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ブーツでドアをドカ〜っと蹴って。

「お洒落は足元から」と最初に言ったのは、名うてのコピーライターを起用した靴メーカーなんだろうけども、まさにその通りだと思う。
高級ブランドのスーツに身を包んでいても、トゥが必要以上に長い革靴を履いているビジネスマンを見かける度に「その爪先には一体何が詰まっているのだ?」と思ってしまう。立身出世の野望か?それとも、疲れた時に糖分を補給するためのアメちゃんか?もしアメちゃんだったら臭いだろうな、、、

そんなことより、ボクは靴が好きです。
オッパイとクルマの次に好きです。音楽や映画と同じくらいに好きです。お洒落さんではないけど、とにかく靴が好きです。
ものすごく高価だったり、驚くほどレアだったり、ネットで話題だったりするモテアイテムは持ってませんが、ここではボクが今まで愛した、そして今でも愛する靴たちをファッションブロガーっぽく紹介していきます。

第一弾は「バイカーブーツ」とも呼ばれる、エンジニアブーツに登場をしてもらいます。
こちらです。

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現在ボクが所有している、この5足のエンジニアブーツは全てRed Wing社製の「11” Engineer」シリーズです。


まずは「2268」。

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通称「PT91」や「茶芯」などと呼ばれる初期タイプは中古市場でも未だに根強い支持があるようですが、14〜5年前くらいの異常な高値に比べたら少しは人気も価格も落ち着いてきたのかな。
「2268」の詳しい歴史はネットでググってもらえば簡単に、そしてほぼ正確な情報が手に入るでしょうから、各自でお願いします。

1992~3年頃かな、世の若き男性たちは「アメカジ」から派生し、ワイルドさを加えた「渋カジ」と呼ばれるファッション一色と言っていいほどのブームでした。渋谷センター街のゲットーぶりは、すでに社会人となっていたボクには怖くて通れないし、ましてやバスケットボールなんかやれるはずもないストリート。
そこに夜な夜なタムろしている茶髪のロン毛でネイティブアメリカンなシルバーアクセサリーをジャラジャラと付けた、汚いネルシャツに裾のほつれたチノパンというスタイルの頭も素行も悪いクソガキどもがユニフォームのように履いていたのが、この「2268」でした。
奴らはケンカの時これを履いて相手の脛を蹴るので、即骨折でしたね。マッドマックスかよ、、、ってくらいに世紀末感溢れるシブヤシティーでした。
その当時は一大ブームということもあって敬遠していたんですけど、その後ボクが中型バイクを乗るようになってから手に入れました。その時すでに中古だったモノをアメ横の古着屋さんで買ったんですが、ブームが去った後だったし、ソールがかなり減っていたこともあって破格で買えた記憶があります。
同じ「2268」でも年代によって仕様に微妙な違いがあり、それによって価値や価格が変化するんですが、ボクのは「プリントタグ」に「刻印(”05 94”とあるので1994年5月製造)」の、いわゆる「PT91」の初期タイプです。
と、細かい仕様の話になると長引くし、マニアは上には上がいるので詳しく知りたい人はガチマニアのブログとか読んで勉強してください。
ここではもっとライトな、というかボクにとっての足元のお洒落(っぽく履きこなすアイテム)としてのエンジニアブーツを語ります。


ボクの場合、毎日の通勤が基本的にはバイクなので、まず何しろ左足の甲にスチールが入っている、この「2268」はありがたい。

「ん?どうして左足の甲にスチールが入っているとありがたいの?」と思うでしょ。

ごく一部を除いてほとんどのバイクは左側のフットペダルがギアシフトになっているんです。
ちなみにハンドル右手が前輪ブレーキ、ハンドル左手がクラッチ、右側フットペダルが後輪ブレーキです。

