呪いのアイテム

いきなり意味不明なタイトルですみませんというところなのですが、僕は呪いのアイテムを持っています。ただそれは、オカルトの要素が強い持っていると何かが起きるだの縁起の悪い場所にあった何かというものではなくて、僕が嫌いな人間からもらった贈り物を勝手にそう呼んでいるという、クソみたいなものです。
今回は、その呪いのアイテムとそれの思い出話でもしようかなと思います。心霊体験のような話を期待されていた方は、そんな要素は一切ないので、申し訳ないですが他を当たってやってください。
後、これは不幸自慢みたいな話です。指差して笑ってられる人でなければ、読まない方がいいかもしれません。



僕の両親は、僕が小さい頃に離婚をしている。離婚の後は母に連れられて家を出て暮らすようになり、それからは父とは会っていない。離婚の原因は父にあったし、母のことを考えると僕はそれが良いと思っている。
ただ、父方の祖父母とは何度か会った。呪いのアイテムが来たのはその時の話だ。

その話をする前に何故呪いのアイテムになるかの僕の感情的なところを話そうかと思う。

祖父母に対しては、今は嫌いだと断言できる。
ただ、離婚して家を出る前は僕はおじいちゃんっ子だった。祖父にはよく遊んでもらっていたし、孫として可愛がってもらっていたと思う。皮肉でもなくて、良い人だったのだろうと思う。祖母は小言がうるさいなってのと、父親びいきがすごく目についてたのでそんなに好きではなかった。血が薄まると優しさが薄まってた。25%でも足りないらしい。

そう思ってたのが嫌いに振れたのは、離婚騒動の時に父が悪いのに父を庇ったというのと、家を出てからしばらく会ってない中、急に高校の体育祭を隠れて見に来たということがあったからだ。今思い出しても気分が悪くなる。
そんな、ただでさえマイナス補正がかかっている中、その後二度も会うことになった。
二度目にあった時が、僕と兄弟姉妹の合わせてn人が、祖父母がお金をくれるということで会いに行き、呪いのアイテムまでもらうことになった。

その時、僕が就職が決まっていたタイミングだった。こっちはもらうもんもらった後だったので一刻も早く帰りたかったが、今後二度と会わないという実績づくりの打算のために小一時間耐えることにした。
耐えると言っても、相手の話を黙って聞き、聞かれたことにも言いたくないことははぐらかし、自分でも最低の対応だったとしか言いようがなかった。でも、あの時の自分はそれを是とした。僕の人生の一片をこれっぽっちもくれてやる気がなかったから。

そんな地獄の時間を過ごした後、ついに帰る時が来た。席を立とうとすると、就職祝いだと言って小包の入った紙袋を渡された。僕は要らなかったので置いて帰ろうとしたが、持つように押しつけられた。捨てたくて捨てたくて仕方がなかったが、どうしようもなく、最後目の前で車の窓から捨ててやるか迷ったができなかった。贈り物だという事実が頭から離れなくて家まで持って帰ってしまった。僕は優しいんだ。

家に持って帰ってから、即座に売ってしまおうと思った。物に罪はないし、誰かの役に立てば僕の罪悪感は薄れる。

ただ、売るなら中身を知ることになる。それに気付いた時、恐ろしい要素に気付いた。
それは、中身を知った時、僕は今後の人生で何かあってその中身に類するものを認識する度にこの日を思い出すことになると。名刺入れならば名刺交換する度に、定期入れなら電車やバスに乗る度に思い出すことになると。
それは耐え難い苦痛だと思ってしまった。かと言って、人に頼むのも嫌だった。売った人は何かを知ることになる。それで不意に口を滑らされて耳に入ったら意味がないし、贈り相手の心情と僕が結び付けられることも嫌だった。
そんなイヤイヤ期に挟まれたことで、贈り物は呪いのアイテムと化してしまった。どう扱ったとしても僕にダメージが入るようになった。

その解決策として、僕は呪いのアイテムを開封せずに持ち続けることにした。相手の心情を知ることもなく押し込め続け、その日の自分の酷い行いの罪悪感から逃れるには、呪いのアイテムにしてしまうのが都合が良いと思った。無視が一番精神衛生上良かった。

かくして、実家の片隅にはいまだにこの呪いのアイテムが置いてある。中身は知らないし知りたくもない。この前帰った時にも同じ場所にあった。今日吐き出した拗らせた感情と同じように残っていた。どうか自分が死ぬまでそのままであってくれますようにと思いながら、思い出話はこんなところにしようかなと思う。

こうやって言葉にしてみると、自分の感情の振れ幅も人間らしくって面白いなと改めて思いました。人間やってるな。
こんな不幸自慢を最後まで読んでいただいてありがとうございました。スカッとする要素は傍目から見てるとないに等しいかと思いますが、僕はこの状態に満足しています。
もし読んでくれた方が呪いのアイテムと出くわすことがあったのなら、こんな無視だって正解の一つだと言い張るので、一つの励みにしてもらえると幸いです。
それではまたお会いしましょう。

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