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生きもの

夏休みも終了し、日常に戻りつつある我が家。
学校へと子ども達を送り出すウチのといぷーさんは寂しげに見える。

例年より早く過ぎ去った気がする夏休み。
そんな夏のある日、実家から車海老をもらった。
じつは漁師さんからやってくる、毎年恒例の貰い物である(小さいやつなので貰えるらしい)。
有り難い。

悩ましい事にピッチピチに生きておられる。
威勢が良いといかんのだ。
刺身で喰いたくとも、渾身の力をもってして跳ねる。
キッチンは阿鼻叫喚となり、100メートルを全力で駆け抜けたかのような疲れっぷりを呈する。

ので、今回は長男が参戦(活き造りってやつを食べたい)、長女が観戦(わたしは生はいらん)、次男は棄権(無理、むり、ムリーッ!)ということで、殻のむきむきタイム開始。

「奇行種やべー!!」
「壁の外、出たぁぁぁーー!!」

なんかの巨人か。

人一倍ビビりの長男の足元を、といぷーが暴れまわる。
『なんかの祭りか!楽しいのか!俺も入れろ!』

水を湛えた銀のボールに跳ね回る海老たち。
生命力である。
さすが朝採り。

母はむきむきを長男に任せ、勝手に脱線。
跳ねっぷりが半端ない精鋭たちを徐に透明なボールに投げ入れる(ゆっくり持っていられない。)。
片手に正月用に買ったが、どうも飲む気がしなかった金箔入りの日本酒を持ち、勢いよく注ぐ。

…。

動かない。
紹興酒しか君たちは酔っぱらえないのか…。
そう思い落胆した矢先、

バシャバシャ!ジャジャジャ!

激しい飛沫音と共に海老が踊りだす。観覧席(食卓の椅子)に座っていた長女がビビる。

…満足。やりたかった「酔っ払い海老」。なんちゃってだったが意外とできた…か?
そのまま酒蒸しにしたらなんと美しい。金箔が輝き、めでたそうな仕上がり。
海老の赤がまた良し。

「うめーっ!!」
叫びつつ、なんとか戦いに勝利したらしい長男は、これまた勝手につまみ食いをして海老の旨さを噛み締めている。おまえは自由か。わたしもだ。

まだ余った海老たちと、とった頭は塩焼きに(串を刺す時に例にもれず阿鼻叫喚となった)。

「生きもの」を喰らうということを肌で感じられる毎年の我が家の風物詩。
我が子と騒ぎつつ楽しめたことが、母は嬉しい。
来年は後の2人も参加できる度胸がついていることを願い、海老たちを皿に盛ってみる(結構ある、ほんとに盛れる)。

これまた貰い物のトウモロコシ、トマト、キュウリなど夏野菜も食卓に並び素材の旨さを堪能。
夏の恵み万歳。

お残しなくいただきました。

夏休みはこの日が1番テンション上がったかも知れない。かも。


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