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まず僕はな、一人で文庫本を読んでるんだ。そうだな、その本はシリーズ物で、未完結。僕はその3巻目を読んでる。ちなみに最新巻は7巻くらいまで出ているのかな。
時間は深夜だ。いや、その日は昼から、近づいてきているテストの勉強をしようと思ってたんだが、ご飯食べたりプロ野球中継観てたりしてたら夜になったんだ。
スマホを充電して置いて、僕はその読もうと思ってたけど時間がなくて読めていなかった文庫本を手に取るんだ。ただ、喉が渇いてね。本を読んでいるとコーヒーが飲みたくなるだろう? え、君は違うのかい? そうか、僕はブラックなコーヒーが飲みたくなるんだ。
そして、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。
そうしたらスマホが気になるんだ。誰かから何か来ているかもしれないと思ってね。開くと何も来ていない。そのまま何も考えずにスマホのロックを開け友達との付き合いで入れたゲームアプリにいそしむ。飽きたらインスタ。それを1時間弱。するとどうだ、コーヒーが冷めてるんだ。それに気づき、冷めたコーヒーを飲み始める。すると本の続きが気になってスマホを閉じるんだ。
本を読む。そして、喉が乾く。冷めかかったコーヒーならまだ飲めたが、常温は美味しくない、そして僕はアイスコーヒーというものがあることを思い出すんだ。
文庫本片手に冷蔵庫に向かい、冷凍庫から袋に入ってる氷のいくつかを取り出しコップに入れる。あ、アイスコーヒー用の新しいコップね。マグカップよりも透明なコップの方がアイスコーヒーっぽいだろう?
冷凍庫を開けた時に前に買ったアイスがあることに気付くんだ。棒アイスね。安くてたくさん入ってるやつ。それが箱に入ってるんだけど、狭いところにその箱を詰めてたから、片手が文庫本で埋まってる僕にはそれがなかなか取り出せなかったんだ。
そこで僕は、文庫本を流しの横の濡れてないだろうところに置いて、箱を取り出し、一本だけ残っていたその棒アイスを取り出し、ただの空き箱となったそれを近くのゴミ箱に投げ入れ、棒アイスを透明な袋から取り出し口に咥え、氷の入ったコップと文庫本を両手で持ち、お気に入りのソファーに座るんだ。
マグカップに入っていた常温のコーヒーを透明なコップにうつし、カランコロンと氷が夏っぽい音を立てたことに満足して、文庫本をまた読み始めるんだ。
ちなみに、濡れてないと思っていた流しの横はなぜか少し濡れていて、本には少し水滴が付いていた。だから、僕はエアコンの風が当たるようにその文庫本を片手で持ち、できるだけ腕をまっすぐにして挙手した。エアコンの設定は冷房28度の風量は自動だったけど、ちょうど強い風が出てきて、ちょっとその風に当てればすぐに気にならなくなる量の水滴だったよ。
それで僕は棒アイスを食べきり、お気に入りのソファーに座って、文庫本を読みながらたまにアイスコーヒーを飲む、という素敵な時間を過ごしていたんだけど、アイスコーヒーの氷がすぐに溶けるんだ。人がこの季節を生きていくのに最低限のエアコンの設定は、氷にとっては生きてはいけない世界だったみたいだね。
それですぐに不味くなったそのコーヒーを飲み干そうとも思ったんだけど、それすら苦痛になるくらい不味くなったので、その透明なコップを持ってソファーから立ち上がり、ほとんど飲んでないそのコーヒーを流しに流す。なんとなく流しにコーヒーが残ると跡が残る気がして、少し水道の水を流す。
僕は何事もなかったかのように、お気に入りのソファーに戻って、文庫本を読み始めるんだ。

これが、夏、てことだと思うんだよ。

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