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あなたは、医薬品開発に何年かかるか知っていますか?

突然ですが、クイズです。

あなたは、医療用医薬品の開発には何年かかるか知っていますか?

A.     3~5年
B.     6~8年
C.    9~17年

A~Cのうちどれでしょう?

答え:C. 9~17年

この数字を見てどう感じられたでしょうか?思ったより長いな、と感じられたでしょうか。

ではその内訳、どんなプロセスにどれだけの年数がかかるのか見てみましょう。
2020年10月末に開催された医薬品開発協議会(内閣官房)の資料によると、
最初の基礎研究(薬物標的の同定~リード化合物最適化)に2~3年、
非臨床試験に3~5年、
臨床試験(治験)に3~7年、
承認申請に1~2年、
となっています。

私の実体験からしても、上記の期間はまぁだいたいそれくらいかな、という感じがしています。承認申請の部分だけ、申請から承認を得るまでは通常1年ではないかと思いますが、それ以外は私の経験からも大きくずれた年数ではない、という印象です。

ところで、、、件の●クチンの中で最も早く承認された薬剤では開発期間がどうなっていたのか、ご存知ですか?

パンデミックが始まったのが2019年末でしたが、2020年4月には当該薬剤の臨床試験が海外で始まっています。つまり、通常5~8年(基礎研究2~3年+非臨床試験3~5年)かかる過程が、2019年末を起点として考えると半年足らずで次のステップへ進んでいるわけです。
そして最初の臨床試験が2020年4月に始まってから(ちなみに日本国内での臨床試験は2020年10月に開始)、2020年の年末には日本国内での承認申請が行われています。つまり、通常3~7年かかる臨床試験(治験)の過程が8ヵ月ほどで次のステップへ進んでいるわけです。
そして2020年末の申請から、翌年2021年2月に承認されています。つまり、通常1年かかる審査の過程がわずか2ヵ月ほどで次のステップへ進んでいるわけです。

どれだけ異例なことが起きているのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。

実は数年前に一度調べて開発スケジュールについてメモしていたのですが、今日この記事を書きながら「あれ、1年間違えてないかな?」と不安になって、改めて承認申請資料を見返してしまいました(笑)

この開発期間の異様な短さは、今●クチンに疑問を持っていない方でも、説明すれば「おや?」と思われるポイントになるのではないかと思います。

周囲へのコミュニケーションの材料として、役に立てば幸いです。

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