夜行バスで横浜から仙台へ
歳はゆうに40を越え、四捨五入すれば50だ。
今までなら夜中に妻と子の寝息を聞きながら家を出て遠方への出張をこなしたものだった。
年間60,000キロの走行を半ば自虐的かつ自慢げに話していた時期もあった。
でも、ある時ふとこんなことをあとどれくらい続けられるのか不安になり、それと共に自らの健康に対する不安が襲ってきた。
今の自分は自分一人の身ではない、家族や仕事の仲間、もちろん妻子のためにも、そしてお客様のためにも早く、効率的に、そして身体的に楽に動かなければならない。
そう考えていた時、ふと夜行という言葉が頭に浮かんだ。
以前、青森から東京の便を使ったら風邪をもらってその日から数日動けなくなり、しこたま叱られた。
ブラックといえばブラックだが、仕事のやりがいはある。責任と同じくらいに。
だから時に仕事にのめり込み気がつくと家族へのフォローがおろそかになったりした。
ネットの噂を聞くと最近は東北へ行くバスも、三列でWi-Fiや電源が用意された車両もあるようだ。これならば手が寂しくなることもない。
指定されたチケットを買って、バス停に向かったが、横浜駅のバス停の場所がピンと来なくて焦ったがブログを当たってみるとわかりやすい案内のブログを見つけることができた。
横浜そごうの右側の階段を上り、3つの出口のうちのCというところを出るとすぐのようだ。
時間はギリギリだったので、荷物を下の荷室に入れると席に着いた。
設備の説明など読んでWi-Fiを設定して、毛布を用意し、ドリンクホルダーの位置を確認するともう出発の時間になった。
背中に振動が伝わってくる。高速道路の路面の継ぎ目が線路を走る鉄道の揺れのようなリズムを刻んでいる。
前の席は若い女性が2人何やら話しながらセッティングをしている。
僕も含め多くの人がスマホを持ち弄っている。横浜を出て始めの停留所、品川で何人かが乗ってきた。バスが動き出して以来放送が流れ消灯の案内が終わるや否や車内は光を失い振動とGの織りなす空間になった。
あぁ、日付が変わった。
夜明けまで僕は身を休めることができるだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?