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「早良探訪記」稽古場潜入レポート③ バス、発車オーライ。

10月27日 晴れ
今回は「早良探訪記」のプレテストに参加。皆様より少し先に早良南のバスツアーを体験した。

演出の石田聖也からは、何を書いても良いと言われたが、これはぜひ詳細を知らないまま体験していただきたいと思ったので、ここには詳しく書かないことにする。

稽古を何回か見ていたので、早良南の名所を回るバスツアーの疑似体験くらいに思っていたが、いざ参加してみると、思いもよらないところまで連れていかれた。これは全く予想できなかった。

まさかこれほどまで胸をえぐられるとは。みんなに笑われるほど落涙してしまった。

何度もわすれようとした後悔の記憶、今ここにいる自分の心もと無さ、未来への漠然とした不安と期待、そんな感情が胸の中でひしめき合っていると、バスの車窓から、いつぞやの自分自身がとぼとぼと歩いているのが見える。

頑張って声をかければ聞こえそうなくらいの距離だった。

自分だけでなく、本番当日はこのバスに多くの人が乗り込み、様々な想いや記憶がすれ違いながらバスは進んでいくのだろう。

たしかに演出の石田聖也が全体をまとめたのだろうけど、この作品が彼の頭の中だけで立ち上げられたものでないことは、演者の言葉を聞けば明白である。他人が書いた言葉ではない、本人のみが語れる圧倒的な重さがあった。

この「早良探訪記」は、自分と他者、現代と未来の間にある「切なる願い」を可視化させる作品である。






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