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バーガーショップ

詩 音蔵そうこ

ひとりで入ったバーガーショップ
へたれた椅子に深く腰掛けて
ペーパーカップのホット珈琲にミルク入れる
斜め向かいの女の人はメールを見ながらうつむいている
顔ははっきり見えないけれど悲しそうだな

店に入ってきた男の人はメニューを見上げながらレジへ向かい
左ポケットから手を出して小銭数える
新聞を読んでる初老の紳士
顔を上げた時ふと目が合ったから
私は慌てて窓の外を見てる振りをする

ああ、今日の珈琲は入れたてだから
いつもより美味しいな

窓の外から誰かが笑う
私も思わず笑い返したけど
髪を整え服を直すとまた歩き出した
読みかけの本でも読みましょうかと
鞄の奥から取り出したんだけど
やっぱり今日はこのまま景色を眺めていよう

ああ、半年前は毎日のように
あなたと来ていたね

いつの間にか店は満席で
トレーを持って席を探す人に
こちらへどうぞと伝わるように鞄を膝に置く
すみません、と首をちょっとかしげて
隣に座った美しい人は
「今着いたよ」って知らせかな、短いメールを送る

ああ、珈琲も残り少ないから
そろそろ出ようかな

最後の一口を飲み終えると出したままの本を鞄に仕舞い
テーブルの汚れをサッと拭いてトレー持ち席を立つ
待ち合わせの人がちょうど来たみたい
美しい人は手招きをする
「ここ、空いたよ、隣においでよ」
と手招きをする

ああ、ちょうど良かったねタイミングいいね
私いいことしたみたい

「待たせたね」って聞いたことある声
その匂い、そのネクタイ、その歩き方


私に・・・?

気づかずすれ違う半年振りに

https://www.youtube.com/watch?v=IFtQG348AzA

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