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トッカータと言えばフレスコバルディ😇

バロックの鍵盤音楽で誰を差し置いてもまず絶対に避けて通れないのがフレスコバルディ。
鍵盤音楽史における最も重要な作曲家のひとり。

若かりし頃のフレスコバルディさん


あまたある鍵盤音楽の中でも、特に彼のトッカータを弾かない選択肢はない。
トッカータは「(鍵盤に)触れる」という意味で、プレリュードと共通点を持つ自由で即興的な音楽。
様式的には自由な部分と厳格な部分が数小節おきに交互に出現するような作風であることが多い。
色々な音楽要素を並べた音のカタログ的な構成で、それぞれのセクションを明確に弾き分けるのが難しくもあり楽しくもある。

そのトッカータについて重要な資料のひとつに「トッカータ集第1巻」の「序文」がある。
この序文は全部で9項あり、それぞれがトッカータを弾く上でとても重要な手引となっている。
まずはこれを熟読し、取り組むトッカータの要所要所が序文のどこに当たるのかを分析するところから始める。

序文

フレスコバルディのトッカータでいちばん好きなのは第1巻の7番。
チェンバロ作品はどの曲も基本的に当時の楽譜をできるだけ使うようにしている。
最初は読むのに苦労するけど、慣れてくればさほど大変でもない。
何より、均等に割り振られた現代譜よりも音楽的な見晴らしがよいように感じる。
8分音符や16分音符が頻繁に出てくるのは、書き出された装飾と解釈できる。
もちろんこれ以外に演奏者が即興で装飾してもよい。

トッカータ第7番(トッカータ集第1巻)

運指はイタリア式、ディルータの運指法を参考にしている。
よい指が2と4で、それ以外は悪い指になる。
従って原則的に強拍には2か4を、弱拍にはそれ以外を使う。

運指

先程の序文について、一例を揚げておこう。

序文7項該当部分(33小節目)

この部分はトッカータ集第1巻の序文の7項が適応できる。

大岩みどり氏が日本オルガン研究会の「オルガン研究」に寄稿した資料からの抜粋。

Trovandosi alcun passo di crome e di semicrome insieme a tutte due le mani, portar si dee non troppo veloce; e quella che farà le semicrome dovrà farle alquanto puntare, cioè non la prima, ma la seconda sia punto; e così tutte l'una no e l'altra sì.

両手の一方が8分音符でもう一方が16分音符の部分は、速く弾きすぎないように。そして16分音符は、幾分、付点をつけて演奏してください。その付点は最初ではなく2番目につけます。つまり、一つおきに付点をつけることになります。

要するに、連続する16分音符の偶数番目をすべて付点気味に弾くことになる。
拍節的になることを防ぐ意図で不均等に弾くべきだと解釈できる。

そして、7項には書かれていないが、このような箇所では最初はゆっくり弾き始めてアッチェレランドする。

ちなみに、最初のFisから4つ目の音はFisではなくFになる。
この頃の楽譜では臨時記号は付けられたその音のみ有効で、その後のは無効になる。
現代の楽典とは異なる解釈が必要となる。

さて、この曲を練習していたのは今から7年ほど前。
その頃の練習動画(冒頭部分のみ)があったので貼っておこう。

とても恥ずかしい演奏だがこれしかないので仕方がない😇

先日、この曲を弾こうとしたのだが、7年も弾かないとまったく弾けないに等しいぐらいになってしまっていて絶望した。

今年の年末から来年末ぐらいまではイタリアものに戻ろうかと思案中😇
しかしスペインものも捨てがたい😇
や、フランスものだって素敵なわけで😇