【競馬予想Vol.19】第55回小倉大賞典

小倉は全10場の中で最も南に位置し、夏と冬に開催が分かれているので芝が生育し易い。匍匐茎の密度が多いエクイターフの使用率が高いのも小倉の特徴で、開催末期になって芝が剥げてもクッション性が保たれるので速い時計が維持される。見た目より走り易いので、基本に前で立ち回った馬が優勢。

第1回開催から数えて10日間使った芝の状態を見てみよう。

画像1

3コーナー。冬季は野芝にイタリアンライグラスのオーバーシード。開催末期になると見せかけの芝が剥げてくる。

画像2

4コーナー。内側の芝は剥がれているが、匍匐茎はしっかり残っている。エクイターフは丈夫で長持ち。

画像3

正面直線。内側はオーバーシードの緑が失われているだけで見た目ほど悪くはないが、土曜のレースでは内は概ね避けられていた。
【出所】JRA「小倉競馬場馬場状態(2021年2月20日)」

芝1,800Mのトラックバイアスはどうなっているか確認してみる。

20210220小倉6R

前日の6R未勝利(芝1,800M)は4コーナーで外を回して先頭集団に取り付いたアリーヴォ(黄)が快勝。ただ2着は内から小気味良く差してきたスズカトップバゴ(青)が入った。

20210214小倉12R

2月14日12R大宰府特別(4歳以上2勝クラス・牝馬/芝1,800M)は内を空けて直線に向いたイズジョーノキセキ(黄)とエヴァーガーデン(緑)にレッドルーヴル(青)が外から差し迫る展開。1,000M通過62秒4の緩い流れで、前にいないと話にならなかった。

20210214小倉5R

2月14日5R未勝利(芝1,800M)は内前で粘る10番人気カフジヴィオレッタ(緑)をモンテディオ(黄)が馬場の3分どころを通って差し切った。アレレブルー(青)の勢いから察するに、外差しするにも前から5馬身ぐらいのところにいないと厳しい。

20210213小倉10R

2月13日10R唐津特別(4歳以上1勝クラス/芝1,800M)はシンガリ人気アルマフォルト(緑)が大逃げに出て見せ場たっぷりの3着。勝ったのは4コーナーで外を回して突き抜けたワールドスケール(黄)、2着には馬場の内側を通って追い上げたウインアステロイド(青)が入った。

20210220小倉11R

違う距離のレースも確認。前日の11R皿倉山特別(4歳以上2勝クラス/芝2,600M)は内を大きく開けての攻防で外前の3頭がワンツースリーフィニッシュ。内通しは割り引き、後方外回しはノーチャンス。

トーラスジェミニの逃げが想定されるが、テンの速さならディアンドルが上。しかし大外枠。トーラスジェミニがハナに立った後ディアンドルが追い抜くという展開を想定。1,000M通過は58秒5ぐらい。前傾ラップでバテない脚を持ち、4コーナーで外前が取れそうな馬に狙いを定めたい。

◎ヴァンケドミンゴは福島で前傾ラップのレースを数多くこなしてきている。中山金杯はテン3F37秒0-上がり3F35秒0という後傾ラップの上がり勝負、しかも得意の捲りスタイルを崩して先行して凡退。今回は距離短縮でペースアップ、4コーナーで外前を取れるように捲ってくれば勝ち負け。

○フェアリーポルカは牝馬同士でもこの距離の前傾ラップの重賞を2つ勝っている。ターコイズSはテン3F34秒5-上がり3F36秒3の前傾ラップで中団外差しの3着。栗東坂路での最終追いでラスト2ハロンを共に11秒台で揃えたのも好感。ただ4コーナーで外前を取れるか微妙なので割り引く。

▲カデナは小倉で2戦2連対だが、いずれも前後半フラットな流れ。それでもスローだと脚を余すので、ペースアップのほうがむしろ助かる。昨年は道中後方の内で待機し、直線に向いてから外に持ち出して突っ込んできた。昨年と同じ臨戦過程で狙いが立つ。

△テリトーリアルもヴァンケドミンゴと同様、中山金杯で速い上がりに対応できず凡退したクチ。中日新聞杯もテン3F36秒4-上がり3F34秒4の上がり勝負でキレ負け。昨年のこのレースはテンと上がりがフラットな流れで6着。ペースアップの持久力勝負ならもっと着順を上げてくるはず。

△バイオスパークは福島記念でヴァンケドミンゴとテリトーリアルを下しているが、内を綺麗に立ち回ってのもので、今回求められる立ち回りからすると微妙。ただ前傾ラップの差し決着だった函館記念で先行して3着に喰い込んでおり、ペースアップはプラスに働きそう。

△ボッケリーニの取捨が悩ましい。中日新聞杯は緩い流れを内から伸びたが、今回はハイペース想定で自身は外枠。正直切りでもいいぐらいだが、初勝利が今回と同じコースで前傾ラップだったことから、地の利で来れるかもしれない。外前も取ろうと思えば取りに行ける状況。

アールスターはハイペースで前が壊滅した小倉記念で内を掬って勝利。但し夏の小倉は野芝のみの軽い馬場、冬の小倉は洋芝とのオーバーシードで同等には扱えない。中山金杯(5着)も外に出さず内差しに拘っていた。今回は内も伸びないわけではないが、小倉記念のようなイメージだと危ない。

◎ヴァンケドミンゴ
○フェアリーポルカ
▲カデナ
△テリトーリアル、バイオスパーク、ボッケリーニ
馬複◎or○流し(9点)、3連複◎or○1頭軸流し(16点)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?