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つぶやきソリュエイ(7月19日)「選択肢で用意する」

本日のつぶやき
ユーザ側に完成案を丸投げせずに、複数案の選択形式で提案しよう。

基幹システム業界では「御用聞き営業」という言葉があります。
ユーザ側にシステム化要件が発生するはるか前から足繫く客先に通い、「何か困ったことありませんか?(仕事ください)」を繰り返す営業方法です。ユーザが「困ったこと」があれば、ベンダーはユーザの言う通りにシステムを実装するという流れになります。これはこれで立派な営業活動の一つですが、ユーザ側に綿密なIT化計画の立案ができる人材と実行する仕組みがあることが前提であり、またそのことを十分に確認できるほどベンダーとユーザに信頼関係ができている場合に限ります。

ユーザにとって御用聞き営業は「我々の要求をちゃんと聞いてくれる(都合の)いいベンダー」ですが、本来ソリューションベンダーの役割は「ユーザ企業では知りえない課題解決方法を提案、実行する」ことであり、「同規模同業態の実例に基づいた現実的な提案をする」ことです。御用聞き営業でもアレンジ次第ではこのようなことは可能かもしれませんが、詳細要件や実装方法までユーザ側で突き詰めた後でそれを修正することはとても困難です。

この関係は何が問題か?この関係だとユーザが自ら考えた詳細要件や実装方法が本来のシステム導入や運用の方向性と間違っていてもベンダーはチェックができないことです。結果、少しずつ本来の目的とずれたシステムが積み上がり、数年後には相当な投資をしたにもかかわらず継続利用できないようなシステムになってしまいます。そうならないためにも
ユーザ(課題)⇒ベンダー(解決方法の提示)⇒ユーザ(検証)
という図式にして、ベンダーは本来の役目を果たしつつユーザのレビューを受けるというやり方が健全です。

提案にあたり、ベンダーはできれば複数案作りましょう。複数案の作り方は
①異なるアプローチ方法の提示
システムを変えるのか業務を変えるのか
②解決方法の期間
一回で導入するのか、優先度の高いものとそうでないものを分けるのか
③システムによる具体的解決方法の複数提示
課題に対する解決方法を複数案用意する
を組み合わせます。

なぜ複数案を選択方式にするのか?
一つは「やる」「やらない」の選択を考えさせにくくすることができるからです。もう一つは「最後はユーザが自分で決定した」という事実を作りたいからです。他者に押し付けられた案よりも自分で意思決定した案の方が責任感も増しますし積極的に参加してくれます。


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