中学生なりの、生きる理由の解答
中学生でも割と忙しい。自由な時間というのも限られていて、僕は宿題を後回しにして買い物に自転車を走らせていた。僕らが生きてる理由ってなんだろう、と考えながら。
今からだいたい138億年前くらいに、宇宙はすごい爆発を起こしてできた、らしい。それでなんだかんだで生物が出てきた。そんな中、別に死んでもいーや、ってやつとよくわからんけど生きたい!ってやつがいた。死にたいやつは死んだ。普通に。生きたい!って奴らだけが生き残った。
中学生ながら、この発見に自分は頭がいいかもしれないとか自惚れた。そして嬉しかった。レジでニヤニヤしてしまうのを全力で堪えなければいけないほどに。みんな生きる理由はあるはずなんて希望的観測をしているけど、僕らが生きている理由はただ生きたくない奴らが淘汰されていった結果、生きたい奴らだけが生きているから。ということは言ってしまえば、死にたいと思う人は死ぬべきなのだ。それが自然な流れだ。
買ったロープの硬さに信頼感を覚えた。自分の家はなぜか天井の柱が露出していて、ひっかけるのにはちょうどよかった。今はないが、自分の父も幼い私にこの柱で小さなブランコを作ってくれた。ネットで調べたやり方で結び目を作る。ロープを回すとホコリが落ちてきた。咳き込みながら椅子を持ってきて準備完了だ。首を通して椅子を揺らすと、暖かい気持ちが身を包む。心臓が張り裂けるようなアレも、肩に重くのしかかるソレも、この一歩で全部なくなる。じゃ、行こうか!
...いやでもさ。
もしかしたらさ、
もしかしたらだけど、
この先の未来で幸せになる可能性はあるんじゃないか?優しい人たちに囲まれて、いわゆる「普通の人」として生きていける、かも、しれないじゃん。その可能性を放棄するのはどうなんだろう?
いやいやいやないないない。そんなのはゼロとはいえない、ってだけで数学ではあっさりゼロとみなされてしまうだろう。この可能性と今の苦痛なんて天秤にかけるまでもない。だいたい死にたい奴は死ぬべきだってさっき結論が出た。これが自然なんだ。負け犬は負け犬らしく死ぬべきなんだ。
けど
僕は別に生きたくないから死ぬんだろうか。
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