すき

人を好きになること
それはとても素敵なこと

高校の頃のクラスメイトにIくんがいた
私はIくんのことが好きだった
休み時間も、放課後も、いつも彼に話しかけた
なぜなら彼のことが好きだったから
事あるごとに話しかけて、用もないのに話しかけて
淫夢やクッキー☆の話で盛り上がった

ある日、Iくんは言ったね
「最近のクッキー☆は面白くない」って
「そうかな、そんなことないんじゃない?」って僕は返した
クラス替えがあって、別のクラスになっても、しばらくは淫夢やクッキー☆の話で盛り上がった
でも、いつの日か交流は減った
なんとなくだけど、Iくんが僕を避けていたのは気づいてた
それでも僕はIくんのことが好きだったよ
僕がMAD投稿者だったことは、結局伝えられなかったね
これが私の初めての失恋だった

専門学校時代、Kさんと出会った
Kさんは私の2歳年上だったが、先輩後輩という概念が嫌いだった私は、平然とタメ口で話していた
Kさんが私と同じアパートに住んでいたことが判明し、頻繁にお互いの部屋に行き来するようになった
当時の私は、仲良くなりたい人に対して軽めの語録を使い、相手の反応を見てから例のアレ話をするかどうかを決めるという、なかなかに慎重な手段を取っていた
やりますねぇ、あ〜いいっすねぇ、といったメジャーどころかつ自然な語録使いをしていた
そんなことをしていたところ、Kさんから「お前淫夢とか知ってんの?」と聞かれた
「んまあそう…よくわかんないです」と答えたらKさんは得意の引き笑いをしていた
それ以来淫夢やクッキー☆の話題で盛り上がった
私はKさんのことが好きだった

私とKさんには決定的な違いがあった
私は一旦集中型のオタク、Kさんは広く浅く型のオタクだった
私がクッキー☆に人生を捧げようかとしていたところ、Kさんは音ゲーやクッキー☆以外の声優にも興味を示していた
私が淫夢やクッキー☆の話題を振ると、Kさんはすぐに語録で返してくれていた
休み時間も、学校が終わっても、私はKさんの近くにいようとした
でもいつしか、Kさんは例のアレから離れ、声優の写真集を収集するようになってしまった
私が「声優ってのは声で勝負するものだろう」と言うと
Kさんは「かわいければいいんだよ」といつもの引き笑いをしながら答えた
Kさんは例のアレから足を洗ってしまった
一緒に「ないです」で笑い合った日々はもう戻らない
これが私の二度目の失恋だった

この二度にわたる失恋経験から、私は二つのことを学んだ
「距離感」と「出会いがあれば別れがある」ということ
適切な距離感を保つことの大切さ、それでも最後には別れが来ること
どんな人でもそう
いつかは別れるときが来るし、距離感を間違えればその日は早くなる

人との別れ
やすしきよしの漫才でもあったが、別れというものは辛く悲しい
様々な別れの経験をしたが、どれもこれも辛かったり悲しかったりした
中には「別れられてラッキー♪」と思ったものもあった
時には「まあしょうがないか」と思ったものもあった

じゃあいいじゃねえか

私が「もっと一緒にいたい」と思っているのに離れられてしまうことほど悲しいものはない
あの声優も、あの投稿者も、もっと推していたい、追いかけていたいと思っていたのに引退してしまった
リプライを送るのもDMを送るのも何か違うような気がして、それこそ距離感を測り間違えているような気がして、一歩踏み出すことができなかった
嫌われるくらいなら認識されないほうが幸せだと思ってる

夜が更けてくると、ついポエムを書きたくなってしまう
もっと私の内面について書きたいところだが、この辺りで筆を置くことにしたい

書き損じのラブレターを本命相手に読まれることほど恥ずかしいことはないのだから

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