英国のUCASについて調べてみた 〜デジタル化は利便性のみにあらず〜

こんにちは、なつきです。

突然ですが、皆さんは英国の大学受験のシステムはご存じでしょうか。
私は知りませんでした。なので調べてみました。

UCAS

イギリスの大学(一部の大学院)への出願手続きは、Universities and Colleges Admissions Service(UCAS) を通してオンラインで行います。出願後の流れはすべて、UCASウェブサイトから追跡できます。また、出願手続きは、出願者が自ら行うか、代理人(学校、カレッジ、大学、留学エージェント)を介して行います。


https://www.britishcouncil.jp/studyuk/options/higher-education/ucas-application
イギリス留学での​​UCAS出願のポイントと手順 ブリティッシュ・カウンシル

すごいですね。ハイテクですね。
デジタル化による受験生や大学側の利便性という点のみでなく、これによりUCASを通した出願者、合格者の統計を取ることができます。そしてUCASはそれを公開しています。

統計

以下のページは2022年時点のものですが、UCASを経由した出願者や合格者の人数を、条件付けをして調べることができます。過去の分も出来ます。すごい。
ページのツリー構造から、Undergraduate、大学入試についてのようです。(大学院ではない)

例えばですが、
Show me…:Subject Groupe HECoS HECoSによる分類
Number of accepted applicants:合格者数
にて、

  1. Provider(受験校):K60 King's College London, University of London

  2. Age Group(年齢):21-24

  3. Domicile(居住地、永住権のある国):international

  4. Gender(性別):male

  5. Main Scheme Application:Main Scheme Application(通常の出願)

という条件をかけ「CAH15 Social Sciences」の人数をみると、2020年、KCLには21~24歳の留学生は男性は10人合格したことが分かります。
画像下の表を見て頂ければわかりやすいです。

なお、一部の定義は以下のPDFに載っています。https://www.ucas.com/sites/default/files/definitions.pdf

CAHとはなんぞや??

CAHの話をする前に、英国の大学のコースにはUCAS CODEという番号が振られていることについてお話する必要があります。

UCAS CODE

例えばSOASのLLBとKCLのLaw LLBは共にM100です。

この番号の付け方から分かる通り、コースの内容によって割り振られています。
では、みんな大好きKCL War StudiesはというとL252です。

この番号、由来は何のか調べてみますとJACS (Joint Academic Coding System)によるもののようです。(現在Ver.3.0)


L252 War & peace studies The examination of the procedures and processes that contribute to war or peace.
(訳)
L252 戦争と平和研究 戦争や平和に貢献する手順とプロセスの調査。

HECoS

HECoS(The Higher Education Classification of Subjects )はJACSとは別の大学のコースの分類です。
JACSとHECoSは対比表のエクセル表があります。

https://www.stmarys.ac.uk/ctess/docs/qs-docs/jacs3-to-hecos-mapping.xlsx

JACSのL252はHECoSの100617であることが分かります。

さらにCAH

CAH(The Common Aggregation Hierarchy)、更にこちらもコース分類です。
いっぱいありますね。

このページのCAH Contentsにある「HECoS to CAH mapping CSV File」をダウンロードすると、HECoSのコードとCAHのコードの対比が出来ます。
HECoS 100617はCAHの15-3-1
つまり冒頭のCAH15にKCL War Studiesは含まれることは分かりました。

ちなみにCAH15に分類されるコースは79コース、CAH15-3-1に分類されるコースは20、更にこの20コースに分類される可能性があるKCLのコースは14コースくらいあるため、合格者のコース内訳までは分かりません。

見方を変えてみます

先ほどの条件を
Show me…:Subject Groupe HECoS HECoSによる分類
Number of accepted applicants:合格者数
にて、
Provider(受験校):K60 King's College London, University of London
Domicile(居住地、永住権のある国):international
と変えます。つまり「留学生の合格者数」です。
CAH15 Social Scienesの人数をみると、2019年からキリのいい数字が並びます。
これは留学生の定員だと思われます。2020年は660人ですね。

ではここで留学生の出願者数を見てみましょう。Number of accepted applicants:合格者数をNumber of main scheme applicantions:出願者数に変えます。結果、出願者数は5175人。合格者数660人に対し単純倍率で7.84倍です。中々の競争率ですね。

もちろんCAH15に含まれるコースごとに多少は差があるとは思いますが、だとしてもConditional Offerの条件に届かなかった出願者を合格にするより、クリアリング(2次募集のようなもの)で再募集するのではないかと思われます。その方が優秀な学生が集まる可能性が高いからです。

というわけで、更に条件を絞れたらもっと面白い傾向が見られたり、新たな発見があるかもしれません。

まとめ

UCAS、すごいですね。
最初にも書きましたが、デジタル化は利便性のみならず、統計に役立つということをまざまざと見せつけられました。
ひまそらあかね氏が公約に掲げた「デジタルクーポン」も実現すれば、膨大なデータが蓄積できるため、UCASのサイトのように効率よく検索できるツールの設計によっては、使い方は無限大だと思いますね。

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