脱。
脱げていた。その感覚。
記憶がすぽんと抜けている。
いつの間にか汗ばんで、ソファに寝ていた。
しゃかしゃかとイヤホンから音楽が漏れていた。私の好きな曲だ。
スマホを慌てて開くと、Discordのサーバーから抜けていた。
また迷惑をかけた、と思った。と同時に焦った。
現実逃避なんだろうか。
学校が恐ろしく嫌いだ。
本当に仲の良い人なんていない。自分の目的を考えたときに仲良くしたい人もいない。仲良く振る舞うのなんてもう疲れたんだ。
学校に行くくらいなら消えちゃいたいんだ。
僕にはオンガクをやるっていう夢があんだ。それを馬鹿にしてくるような、雰囲気に酔ってプライド持ってる学校が嫌いなんだ。
僕はこの現実から―ナニモデキナイ自分がヒテイされるそのゲンジツから―逃げたくて、またいなくなる瞬間があったのか。
どうすればいいんだ、なにもわからない、また、時間はすぎて、夕方を知らせるチャイムが鳴る。
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