【105話】【ネタバレ】俺だけレベルアップな件【翻訳】

影として蘇った美濃部を、皆一様に青ざめた顔で見る。
「まさか…水篠ハンターは死者たちの能力を利用できるのか?」
「旬くん、君は普通の召喚師ではなかったんだね」
旬が何かを言う前に、美濃部の影は向坂に歩み寄ってマジックアイテムの分厚い本を開いた

(美濃部が…向坂ハンターを?)
「生前にどんな性格の人だったのかよく分かりますね。何も指示してないのに向坂ハンターをヒールしてくれるなんて…」
白川が旬の肩に手をかけるが、旬は振り向くことなく続ける。
「暖かい人ですね」
影となった美濃部は、それでも柔らかく微笑みをたたえている。
「あれは今は…美濃部じゃない」
白川の振り絞るような声は、ひどく苦しそうだった。

「……そうです」

方に置かれた手を振り払うでもなく、短く答える旬。

呆気にとられた様子で影を見つめていたのはカメラマンのハンター。

(亡者を召喚獣に変えた?まったく、とんでもないもん見たな。だからカメラを切らせたのか、あんな力を対外的に公開するわけにはいかないからな)

冷静になった頭で、最上真が旬の能力について考える。

(戦いが激しくなれば激しくなるほど強くなる力とはね…能力としては恐ろし過ぎじゃないですかね?)

旬の肩に手を置いたまま、白川は言葉を選ぶようにゆっくりと話しかけた。

「あなたは今後多くの戦場で活躍するでしょう。その度に、確実に美濃部の能力は役立つでしょう…美濃部は…戦いが苦手な人間だったんです。

コイツを戦場に追いやるマネは…しないでほしいんです。」

「……」

白川が言い切るまで、旬は肩に掛けられた手を退かすようなマネはしなかった。

「2度目ですね」

払い除けるのではなく、ゆっくりと白川の手を退かしながら言った。

「白川ハンターに肩を掴まれるのは。ただし前回と違うのは、今度は命令ではなく心からのお願いということでしょうか」

レッドゲートの時に、白川を睨みあげていた目は、今は穏やかに細められている。

美濃部の影に近づく旬。

「俺も白川ハンターと同じ考えです」

労うように、生前よりいくらか大きくなった美濃部の肩を一つポンと叩く

「抽出解除」

美濃部と白川の視線が交わる。

少し変人で心が優しい友人の最後の瞬間を、寂しそうに、それでも笑顔で送る白川。

美濃部の影は穏やかに笑って消えていった。

「ありがとうございます」

まだ目を覚さない向坂ハンターと首のなくなった美濃部の遺体を抱いてハンターたちが外に出ると、洞窟の外はバケツをひっくり返したような雨だった。

「ハンターのみなさんが出てきます!」

軍用ヘリの搭乗員が叫ぶ。

「後を頼みます」

全員を乗せた後、旬が白川に言う。

「水篠ハンター?」

「まだやることが残ってますので」

視線を空へとやる2人。

「そうですね、まだ…完全に終わったわけじゃない」

その視線の先には滑空している無数のアリ魔獣。

「残党を片付けて道を開きましょう。カイセル」

「では後でまた」

カイセルに乗って一言だけ言うと、一瞬にして空へと舞い上がったカイセルがアリたちを切り裂く。

DNFの軍用艦では稔が膝を抱えていた。

「アイツは…アイツは化け物だった。お前らは見てなかったから分からないんだ。後藤さんが…後藤さんができなかったんだ!

勝てるわけない!レイドは失敗だ!あんな化け物を倒すことができるハンターは…」

「心配する必要はない。河南島レイドは終わりだ。その化け物も死んだ。」

「そ、そんなはずは!」

「確実だよ。先程日本の司令部から受け取った連絡だ。」

冷たく答えた杉本は、後藤との電話での会話を思い出していた。

『杉本氏、日本でも実力のあるハンターがいますね』

「ハハ、それでも後藤さんほどじゃないでしょう」

『まあ…それは定かではありません』

「そのハンターの名前は?」

(水篠旬)

「アリが散開します!」

「まだ残党が残ってるんだ!全員戦闘準備!」

艦隊は瞬く間に忙しくなった。

島の中は旬の独壇場になっていた。

(まだ孵化していないアリも経験値に含まれるんだな。運がいい)

「インベントリ。ここの整理も一回しなきゃな。えっと、これか…?」

ランダムに収納されている武器のうち、一本の大剣を呼び出す。

「完全に忘れてたよ」

適当に振り回してみると、あたり一面の地面を雷が叩いた。

その威力たるや

「わーぉ…倉庫に眠らせておくには勿体ないか?残りのアリはこれでまとめて片付けるか」

旬も満足そうである。

時差のある米国では、朝方の時間帯だが、デビッド・ブレナン、ハンター局局長の自宅では一本の映像が流れていた。

「どう思われますか?コミッショナー」

「映像を見てたらもう朝方の4時を軽く超えてたな。どう思うも何も、私が何を考えるか分かっているからこんな夜更けに家まで来たんじゃないのか?マイケルコーナー」

「数百を超える召喚獣を扱うハンター。異例能力者です。日本のように小さい国に置いておくには惜しい人材と考えます」

「同感だね。それに対して他に分かっていることは?」

「数ヶ月前に起こったハンター局爆破事件。別名"ジュンイチロー事件"。米国東部で発生したA級ゲートでA級ハンタージェームズが生け捕りにした、ダンジョンにいた人間なのかモンスターなのか分からないその男が、自分自身を日本のハンターだと主張しました。

その時収集した情報がまだ管理局に残っていました。調べてみるとシュン・ミズシノとは親子関係でした」

「他の国はシュン・ミズシノという名前すら知らない今、チャンスと言えなくもないが…今回はミスター右京の時とは違う。

日本は我が国の長年の同盟国だ。それなのに2人のS級ハンターを引き抜いてきたとあれば完全に敵に回すのと同義だ」

「それでも、それだけの価値がある人物だと思いませんか?」

「……できそうか?」

「やってみます」

遠い国で国と自分を天秤にかけられているとはつゆほども知らない旬は悪魔王ソードを暴力的なまでにふるい続けて敵を殲滅していた。

【レベルが上がりました!】

「これでレベル100まで達成したのか」

【名前:水篠旬 Lv.100】

ソードを収納して、死んでいるアリの王に近づく。

「ついに…こいつは特にジャジャ馬になりそうだ。」

「起きろ」

命令語を発した瞬間、周りが暗闇に包まれる。

「……!この闇はなんだ?何も感じられない。こいつに使った影抽出スキルのせいか?まさか…失敗したのか?」

「あ、戻ってきた」

【影の抽出に成功しました】

「失敗したかと思った」

ホッとした旬の目の前には、抽出されたアリの王が佇んでいた。

【?? Lv1 将軍クラス】


※相変わらず韓国語のみでの翻訳なので間違ってるとこもあるかもですが。

稔がなんて言ったのか全然翻訳できなかった…

美濃部さんやっぱり抽出解除したか…ライオ…虎さんとの視線のやりとりが泣けるな…

さて、最後の暗闇はこれまた伏線かな?

アリ編の戦闘はとりあえず一件落着ですね。作者さんたち大変だっただろうな…

ちなみに小説版でアリさんの名前確認してみたんですけど、可愛すぎかっ!

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