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占星術を斬る

【西洋占星術】

流行りすぎて見てられないので
たまには辛口でいってみよう。

やっている人に悪意はないだろうから
特に個人を批判する必要はないのだが

事実は事実として伝えることは大切である。

私は普段なるべく穏やかにしているが
世間を見るとそろそろ辛口なことも言わないといつまでも気付かないと思い、建設的な動機で書く。

他にも辛口なことなど沢山ありすぎて、どれから手をつければ良いのかわからないほどだが、まずは占星術だ。

結論から言うと占星術は科学的ではない。

占星術に科学が追いついていないのではなく、科学の進歩によって占星術は衰退したのである。

王族や知識人達が捨てたおもちゃで
今は大衆が遊んでいるというのが現状である。

占星術が何故王族達に捨てられたかと言うと理由は下記のようなものである。

1.西洋占星術の大前提となっている宇宙論が地球中心説であり、これはすでに太陽中心説によって否定されている。
(A.D.1543年コペルニクス「天体の公転について」発表より)

2.太陽中心説により、太陽と月が7惑星から外れて、地球が惑星の一つに加わることとなり、7天体ではなく、6天体となったことで占星術は全面的な改定を余儀なくされることとなった。

3.天体望遠鏡の発達により、当初考えられていた宇宙モデルよりも遥かに宇宙が大きく惑星間距離も長いことが解明され、星辰の地上への影響が疑問視されるようになった。

4.アイザック・ニュートン(後1642-1727年)による、万有引力の法則の発見と天体力学の誕生により、太陽系の天体はすべて人体に重力を及ぼすが、その程度は太陽が圧倒的であり、太陽と月以外の惑星の影響はほとんど無視できるほど小さいものであることが判明した。

5.これらの科学的事実を覆す星辰の地上への影響は未だ解明されていない。

6.新惑星の発見(1781年 天王星、1846年 海王星、1930年 冥王星)により惑星の数が次々と変更され、占星術師達はその都度理論の変更を余儀なくされることとなった。

7.2006年に冥王星が惑星から準惑星に改まり、占星術師達はさらに修正が必要となった。

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占星術師達は科学の進歩に合わせるために忙しい。その間に知識人達は占星術を「科学から脱落した」と見做したわけである。

これにより17世紀の科学革命以降、明確にアストロノミー(天文学)とアストロロジー(占星術)という区別が付けられることとなったということが歴史的な事実なのだ。

何故、科学の進歩によって占星術が修正されるかというと、占星術の理論よりも科学的な証明の方が優位であって、科学的事実は哲学的反論を許さないためである。

さらに分かりやすい事実を言えば、占星術は以前バビロニアやギリシャやローマ帝国、さらには日本でも王族や貴族の内で非常に重宝されていた。

ローマ帝国では、初代皇帝アウグゥストゥス(在位前27-後14年)によって宮廷でも占星術が行われるようになり、後継者のティベリウス帝(在位後14-37年)は、宮廷占星術師を正式に抱えた最初の皇帝となった。

しかし今や国家の命運を決める情報は、技術の進歩によりコンピューターやAIに完全に成り代わっていて、先進国で側近に占星術師を置いている国家元首などいない。

知識人がいかに占星術を捨てたのかが簡単にわかるだろう。

本気で占星術をやっている人達もいるが
すでに科学から脱落したもので
金銭を取るのはいかがなものかと思う。

科学的ではないので、占星術師の直感や経験や能力などで補うしかないのだが、たとえ無料であってもそれが人の人生に影響を与えるのだからその責任は重い。

反コロの人達の中で占星術をやっている人が多く見受けられるが、科学的根拠のない新型コロナ対策に反対するのであれば、科学から脱落した占星術は何故否定しないのか?

もしも仮に科学的な客観的事実を否定するのであれば、新型コロナ対策への一切の反対も出来なくなるはずだ。ここに矛盾がある。

王族達に捨てられた「哀れな学問」を歴史上に復興させてきたのは、ルネサンスにおいても近現代においても、いつだってメディチ家や国際金融資本などの銀行家であるのだが、占星術師達はこのことに一切触れない。

知らないといった方が妥当であろうか。

全体主義に反対しながら、占星術をやることに根本的な矛盾を感じない人があまりにも多い。

現代の西洋占星術ブームは、神智学協会によって復興したものであるが、知識人が捨てたものをもう一度手に取って、大衆を滅ぼすために彼らがばら撒いていることに全く気づいていない。

何事も裏の目的を知らずして、良さそうなものに飛びつくと知らない間に彼らに精神を支配される。

実際、占星術というのは科学的でないばかりか、霊的に非常に大きな問題を秘めている。

占星術の大前提となる大宇宙小宇宙照応(マクロコスモス・ミクロコスモス)というものが、実のところヘルメス主義・錬金術・西洋魔術、そして各種秘密結社の根幹教義であるが、これが霊的に何なのか知った上で占星術をやっているのだろうか?

神智学協会のアラン・レオ(後1860-1917)は、太陽神崇拝を占星術に取り入れて復興させたが、占星術と太陽神はいつだって密接な関係性を持ってきた。

歴史上、古来より太陽神を拝んできたのは誰だか知った上で、占星術をやっているのだろうか?

ほとんどの人はそんなことは知らず、それが霊的に何であるか、その影響がいかに自分と周囲の人々の魂を汚染するのかを知らない。

知っているのは支配者達だ。彼らは賢い。
賢いが残忍だ。知った上で徹底的に大衆に広めるのだから。

占星術をやっている、または人に勧めている人は、その歴史を徹底的に調べた方がよい。

ハッキリと言っておくが、やがてその責任を自らの魂が負うこととなる。決して負いきれないほどの責任を。

本当に人のためになることは、星を頼りに生きることではない。人も星もすべてをお造りになった神を頼りに生きることだ。

偶像を拝んではならない。

虚しい道から、いのちの道へ立ち返る者達がこの日本でも益々起こされることを祈る。

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《主要参考資料》
・占星術の起源 矢島文夫 著,筑摩書房, 2000.8
・西洋占星術の歴史 S.J.Tester 著, 山本啓二 訳,恒星社厚生閣, 1997.2
・天文学と印刷 : 新たな世界像を求めて 凸版印刷印刷博物館, 2018.10
・西洋占星術史 : 科学と魔術のあいだ 中山茂 著,講談社, 2019.9
・占星術 : その科学史上の位置 中山茂 著,紀伊国屋書店, 1979.7
・占星術の文化誌 鏡リュウジ 著. 原書房, 2017.3
・ニューエイジの歴史と現在 : 地上の楽園を求めて レイチェル・ストーム 著, 高橋巌, 小 杉英了 訳. 角川書店, 1993.11
・ニューエイジについてのキリスト教的考察 教皇庁文化評議会, 教皇庁諸宗教対話評議会 著, カトリック中央協議会司教協議会秘書室研究企画 訳,カトリック中央協議会, 2007.4
・神秘主義への扉 : 現代オカルティズムはどこから来たか ピーター・ワシントン 著, 白 幡節子, 門田俊夫 訳,中央公論新社, 1999.10
・現代オカルトの根源 : 霊性進化論の光と闇 大田俊寛 著,筑摩書房, 2013.7
・国立科学博物館HP
・バラ十字会資料館

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