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あしたのジョー2にハマった話

最近、Amazon Prime Videoで『あしたのジョー2』を全話見た。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B075356F2S/ref=atv_dp_share_cu_r

『あしたのジョー』というアニメ(原作はマンガ)があることはもちろん知っていた。
主人公は矢吹ジョー。ボクシングを扱う内容で、アニメに1(というか無印)と2があることも知っていた。監督が出崎統氏なことも。
あと、ライバルの力石徹が過酷な減量の末に死んでしまうことと、物語の最後にジョーが真っ白に燃え尽きることは知っていた。
逆に言うとこれくらいしか知らなかった。多少の知識の差は有れど、大体の人がこれくらいは知ってるんじゃなかろうか。ド有名なので。

加えて私は、『あしたのジョー2』のOP『ミッドナイト・ブルース』が好きだった。アニメ本編はほっとんど見たことなかったが、父の持っていたカセットテープ()に入っていた曲だったので、幼いころによく聴いていた。そして幼いながらも「かっこいい曲だなあ」と思って気に入っていた。
そして最近、ふとそのことを思い出し、『ミッドナイト・ブルース』聴きたいなあと思ってYouTubeで聴いてみた。
今聴いてもとても良い曲だった。かっこいいし、渋いし、荒木一郎氏のセクシーな歌声が心地よい。

そして聴きながら、「そういやあしたのジョーの主題歌なんだよなこの歌」「じゃあしたのジョー本編もこんな感じの雰囲気だったんかな」と思い、調べてみたらアマプラ(のdアニメ?)で見放題だったので、お試しにと思って1話を見てみた。


いやめちゃくちゃかっこいいやんこのアニメ。



最初の1話で夢中になってしまい、そのまま一気に最終話(全47話)まで突っ走ってしまった。
ちなみに『ミッドナイト・ブルース』は後半OPだったので、26話くらいから聴ける。OP映像も最高だからこれだけでも見て欲しい。

『あしたのジョー2』は、主人公・矢吹丈とそのライバル・力石徹の“あの”試合の半年くらい後から話がスタートする。
丈と力石の死闘とも言うべき一戦。結果、丈はK.O.で敗北した。だがそれでもすべてを出し切った試合にお互い満足していた。試合終了後、丈は健闘を称え力石に握手を求めようとする。それに応えるべく手を差し出す力石。しかしその握手は交わされること無く、静かにマットに倒れ伏す力石―――力石徹は、丈と試合を行うために無理な減量を行っていたことで体に相当負荷がかかっていたことに加え、試合中に丈が力石の側頭部へ打った一撃と、その衝撃でリングのロープに後頭部を強打したことで脳に強いダメージが入り、そのまま帰らぬ人となってしまったのだった。
この辺りの話はあしたのジョーを全く知らなくてもうすぼんやり知ってる方は多いのではないだろうか。少なくとも私はそうだった。

で、この「試合の結果とは言え、ライバルの力石徹を己が殺してしまった」という事実から立ち直れないままの矢吹丈が、再びボクシングを始めるまでの話が第1話である。
1話の前半、丈はずっと浮かない顔をしている。力石との試合を回顧しながら、何をするでもなく、ただ街をふらふら彷徨う。この丈の回顧があるので、無印あしたのジョー未見勢(私)にもおおまかに「ここに至るまでに何があったのか」を把握できるありがたい演出。
そのあと色々あり、結局自分はボクシングが好きなこと、そして自分のボクシングの試合を楽しみに待っていてくれる人がいることに気付き、丈は古巣の丹下ボクシングジムに戻る―――というのが1話の流れ。
ライバル・力石徹を失い、それでもボクシングを続ける矢吹丈の再起の物語なのだ。

1話の時点で度肝を抜いた。まず丈が、試合の結果とは言え人を殺めてしまった(リング禍というらしい)という事実に苛まれ続けているところからのスタート。雰囲気はとんでもなく重苦しい。これから新番組始まるんやぞ???
でも丈が再びボクシングを始めることを決意するまでの流れがとても美しい。夜の街で、楽し気にシャドーボクシングをする丈の姿は美しい。その姿がヘッドライトの明かりに呑まれたかと思えば――翌日の朝日。
演出が美しすぎて舌を巻いた。出崎統~~~!!!

『あしたのジョー2』というアニメは、わりとずっと暗い。底抜けに楽しく明るい話ではない。それなのに、暗いのに熱い。昏い炎がずっと灯っていて、その炎は時折ものすごい勢いで燃え盛り、最後には灰も残さないほど燃やし尽くしてしまう。丈も、視聴者も。そんなアニメだった。
全47話あるのだが、見ていて本当にキツいときも何度かあった。丈のイップスとか、丈の減量とか、丈のパンチドランカー疑惑のときとか…あとそもそも私は暴力描写がそこまで得意ではないので、全力で殴り合うボクシングの試合自体も目を覆いたくなるような瞬間が何度かあった。
それでも見てしまう。リングの上での彼らの生きざまを。
それはとても美しく、儚く、そして心を揺さぶるほど格好良いのだ。

演出面も、出崎アニメのお手本か?ってくらいに冴えわたっていて、しかもそれらがすべて「あしたのジョー」という作品にこれ以上無いくらいマッチしているので相乗効果がすごい。
光と影を強調した作画、止め絵演出、リングの上のギラギラしたライト演出、キラキラしたゲロ etc.
あと、ボクシングアニメだというのに、命のやり取りをしているかもしれない緊張感がずっとあるアニメだった。それは丈が誰かの命を奪うかもしれない緊張感でもあり、丈が誰かに命を奪われるかもしれない緊張感でもあり。本当にずっとなんともいえない緊張感をはらんでいるアニメで、見ているとずっとハラハラしてしまう。時々挟まれる日常回にとんでもなく癒される。
全体的に作画も良い。傑作アニメだった。本当に。

久しぶりに50話近い4クールのアニメを一気に完走してしまったが、それだけパワーのある作品だった。
未見の方、もしお時間があればぜひ一度は見て欲しい。既知の方、これを機に見直してみてはいかがでしょうか。
1話はYouTubeでも公式が配信していて見れるので、この雰囲気が肌にあったら是非全編見て欲しい。


今は少しずつ無印の方の『あしたのジョー』の方も見ています。初期の矢吹丈、狂犬にもほどがあっていろんな意味で面白い。

あと、丹下団平から丈に渡される給料が日給500円なのもたまげたし、さらにその500円が紙幣だったことにも平成生まれ的には衝撃を受けた。ご、500円札…!!?
台詞や設定にも時代を感じる部分が多々あって、そういう意味でも楽しめているけれど力石が減量を始めてしまったので見るのがつらくなってきた。
アア……


(おわり)

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