9政党全てが国会運営に関わり、どの政党とも綿密な対話をします。
誰が首相になっても各政党を集めて、国民の課題を一番いい形で解決できるかという目標が共有されている。だから、何度も何度も対話をし、調整するといいます。
日本の感覚からすると、意見の対立が前提で、違う意見は排除する政権運営がなされているが、そもそものスタンスが違う。
それも、「劇的な変化が急激に怒らないようにすることを大事にしている」からだという。ソフトランディングしていきながら、目指す社会を実現する。劇的に変わることはないという安心感を国民と他党に与えることも大事にしている。だからこそ国全体として長期的計画を共有し継続できる。
これはエネルギー、外交、貿易、福祉・・・あらゆるテーマに関して言えるそうだ。
こちらら、レナート議員の執務室。壁紙や絵、家具などそれぞれの議員が自分なりのヒュッゲな空間を作り上げるそうだ。なんとも居心地のいい部屋だろう。国会というもっとも硬くヒュッゲから遠い場所にでも、自分が心地よいと感じる空間を作り上げていた。
自分らしさ、自分の幸せ感を家に置いてくるのではなく、むしろ積極的に持ち込んで仕事場を作る。これも生産性の高さと幸福感をどちらも高めることに影響していると感じます。
こちらはレナート議員の執務室からの景色。
「ここからの景色が素晴らしいんだ。見てみて。」と見せてくれた。
ここは議事堂からの出口。
中は極めてモダンなデザインで統一されています。
国会議事堂の建物は古くからの伝統建築で、これは大事に大事に残しつつ、内部の利便性、効率性はどこまでも求めていく意思を建物空間からも感じました。
今回、デンマークの国民性やヒュッゲ、信頼をベースにした社会システムに触れる旅の中で、そうは言っても国会だけは日本と変わらないのではないか?と想像していたが、驚くことに、というかやはりというか国会というもっともお堅い人たちの職場でも、デンマークの精神は存分にいきていました。
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