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いとおしさ

【呼吸の観察】

吸っているとき
少し遅れて
吸っている身体が
ついてくる

吐いているとき
少し遅れて
吐いている身体が
ついてくる

呼吸にトコトコと
ついてくる身体が
まるで幼子のようで
いとおしい

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呼吸の観察をしたことはありますか?

観察を始めると途端に不自然な呼吸になってしまうことが良くあります。意識して歩くと変な歩き方になってしまうように。そんなときはのんびりと構えて時間をかけてじっくり観察してみてください。

自分自身に自動的に起きている呼吸を観察することは、観察している自分と呼吸している身体のふたつを意識している状態です。

しばらく静かにしていると、呼吸している身体とそれを観察している自分、そのどちらもかわいいな~と感じてくるときがあります。すると自然とそこには感謝の気持ちも同時に湧き上がってきます。ありとあらゆる関係の中で今、呼吸している身体とそれを観察している自分を意識できていること。その全体をひとつの風景として体験するとき、そこに「いとおしさ」も湧き上がってきます。

この「いとおしさ」の中には自分に対しての「労り」や「懐かしさ」も含まれているようです。空気を吸ったり、吐いたりすることをまだ「呼吸」と呼ぶことさえ知らないときの記憶でしょうか?

今、心配事にはキリがありません。いきなり、学校も仕事もない時間が1ヶ月も与えられてビックリしているひとはたくさんいるかと思います。その時間を心配事に費やしても、心配事はさらに大きくなってしまいます。

これまで、自分の外のこと、髪型や服装、持っている物、身につけている物、乗っている車、就いている仕事、住んでいる家や場所、そんなことに忙しくしていたことを懐かしく思うような大きな時代の移り変わりをわたしたちは今、体験しています。半ば強制的にせかされるように体験させられていると言ってもいいかもしれません。

自分の中のこと、自分自身の内側にある広い世界のことをわたしたちはまだ、ぜんぜんよく知りません。

でも、ここへきて、そこに踏み込むための条件は揃いつつあります。世界中の人々が活動を止め、空気がきれいになって、遠くの山々がよく見えます。夜空の星々が輝いています。夜の町が静かになって遠くの音がよく聞こえます。ひとと会うことを避け、一人でいる時間が増えました。ひとりでいてもひとりではないと感じます。私たちの感覚も今まで以上に注意深く敏感になってきています。

強い雨音の中でもメッセージを拾うことができます。
静寂の深さがなぜか勇気を与えてくれます。

つかめないもの、「感謝」「思いやり」「いとおしさ」「不安」「恐れ」「怒り」「妬み」等々、つかめないものを扱うことは容易ではありません。

でも、この「つかめないもの」を上手く扱うことで、私たちは安全な場所を手にいれることができます。これから休みなく次々と体験するだろう自然災害や今回のようなパンデミック、それらから避難するための安全で安心な場所が地球の外ではなく、自分自身の内側にあるということです!でも、そこに入っていくためにはこの「つかめないもの」の扱いに慣れておく必要があります。

わたしたちはのんびりし過ぎていたのでしょうか?
「つかめるもの」の扱いに夢中になりすぎていたのかもしれません。

初めて海から陸に上がった生き物のように。
初めて大地から離れ、空を得た鳥たちのように。

静寂の夜、キラキラと輝く星々の下で、呼吸の観察がその入り口のひとつとなります。小学校の理科の実験のように興味深く、小さな変化も見落とすことなく、よく観察してみてください。なんにも知らない生まれて初めて呼吸したつもりで空気を吸ってみてください。どんな感じがしますか?
のんびりと真剣に、ゆったりした気持ちと決意を同時に持って、その祝福のファーストステップをひとりひとりの内側から踏み出しましょう!

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