【ランチタイムは説教タイム】-1
サラリーマン時代、現場監督としてある建設会社に所属していた。
親会社は製鉄会社。
ある工場を閉鎖し、住宅地へ産まれ替える計画があった。
広大な敷地を数期に分けて分譲を開始。
スーパーゼネコンがジョイントベンチャーを組んで工事を行っていた。
その中の一つはS建設とわが社のJV。
製鉄会社の子会社だからということもあったと思う。
S建設の現場所長は、京大出身でとても頭の切れる30代。
将来を嘱望されてた人物(だったと思う)。
分譲マンションの経験がなかった私。
I所長には、頼りなく見えたと思う。
毎日のランチタイムが指導時間となった。
テーブルに座る位置は、I所長の前。
「川原田さん、あれ、どうなってるの?」
と質問から始まり、
「それはあかんやん。なんでそうしてるん?」
「これはこうすべき。ちゃんと指示しなきゃ。」
現場事務所で取ってもらう給食の味が分からない。
(あとで『こんなに美味しかったんだ』と分かりました)
食事を終えるとすぐ、車中でお弁当を食べてる職長の元へ。
(規模の大きな工事となると、監督の担当分野が分かれるのです)
「●●さん、所長が■■って話してるんやけど、今から段取り変えれん?」
「えぇー!それは無理やで。もう昼やろ。これから変更と言われても・・」
板挟みの毎日。
ランチタイムになると針のむしろに座ってる感覚だった。
工期終盤になると、同じ現場で働くS建設の人達とも仲が良くなってた。
「もうすぐお別れやね。」
お世話になって数か月後、その工事は竣工。
『よくぞ耐えた!』
懐かしい思い出とともに、次の現場が決まるまで、自社勤務へ戻りました。
数ヶ月後、上司から呼ばれました。
「川原田君、またあそこに行ってもらうわ。」
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