パストリーゼ発送顛末記 前編

パストリーゼ送ってもらえませんか?

それは、一通のダイレクトメールから始まった。
8月2日。
リカーボーイで一斗缶を発見し、ツィッター でリリースしたあとのことだ。

「パストリーゼ、購入して送ってもらえませんか? もちろん、交通費などはお支払いします。」

カナダからアウトドアグッズの代行輸入をしたこともあるので抵抗はなかった。パストリーゼの互助会もありだよなあ。好奇心が湧いた。返信した。

「はじめまして一斗缶の購入を代行するということでしょうか?
それとも、スプレータイプや携帯スプレー空容器をご所望ですか?
もう少し具体的にご希望をおっしゃっていただけると助かります。」

一斗缶です

さっそく返信が来た。一斗缶がほしいとのこと。少し驚いたが、リカーボーイ さんに在庫があったことを思い出し、このミッションへのトライを決めた。

翌日、一斗缶購入。
9288円。

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リカーボーイさんはネットで、ぼくのアカウントを発見したようだ。いきなり、名前で呼ばれた(笑) 。かなり問い合わせがあったそうだ。掲載許可をもらっておいて良かった。「宣伝してもらったから」と最後の1缶を特別に分けて頂けた。

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問題は送料だ。
あんまり高かったら公式で買ったほうが良い。なにしろ、公式サイトなら送料込みで9288円だから。送料いくらだろう? さっそく、一斗缶をクロネコヤマトに持ち込んだ。

http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/

荷受けNGの嵐 クロネコヤマトさん

クロネコヤマトさんでは引き受けNGと言われてしまった。なにも言わずに梱包して持ち込んだらOKだったと思う。しかし、ぼくはこう確かめた。

「アルコール濃度77パーセントあります。大丈夫ですか?」

雲行きが一気に怪しくなり、スタッフの方がバタバタしはじめた。こう言われた。

「当社ではアルコール濃度60パーセント以上のものはお引き受けできません」

粘った。

「でも、ドーバー酒造さんの公式ページは発送はヤマトか佐川となっていますよ」

相手は一瞬ひるんだ。しかし、答えは変わらなかった。

「うちではアルコール濃度60パーセント以上のものは荷受けできません」

佐川急便さんもNG

一斗缶を抱えてすごすごとヤマトを出る。しかし、こういうのは嫌いではない。かえってファイトがわく。

(じゃあ、佐川さんに頼もう)
(宅配便はダメでも通常便なら大丈夫だろう)

佐川さんに電話。しかし、こちらも断られてしまった。理由は同じ。

「アルコール濃度60パーセント以上のものは引き受けられません」

さすがに困った。同時に納得がいかない。

(なんでドーバー酒造さん、サイト、メルカリはOKで、僕はダメなの?)

Google先生に聞いた。しかし、どうもよくわからない。「食品としてなら送れる。」「陸送なら大丈夫」「消防法に違反するから送れない」と話が錯綜している。謎は深まるばかりだ。

西濃運輸さん カンガルー宅配便は?

西濃運輸に向かった。でかい荷物を受け取ったり、テレマークスキーを送ったことがあったからだ。

窓口でスタッフ(男性)に一斗缶を見せて相談する。返事はこうだった。

「宅配便でも大丈夫じゃないですかねえ、調べておきますけど」
「東京だといくらですか?」
「1250円です」

いい感じだ。念のため一般便の送料も聞く。たいへんだ!!!!
さっそくメールを送った。

「クロネコヤマトさんと佐川さんには、アルコール濃度が77%を理由に断られました。西濃運輸は荷受けOKでしたが、もし一般便だと料金がめちゃくちゃ高い感覚です。仮に東京都だといくらですか?と尋ねたら、4600円と言われてしまいました、涙。これなら、毎週土曜日にドーバーの公式サイトで購入された方が良いと思います。送料込で、たしか9288円ですから」

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https://www.dover.co.jp/special/pasteuriser/
ドーバー酒造公式オンラインショップ


一般便で発送 西濃運輸

お返事は送料4600円でもOKとの返事だった。代行費用支払いのオファーも頂いた。しかし、パストリーゼは趣味なので実費のみ頂くことにした(ただし、実費の振込手数料はご負担頂いた)。

さっそく梱包して西濃運輸に向かう。窓口は別の方(女性)だった。宅配便の手続きはスムースに進む。が、しかし、ぼくの一言でまた一変した。

「これアルコール濃度が77%あるんです。さきほど、別の方が宅配便でだぶん大丈夫とおっしゃったんですが、どうなりましたか?」

表情が変わるスタッフ。「少しお待ちください」と受付の奥へ去っていった。嫌な予感。待つこと数分、2人の男性社員と一緒に戻ってこられた。手にはマニュアルのようなものが….

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一斗缶は一面だけは見えるようにしておいた。お二人は記載事項を確認しはじめた。かなり困惑している印象。あーでもない、こーでもないと15分くらい悩まれていた。やがて、こう聞かれた。

「SDSをお持ちではありませんか?」

SDS、Safety Data Sheetって何?

絶句した。

「SDS? それなんですか?」

「この中身の化学的性質、危険性、安全性、取り扱いを書いた紙です。」「ないです。この一斗缶の表記以上のことはわかりません」
「うーむ。そうですか。」

結局、宅配便の話は雲散霧消。「危険物」として荷受けしてくれた。正確な住所を書いたら送料は4818円だった。

ちなみに、SDS(Safety Data Sheet)の説明は、例えば以下。

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo07_1.html

一般便 宅配は不可 なるほど

一般便の送り状を書いてほっとしていたら、次の問題が発生した。

「送り先は事業所ですか?」

「たぶん個人宅だと思います」

「一般便は宅配便ではないので個人宅には宅配できません。最寄りの事業所まで受け取りにいって頂くことになります。それでよろしいですか?」

(そんなこと言われても)と、相手の方に電話するが不通。しかし、こうなったら事後承諾してもらうしかない。最寄りの事業所が近いことを祈りつつ返事をした。

「はい。そこで大丈夫です」

かくて、ミッションは「無事」に終了した。と共に、理解した。

(そうか、宅配便は、自宅まで特別に配送する便だから、宅配便って言うんだ)

スプレーは送れますか?

一斗缶が運ばれていくのを見送った後、パストリーゼ500mlヘッド付きを取り出した。社員の方に見せて聞いてみる。

「これも77パーセントです。宅配便でおくれますか? それとも危険物で一般便ですか?」

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社員の方からの即答はなかった。表情がみるみる曇ってゆく。

(これ以上、こまらせてもなあ)と思った。

「大丈夫です。仮の話ですから。じゃあ、その荷物お願いします。」

「あ、いつころつきますか?」

社員の方はほっとした感じで、力強く即答してくれた。

「明日には、事業所の〇〇センターにつきます」

「よろしくお願いします」

凝り性のぼくはこうなると止まらない。帰りの車の中でこう考えた。

(こうなったら、徹底的に調べてやる!!)

以下、後編に続く。

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