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サヨナラを認めたくない

会計事務所に転職をして、今日でまる二ヶ月となりました。

仕事には少しずつ慣れ、でもまだまだわからないことばかり。
なるべく誰かに聞く前に、自分で考えたり、ネットで調べたり。そのせいでしょうか。近頃また、職場のことや、書類、解決できない帳票などが夢に出てきて、それは疲れる目覚めとなっています。

人々の会話が理解できない。はて、そんな難しい話が、私にもいつかわかるのだろうかという不安。

みなさん親切で明るい方ばかり、環境もこのうえなく良いのですが、色々と問題もありまして、少し精神的に疲れが出てきています。

そんな中、私の斜め前の席の方が、昨日付で退職されました。
私を含め、従業員はみな契約社員なのですが、彼女は「次の更新はない」と所長に宣告されたのだそう。
新たな職を探すにあたり、まずは職業訓練に行くことが決まっており、契約満期を待たずに退職となりました。

大変に明るく愉快な方で、地方訛りにも愛嬌がある。チャーミングで、職場のムードメーカーでした。

たくさんの人の中に入ると、今でもなかなか声を出せない私ですが、楽しい会話の最中に私に話を振ってくれる。話したことに、遠慮なく突っ込んだりしてくれる。

仕事も一生懸命…ではあるのですが。所長としては、なにか、違ったようで。
私が入社する以前は、彼女に対してなかなかにひどい対応をしていたとか。

💧💧💧

15:30、16:00、先に帰ってゆく仲間たちとお別れの挨拶をしているのを目にしつつ、彼女の退社時間が迫ってくるのをジワジワと感じました。

16:30が迫り、所長から「もう仕事はそこまででいいから、片付けて」と声をかけられ。しばらくそのやりとりに耳を傾けていました。

ありがとうの気持ちがいっぱいで、帰り際にはハグのひとつでもやっちゃうんじゃないだろうかと思っていたのですが。

いざ、その時を迎えると、私は毎日の退社時間と同じように、
「お疲れ様でした」と声をかけ、頭をさげるだけでした。

その後1時間、いつもどおりに仕事をこなし、帰り道。とある音声配信アプリを聴きながら運転していて、急にじわっと気持ちが溢れてきました。

✨ ✨ ✨

今日で最後。

もう会えない。


それをやっと認めたんだなと感じました。


リアクションとして、感情を出せない性分ではあるのですが、それ以前に、
「また会える気がするし」
「これきりとは限らないから」
という感覚が全面的に出ていて、寂しさを感じさせなくしている。

麻痺させ、防御している。

その蓋がゆるんではじめて、
「もう会えないんだよ」
「ずっといて欲しかったんだ」
という、本当の思いが溢れてきたんだなと思います。


今日から、職場はこれまでより少し静かになります。

寂しい朝。



夜中に降り続いていた雨がやんで、ぼんやりと明るくなった空には、スラリとした月が輝いていました。

思わず外に出ると、冬の澄んだ空気と、雨上がりの柔らかい匂い。

「こんなにも世界は美しいよ!
なにをそんなに悲しんでるの?」

新しい一日、

では、行ってきます!

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