走る時はニュートラルの状態から一段ペダルを踏み下ろして1速。そこから二段(一段しか上げないとニュートラルに戻るだけですから)シフトアップ(足の甲で掛け上げ)して2速。その要領で一段掛け上げるごとにシフトアップして5速まであります。渋滞の多い都内では走ったり止まったりが頻繁なので、通勤片道だけでも一体何回のシフトアップをするんだろうか?その度に左足の甲はフットペダルに当たって擦られるわけですから、爪先にスチールが入っていれば痛くならない。そして、当然ながら左足の甲だけが他の箇所よりもダメージを受けて早く劣化します。
ちなみに、左足の甲だけ擦れているブーツを履いている人はバイク乗りですから、もし気になる男性(女性)が、そういうブーツを履いていたら「バイク、何乗ってるんですか?」なんて声をかけたら一気に距離が縮まる可能性大ですよ。それに爪先にスチールが入っていると万が一、転倒してバイクの下敷きになったり(某ミュージシャンの納車直後のバイクを借りて思いっきりコケた経験あり)、信号待ちや渋滞などの停車中で足を着いている時、隣の車線のクルマに爪先を轢かれても(実際に知り合いがバンに轢かれたことあるんですよ)骨折から防いでくれます。これは本当に有難いのです。
いや、こんなバイク乗りあるあるは置いといて、ブーツの話だ。


この「2268」はエンジニアブーツの王様、定番中の定番なので初めてエンジニアブーツを履こうと思っている人にはオススメしておきます。一時期、この「2268」とは違う仕様(シャフト(脛部分の筒状のところ)が少しだけ太くなってたり、茶芯じゃなかったり)だったけど、現行品の「9268」は、この「2268」のシルエットを再現して復刻されたので、新品で手に入れて育てる楽しみを味わえますよ。ボクはコレを手に入れてからすでに20年以上経ちますが、ソールを二回張り替えてると記憶してます。そうすれば、未だにこうやって現役として問題なく履けますよ。


次は「8268」。

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黒レザーが当たり前だったエンジニアブーツに革命を起こしたと言っても過言ではない「8268」は「2268」のラフアウトレザー(革を染色せずに起毛させた)タイプ。
ボクの所有している年代は「PT83」で、先ほど書いた「PT91」よりも一世代前に製造されたモノを指すんだけども、この時代、「PT83」と「PT91」は、けっこう区別があやふやで同じラスト(足の木型)を使っているのに「PT83」のまま出荷されてたりしたみたい。さすが、Made in USA。細かいことは気にしない。

これは「2268」を買ってしばらく経ってから、これまた中古で手に入れた。
当時(1990年代中盤)、まだ現行で「PT91」世代が新品で売られていた時代だったから、この「PT83」世代を中古で見つけるのは比較的に簡単だったし、今のように、やれ「PT91だ」とか、やれ「茶芯だ」などと、そういうことを気にしているのはごく一部の本当のマニアだけだった気がする。ボクも、そこまで気にして買ったわけではなく、たまたま安く見つけたコレが「PT83」というだけだった。
これも手に入れてから二回ほどソール張り替えしたくらい気に入って履きこんでます。
コレの思い出で一番記憶に残っているのは某バンドのツアーの地方公演(金沢だったな)を同行撮影する案件があり、絶対にたくさん移動しなきゃいけないだろうに何を思ってかコレを履いて前日入りから帰京まで同行し、丸三日間くらいあちこち歩いたりしてめちゃくちゃ疲れたし、メンバーとぎゅうぎゅう詰めで同乗したツアーバスで帰京してスタッフ解散してからタクシーがなかなか捕まらず、大きな荷物を抱えたままトボトボ歩いて帰ったら人生で一番の靴擦れしたこと、、、、でも、未だにコレは定期的にマイブームが来て頻繁にローテーションに起用される時期がある。


続いては「2974」。
「2268」も「8268」も中古でしか買ったことなかったエンジニアブーツを初めて新品で買ったのが、この「2974」でした。これは2タイプあります。

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まずはグロス(艶)タイプの「2974」。
こっちのグロスが先にリリースされたと思うんだけども、いつ頃だったんだろうか?
はっきりと記憶にあるのは、某デュオのツアーパンフレット撮影(代官山のカフェでデュオの二人はエビス様と大黒天の衣装着てたのは覚えてる)の時に履いていたら、ヘアメイクさん(彼もバイク乗り)に「それ、カッコイイ!真似していい?」と言われたことかな。
その後、また某デュオの撮影で会った時、ホントに履いてて笑った。
コレはスチールトゥじゃないし、ソールもクレープソールでとにかく軽いから履いてて楽チン。

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それで気に入ってたらヌバック(マット)のタイプも発売されてるのを見かけてすぐに買った記憶がある。
残念ながら、この型は廃盤になっちゃって今は新品では買えない、、、けど、今そんなに人気があるとは思えないから中古で探せば安く買えるんじゃないかな。
コレはどちらも一回づつソール張り替えに出してるかな。「2268」や「8268」などのコードソールと違ってクレープソールだから、気に入ってヘビーローテーショーンしてるとすぐにソールが減ってしまうけど、コードソールやビブラムソールに変更するとコレの良さ(カジュアルでシティーボーイ派な感じ)がなくなっちゃうから、このままクレープソールでいきますよ。
コレ書いてたらまた気になってきたし、そろそろ涼しくなってきたから久しぶりにローテーションに加えてみようかな。


最後は「8274」。

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これは「8268」の黒バージョン、というかラフアウトレザーを黒に染めてリリースされた、BEAMS別注の限定版。世代的には「PT99」という「PT91」の次の世代。
これが発売されたのはいつだったんだろう?
BEAMSが別注かけてまで発売するってことは世の中的にブームだった頃なんだろうな、、、、ってことは、最初に書いたように突如ブームとなって人気だった2005~6年って感じなのかな?
当時はBEAMSに限らず色んなブランドやショップが、とにかく何でもかんでも様々なアイテムを別注してて、コレもその流れでリリースしたんだろうね。ボクも珍しく勢いで別注の限定モノを買ったくらいだからw
記憶が定かじゃないんだけども、この別注ブーツは初期と後期?というのか、第一弾で発売したら即完売しちゃったから、その後第二弾的に発売したのと2タイプあったような、、、、同じブラックのラフアウトレザーなんだけど、微妙に黒の色味が違ってるのと、ソールのコード部分の色が違うタイプが存在するんだよなぁ。
ボクのはレザーが少し緑がかってて、コード部分も黒いから第一弾の方だと思う。
ビブラムソールじゃないのに「全部が真っ黒のエンジニアブーツ」というのが気に入ったから買って、当時は履きまくってすぐにアッパーがヘタれて、ボク的には「味が出てカッコ良く」なり、オカン世代のオバさんから言わせると「ボロボロの汚い靴」になった。
コレも一回ソールを張り替えてるはずなんだけど、今回の写真を撮るために久しぶりに見たらそこそこソールが減ってて、そんなに履いたかな?という印象。


今回、コレを書いてて久しぶりに自分のエンジニアブーツたちをマジマジと見たり、記憶を辿ったりしたら、また自分の中でエンジニアブーツ熱が出てきた。(世の中的に今、エンジニアブーツが流行ってない、っていうのもあるけどね)
今また新しくコレクションを増やしたいという欲しいブーツはないから、このブーツたちをしっかり長く愛してあげようという思いが強くなった気がする。
スニーカーはソールが減ったら完全にアウトだけど、こういう定番ブーツに関してはソールを張り替えて、アッパーを丁寧に手入れしてやれば何度でも生き返るというのが利点だからね。

にしても、、、、
たった5足のエンジニアブーツだけで、コレだけ書くことあるんだとしたら、スニーカーとかどうなっちゃうんだろうか?

続くのかしら、このコーナー、、、、
自分の足元をしっかり見つめて行こう、っと。

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